感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

関節リウマチを予防する

2018-09-13 | リウマチ

関節リウマチ前段階(pre-RA)は、臨床的に明らかなリウマチの発症に先行する前段階の状態と思われます。当科外来でもあまり症状のない方で、リウマトイド因子陽性や抗CCP抗体陽性のため紹介をいただくこともあります。RAと発症診断される前の方々はどのように考えると良いのでしょか。最近の知見をよくまとめた文献がありましたので紹介いたします。

 

・pre-RAの段階は、自己免疫性の組織傷害の臨床症状がまだ存在していないが、 免疫機能および応答における異常があることを特徴とする

・RAの発症には前臨床期間があり、遺伝的および環境的因子が、おそらくは逐次的に相互作用して、自己免疫プロセスを開始および増殖させ、組織の炎症および傷害をもたらされる

フェーズ1、RAの遺伝的要因と環境的要因との相互作用

→フェーズⅡ、リウマトイド因子(RF)および抗環状シトルリン化ペプチド(抗CCP)のようなRA自己抗体の産生

→フェーズⅢ、これらの個体のうちのいくつかは関節炎の臨床的証拠なしに、関節痛または関節のこわばりを発現

→フェーズIV、1つまたは2つの関節で関節炎を発症し、早期未分化関節炎と呼ばれる。場合によっては、この段階で関節炎が断続的であり、回帰性リウマチ(palindromic rheumatism: PR)と呼ばれる。

→フェーズV、最後に、これらの患者のうちの一部はRAの古典的な臨床的特徴を発達させ、これは確立されたRAとして記載

・pre-RAでの環境因子の修正により発症を予防する

 :禁煙、 歯科衛生(歯周炎治療)、食事(魚油、抗酸化物質、ビタミンDを含むバランスのとれた食事)、過剰なコーヒーや塩分の摂取は避ける、体重の最適化、感染防止

・未分類関節炎 :RAまたは他の結合組織疾患の基準を満たさずに、複数の関節の関節炎が存在する状況

・この患者の30%〜40%が長期経過観察で古典的RAに進行することが分かっている

ライデンの予測ルールやその他の採点システムは、後にRAへ進む人を特定するのに役立つ ; ライデン予測ルールが6以下の場合、91%はRAに移行しない。 スコアが8以上の場合、84%がRAに移行する [Arthritis Rheum. 2007 Feb;56(2):433-40.]


 参考文献

Eur J Rheumatol. 2017 Jun;4(2):161-165.

 


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