思考ダダ漏れ

なんとなく書こう

骸骨の絵描き

2017-08-04 02:49:11 | 断片・詩・構想・屑
息抜きも続かなくなると息抜きにならなくなってくるので、そろそろ別の作品にも取り掛かろうと思った。とりあえず、短いものをいくつかまとめようと思っているのだが、最初はこんな感じにしようと思っている。




それは薄暗い部屋でした。一人の骸骨がカンバスの前に座っていました。パレットの赤紫色は、彼の目の前に置かれた死体を描くために使います。カーテンに差し込まれる昼の曇天の弱々しい光が、台座の上で「へ」の字型に仰向けにされた死体を照らしています。それは彼の元の姿なのですが、それを生前と呼ぶには少し語弊があるようです。死体はクリーム色のジャケットとYシャツを着ていました。腹部は赤く染まっています。開いてみると、引き裂かれた腹から臓物どもが飛び出しています。その無秩序は、咲き乱れた赤紫の躑躅畑の上を、毒虫どもが踊り狂っているかのようです。まだ臓物どもは震えていました。とはいえ、骸骨の彼にとって、残された肉体など一つの素材でしかありません。乾いた音を鳴らすその腕から描かれていく絵は、彼の空洞な心に少しだけ喜びを注いでくれるのです。