感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

成人スティル病について まとめ – その1

2015-09-24 | 免疫
手首や肘肩などの疼痛を伴う不明熱症例で整形外科から当科に相談され、当初はEBV IgM陽性、EBNA陰性からEBV感染症による熱としていたのですが、その後も自然解熱せず断続的な熱が継続し、体幹に発熱時に皮疹が出現し、血清フェリチン高値であり、成人スティル病も疑いました。 これは不明熱診断では欠かせない鑑別疾患ですが、なかなか疾患特異的な指標がないので、その臨床的な診断の確定は悩ましいものがありま . . . 本文を読む

Lemierre症候群とFusobacterium感染と

2015-09-15 | 感染症
5日前に咽頭痛ありその後発熱、頸部リンパ節腫脹で入院された10歳代男性(近医からはクラリス、ロキソニン)、伝染性単核球症疑いでしたが入院後ショック状態となりなんらかの敗血症も疑われ当科に相談され転科しました。左前頸部のみの痛みの訴えと診察で顎下リンパ節の腫脹圧痛と頸動脈にそった圧痛があります。採血でDダイマーが上昇しており、肺のCTでは小さなseptic emboli疑いとのことからフソバクテリウ . . . 本文を読む

皮膚軟部組織感染まとめ -その4 再発性蜂窩織炎

2015-09-10 | 感染症
前回の続きで今回は蜂窩織炎の再発についてです。2年ほど前に右下腿の蜂窩織炎で当科入院加療しておりました方が、今回も同部位の蜂窩織炎となり救急科より紹介され当科入院されました。 両下肢とも慢性浮腫があり、前回入院中に足白癬(いわゆる水虫)、さらに深部静脈血栓症も診断していたので、蜂窩織炎再発のリスクは高いようです。こういった例は多いかと思いますが、どのように対処すればいいのでしょうか。   . . . 本文を読む

皮膚軟部組織感染まとめ -その3

2015-09-08 | 感染症
前回に続きまして、皮膚軟部組織感染症の治療についてです。前々回にて述べましたように起炎菌は溶連菌、ブドウ球菌に限るわけではなく、またいまは市中MRSA感染リスクもあり、ケースごとに起炎菌を想定して対応する必要がありますし、皮膚感染独特の感染の深さ、重症度も加味しないといけません。また細菌学的に治療が順調でも死菌からの抗原物質等で炎症が残ることもあるんですね。   治療について &n . . . 本文を読む

皮膚軟部組織感染まとめ -その2

2015-09-03 | 感染症
前回に続きまして皮膚軟部組織感染症(SSTI)についてです。 今回は診断と、壊死性軟部組織感染症の鑑別除外についてまとめました。蜂窩織炎の治療を始めてから経過が思わしくないときは、前回取り上げました起炎菌と治療薬が合っていないか、リスク因子が残存していないか、とともに他の鑑別診断はないか、壊死性感染症のように重症化してきていないか、検討する必要があります。     診断 . . . 本文を読む

皮膚軟部組織感染まとめ -その1

2015-09-02 | 感染症
総合内科に下肢蜂窩織炎入院例があり比較的長引いている経過のため一緒に診療しています。今回は右下肢の下腿遠位あたりの病変ですが、両側下肢とも皮膚の肥厚、象皮様に変化あり慢性的な浮腫が存在していた可能性を示唆しました。残念なことに血液培養は菌が検出されていません。溶連菌・ブ菌をターゲットにCEZ使用中ですが、どうすればいいか。文献をまとめました。この領域のガイドラインとしては米国感染症学会(IDSA) . . . 本文を読む