感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

≥65歳の成人への肺炎球菌結合型ワクチン 予防接種実施諮問委員会の勧告 2014

2014-10-13 | 感染症

以前のブログ(→ 成人に対する肺炎球菌結合型ワクチン)で、最近の肺炎球菌ワクチンの成人向けの使用につきましてまとめましたが、やはりオランダでの高齢者での臨床研究が反映されて、予防接種実施諮問委員会(ACIP)の新しい勧告が9月に出てました。 高齢者へは免疫不全など基礎状態がなくてもPCV13(プレベナー)とPPSV23(ニューモバックス)の両方がルーチンで使用が勧められることになりました。順番や間隔なども免疫不全者用と同様ですね。

 

Use of 13-Valent Pneumococcal Conjugate Vaccine and 23-Valent Pneumococcal Polysaccharide Vaccine Among Adults Aged ≥65 Years: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP)

 

September 19, 2014 / 63(37);822-825

http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6337a4.htm

まとめ

 

・2014年8月13日に、予防接種実施に関する諮問委員会(ACIP)は、13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13[プレベナー13])の成人≥65歳のルーチン使用を推奨した

・PCV13は、23価肺炎球菌多糖ワクチン(PPSV23[Pneumovax23、メルク社])と順番に投与すべきである。

・2014年6月、以前に肺炎球菌ワクチン接種歴のない≥65歳の約85,000名で成人市中肺炎を予防するためのPCV13の有効性を評価する無作為化プラセボ対照試験の結果が利用可能になったとACIPに提示された (1:CAPiTA試験)

・成人≥65歳でのPCV13利用を推奨するACIP決定は、  1)成人の疾患に対する小児PCV13使用の影響(すなわち、間接的効果) 、及び2)成人の非侵襲性肺炎球菌性肺炎に対するPCV13の有効性がデータ上で利用可能になるまで延期されていた。

・高齢者の中で、米国と欧州で行われた2つの無作為化、多施設、免疫原性試験では、PCV13は、PPSV23によって誘導される と同等のまたはより良好な免疫応答を誘導した、ことを示した (7,8) (機能的抗体応答は、オプソニン食作用活性(OPA)アッセイを用いて、ワクチン接種後1ヶ月に測定)

・初期用量としてPCV13を受け、続けてPPSV23の投与量を受けた人たちに比べて、最初の試験用量としてPPSV23を受けた被験者は、PPSV23への最初のOPA応答のレベルに関係なく 、その後のPCV13の投与後のより低いOPA抗体応答を有した (9)

・PCV7またはPCV13のシーケンスと続けて2、6、および12ヶ月または3~4年での間隔でPPSV23の後の免疫応答を評価する研究では、PPSV23投与後抗体レベルは以前のPCVベースラインよりも高かった、そしてPCV後の抗体レベルと比較したときの非劣性応答が観察されたことを証明した(9-12)

・PCV13またはPPSV23の最初の研究用量の1カ月以内に報告された重篤な有害事象の全体的な発生率は2つのワクチンの間で異ならず、0.2%~1.7%の範囲であった。(13)

・PCV13で報告された一般的な副作用は、注射部位の疼痛、発赤、および腫脹;注入された腕の動きの制限;疲労;頭痛;悪寒;食欲減退;全身筋肉痛と関節痛。 (PPSV23と同様の反応)

 

・≥65歳の成人にPPSV23にPCV13を追加するのは、現在のPPSV23勧告と比較して追加の健康上の利点をもたらすであろう。小児の予防接種プログラムから現在の間接的影響と ≥65歳成人での現在のPPSV23ワクチン接種率(約60%)を仮定すると、65歳の単一コホートの寿命にわたって、推定IPD230例および市中肺炎約12,000症例を防止するであろう(14)。

・成人のIPDの予防にPPSV23の有効性が実証されているが、≥65歳成人の非侵襲性肺炎球菌性肺炎の予防にこのワクチンの有効性に関するデータは一貫していない。

 

ACIPの推奨事項

 

・PCV13とPPSV23はいずれも ≥65歳のすべての成人にて順番にルーチンに投与すべき

・PCV13投与後6~12ヶ月で、PPSV23が与えられるべき

・2つのワクチンを同時投与してはならない、PCV13とPPSV23間の最小許容間隔は8週間

・以前にPPSV23を1回以上投与を受けた成人≥65歳では、まだPCV13を投与されていないときPCV13を受けるべき

・PCV13は、最後のPPSV23投与後の≥1年間にて与えられるべき

・成人≥65歳へのルーチンのPCV13投与の推奨事項は2018年に再評価され必要に応じて改訂される

・成人≥19歳でのPCV13のルーチン使用のためのACIPの勧告は、 免疫不全状態、 機能的または解剖学的無脾症、 脳脊髄液漏れ、または人工内耳 では 不変である

・その他のワクチンとの同時投与:PCV13と三価不活化インフルエンザワクチン(TIV)の併用投与は、免疫原性および安全であることが実証されている。 PCV13は成人の予防接種プログラムにTIVと同時投与することができる。

・使用上の注意と禁忌:PCV13ワクチン接種は、PCV13やPCV7、またはジフテリアトキソイド含有ワクチンの任意の成分に重篤なアレルギー反応(例えば、アナフィラキシー)を有することが知られる者には禁忌である。

 

→ 2015年のACIP勧告について 当ブログ更新記事 も参照を 

 


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2 コメント

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どうしたら (motoyasu)
2014-10-14 15:06:27
いつも最新の情報を提供していただき感謝しています。PPSV23の定期接種が始まり、公費補助のためには、最長4年間待つという事態になっています。リスクのある方には、今までも自費で接種を勧めていましたが、今後は納得していただけるか難しいところです。PCV13との組み合わせは、どういう効果をもたらすか、検証するシステムに末端で接種を行う診療所でも参画する必要もあるかと思います。
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ありがとうございます (志智)
2014-10-14 15:45:44
コメント有難うございます。
PCV13とPPSV23の両方打ちの臨床的効果の報告は今後出てくると思いますが(日本も含め)、それまでは米国ACIPなどを参考にするしかなさそうです。高齢者肺炎の件数を相当数減らすと、上記では強気に述べられていますので、そうなのかな、と。
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