□作品オフィシャルサイト 「ダウト ~あるカトリック学校で~」
□監督・脚本・原作 ジョン・パトリック・シャンリー
□キャスト メリル・ストリープ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ヴィオラ・デイヴィス
■鑑賞日 3月8日(日)
■劇場 チネチッタ
■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)
<感想>
僕の好きなメリル・ストリープ、その女優歴でアカデミー賞15回のノミネートはやはりただ者ではない。 先日のアカデミー賞最優秀賞の発表が行われ、惜しくもケイトに持っていかれてしまったが、まさに“貫禄の”女優には違いない。 そのメリルがやはりオスカー俳優のフィリップ・シーモア・ホフマンとのまさに魂のぶつかり合いを見せるのが今作だ。
そもそもベースになっているのはトニー賞と、ピューリッツアー賞を同時受賞した舞台劇。 それを原作者のジョン・パトリック・シャンレー自らが映画化したもの。
1964年、ニューヨークはブロンクスにあるカトリック学校セント・ニコラス・スクール 。 そこの校長であるシスター・アロイシス(メリル・ストリープ)は、厳格な人物で生徒生に恐れられていた。 その一方で生徒に人気があり、人望のあるフリン神父(フィリップ・シーモア・ホフマン)が、ある一人の黒人の男子生徒ドナルドと不適切な関係にあるのではないかという疑惑が持ち上がった。 そこからシスター・アロイシスによる執拗な追及が始まる。
時代背景にあるのはケネディ大統領暗殺や公民権運動の拡大など激動の時を迎えたアメリカで、しかも戒律の厳しいカトリック教会でさえその変革の波が押し寄せるなか、従来引き継がれてきた古い価値観にあまりに固執するばかりに、善悪の見極めが出来なくなってきた人間の真意を求める姿が映し出されていく。
そのメインで対立するメリル・ストリープとフィリップ・シーモア・ホフマン。 静から動へのしかも言葉と言う道具を最大限に駆使し、互いに一歩も譲らず舌戦を繰り返す様は見応えがあった。 というよりも贅沢な舌戦だった。
しかしながらオスカー選手二人をしても勝てない陰のヒロインがいた。 それは黒人の男子生徒ドナルドの母ミラーを演じるヴィオラ・デイヴィスの、静かながら心の叫びが聞こえてきそうな演技には驚いた(『最後の初恋』のとき比較すると)。 しかもメリル相手に堂々と渡り合っている姿は鳥肌が立つくらいの感動だった 恐らくあのシ-ンは周りのスタッフをはじめ監督が彼女の演技の凄さにそのままカットするのを忘れてしまうくらいのものだったのだろう。 人が本気で涙を流しているときは、やはり鼻水が出るのが本当で、目薬で泣くガキ俳優とは物の違いは歴然だ。 映画全体としてはそう評価できるとは思えないが、あえてこのヴィオラ・デイヴィスVSメリル・ストリープの対話シーンは部分的ではあるが最高のシーンだと言えるだろう。
ヴィオラ・デイヴィスは先日のアカデミー賞で助演女優賞にノミネートされていた。 『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』でベンジャミンの母親役をやったタラジ・P・ヘンソンも助演女優賞にノミネートされていたが、この二人の黒人女優、なかなか素晴らしい。 もちろん同様に助演女優賞にノミネートされていたエイミー・アダムスも頑張っていたと思うし、あまりの可愛さに見とれてしまったけれど、やはり『魔法にかけられて』のお姫さまイメージが僕の中では払拭されておらず、助演女優賞ノミネートの価値がある演技だったかと言うと“ダウトっ”だ(笑)
この映画を観た後、改めて録画しておいたアカデミー賞授賞式のDVDを観直した。 主演女優賞にノミネートされた最もノミネートの多い(15回)メリル・ストリープは最前列のど真ん中に、そして助演女優賞の5人も(「第81回アカデミー賞決定~」)。 その中には上で書いた3人の女優も居た。 エイミー・アダムスに対し、ウーピー・ゴールドバーグが「修道女(役)は大変なのよ」って第一声をかけていたことがとても印象に残った(そういえばウーピー自身、最近映画にでていないなぁ・・・)。
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こんばんは★
いつもありがとです~お久しぶりでした!
これ、ほんとキャストがまた良かったですね。
あの二人のバトルは見ものでした!
エイミーアダムスの新米?シスターがすごく合ってました。
「魔法にかけられて」観たいなと思いつつまだ未見なんですよね~
>いつもありがとです~お久しぶりでした!
こちらこそ^^
>これ、ほんとキャストがまた良かったですね。 あの二人のバトルは見ものでした!
やはりオスカー受賞者に値する演技でしたよね
>エイミーアダムスの新米?シスターがすごく合ってました。 「魔法にかけられて」観たいなと思いつつまだ未見なんですよね~
おっと、それは残念です
ぜひ今度時間があるときに観て下さいね^^
上手いというよりとてもキュートです~
TB、コメントありがとうございました☆
メリル・ストリープ、流石ですね~
『マンマ・・』のママと同一人物とは思えませんわ!
あの顔であの声であの演技・・・
それだけでもこの作品、十分魅せられます。
それとヴィオラ・デイヴィス、ほんとに彼女素晴らしかった!
そうね・・・泣くってほんとは先に鼻水・・・
私もそうだし(笑)
あの迫真の演技はあの短い時間の登場だけでも
めちゃくちゃ印象に残る物でした。
>『マンマ・・』のママと同一人物とは思えませんわ!
ほんとですよね(笑)
>それとヴィオラ・デイヴィス、ほんとに彼女素晴らしかった! そうね・・・泣くってほんとは先に鼻水・・・私もそうだし(笑)
ですよね~ もうこっちまで鼻水が(笑)
>あの迫真の演技はあの短い時間の登場だけでも
めちゃくちゃ印象に残る物でした。
そうなんですよ^^
オスカー俳優二人を迫真の演技でくってました^^
コメントありがとうございました。
ヴィオラ・デイヴィスって「最後の初恋」でホテルの経営者だった人?!
わ~全然違うから解りませんでした(汗)
いや~本当にわずかな出演だったけど、素晴らしかったですね。
アカデミーの時、ソフィア・ローレンからの賞賛に、オスカーのケイトからは卓越した存在であり続けて欲しいと言われるほどのメリル・ストリープはさすがでした!
メリルのような女優さんと共演することは、自分のキャリアアップにもなるんでしょうね。
「プラダ」のアン・ハサウェイもメキメキ実力が付いてきたみたいし、今回のヴィオラ・デイヴィスもエイミー・アダムスにも今後良い演技を期待できますね♪
>ヴィオラ・デイヴィスって「最後の初恋」でホテルの経営者だった人?! わ~全然違うから解りませんでした(汗)
僕もプロフィール見て確認するまでわかりませんでしたよ(汗)
>いや~本当にわずかな出演だったけど、素晴らしかったですね。
ほんと、そうですね^^
>アカデミーの時、ソフィア・ローレンからの賞賛に、オスカーのケイトからは卓越した存在であり続けて欲しいと言われるほどのメリル・ストリープはさすがでした!
なにせ15回ノミネートですから、もう殿堂入りかも!
>メリルのような女優さんと共演することは、自分のキャリアアップにもなるんでしょうね。 「プラダ」のアン・ハサウェイもメキメキ実力が付いてきたみたいし、今回のヴィオラ・デイヴィスもエイミー・アダムスにも今後良い演技を期待できますね♪
そうですね^^
そういう意味ではディカプもなどもその恩恵を受けている人ですね^^
あのシーンだけに関していえば、完全にメリル・ストリープに演技で勝っていたとも言えたのではないでしょうか。
それくらいに凄かったですよ。
>あの鼻水まで垂らして息子を案じるシーンは凄かったですね。 あのシーンだけに関していえば、完全にメリル・ストリープに演技で勝っていたとも言えたのではないでしょうか。 それくらいに凄かったですよ。
仰るとおりですね^^
あの時代背景で黒人の“怒り”もそこに加味されていた迫真の演技でした。 修道女が人として決して全て正しいわけではないですからね。 そこも“ダウト”ですね!
僕も、2人の巨匠を相手に迫真の演技をしたヴィオラ・デイヴィスには驚かされました。
人間ああいう、汚い泣き方になります。
そしてハンカチもティッシュも持っていなければ...(大半のアメリカ人は普段ハンカチを持っていませんので)
>僕も、2人の巨匠を相手に迫真の演技をしたヴィオラ・デイヴィスには驚かされました。
本当に静かながら迫真の演技でした!
>人間ああいう、汚い泣き方になります。 そしてハンカチもティッシュも持っていなければ...(大半のアメリカ人は普段ハンカチを持っていませんので)
ヴィオラがティッシュで鼻をふくシーンはアドリブではないかと思いました。