United Minds (Strikes Back)

2013年に解散した電子音楽ユニット、SpiSunのWeblog“United Minds”跡地

日本のロック/フォーク・アルバム 1960-1989 ミカ・ラウドのベスト10

2010-10-25 02:35:58 | Music
7月と8月のレコードコレクターズで特集された「日本のロック/フォーク・アルバム・ベスト100 1960-1989」。
一昨年のビートルズ・ソロベスト100の時のように読者応募でベスト10を募る葉書が付いていたのだが、すっかり送るのを忘れていた。
携帯電話のテキストメモにわざわざ書いておいたのにこのまま何もなかった事になってしまうのも癪なので、せめてブログのネタにしておこうと思う。

別に成海璃子に触発されたわけではありません、悪しからず。このニュースで思い出したのは事実だけど。
成海璃子が選んだ 「日本のロック/フォーク・アルバム・ベスト10」 が渋すぎる(にゅーす特報。)





#1. A Long Vacation / 大滝詠一

この盤を選ぶ事に関して、レココレ8月号の選者達に対する意見のように批判される方もおられるだろうが、あくまで自分の好みで選んでいるのでそんなものは知った事ではない。
事実、自分はこのアルバムを聴いて音楽に対する姿勢が間違いなく変わった。世間の評価など関係がなく、自分はまさにこの作品で開眼したと言っていい。常にこのアルバムは自分にとっての邦楽最高峰のポップ&ロックアルバムである。



#2. BGM / Yellow Magic Orchestra

自分にとってYMOはビートルズに等しい存在である。その中で一枚選ぶなら、間違いなくこれ。自分の中では『Solid State Survivor』よりもずっとリアルで、なおかつポップに聴ける一枚。



#3. 黒船 / Sadistic Mika Band

ファンクやグラムといったキッチュでポップな感覚を取り入れながら、日本史の激動期をうまく融合させる、とんでもないミクスチャー・センス。この盤の存在だけでも加藤和彦という存在は僕にとって永遠に崇高なものだ。このアルバムの絶妙さは一言では到底語れそうにない。



#4. Band Wagon / 鈴木茂

オープニングの「砂の女」のギター・カッティングから名盤である事をしつこいくらいに自己主張する、爽快にカッコイイ作品。本場USA西海岸のフィジカルな演奏技術に、相反するかのような松本隆の詞と鈴木茂の曲(と歌声)といった叙情的かつ繊細なポップさが見事に溶け合った一枚。 惜しむらくは、すでに2作目にしてレイドバックしてしまった事か。このテンションでもう1~2枚作ってほしかったところだが…。



#5. Don't Trust Over Thirty / Moonriders

ライダーズで無難に選ぶなら『マニア・マニエラ』『青空百景』『カメラ=万年筆』あたりなんだろうけど、個人的にはこの一枚。バンド活動休止直前、精神的にも追い詰められた(特に鈴木兄弟)バンドの打ち上げ花火のような、派手でありつつも儚い作品。評論家の安田謙一氏が「ライダーズのアビーロード」と書いていたけど、まさにその表現が当てはまる。
ちなみに初めて買ったライダーズ作品でもある。だから思い入れが違うのかもしれない。こないだ「何だ?この、ユーウツは!!」の歌詞がやけにリアルに感じられて、自分もちょっとまずいと思った。



#6. Happy End
/ はっぴいえんど

『風街ろまん』を選ばずにこれを選ぶのだからどうかしているとは思うが、個人的にこのアルバムのサウンドがとても心地良くて好きなのである。『Let it Be』のようなレコード会社主導のやっつけアルバムには違いないが、この軽やかなポップさは日本でのレコーディングでは出せなかったはず。
「風来坊」のフリューゲルホルンとか、「明日あたりはきっと春」の大滝&鈴木のコーラスとか最高。というか、鈴木茂作品の3曲が一番このアルバムでは輝いている。解散直前に才能が開花…つくづくジョージですね、この人は。



#7. Saravah! / 高橋幸宏

バンドのドラマーのファーストソロがこれ、ってのが凄い。当時最も洗練されたファッション感覚を持っていたのでは…と思わせるアルバム。坂本龍一全面プロデュースで、幸宏&教授のコンビネーションが最良の結果をもたらしている。ストリングス・アレンジも流麗。
歌唱はまだまだ未完成で(ちょっと細野っぽい?)若さを感じるが、それすらもチャーミング。誰がどのギターソロを弾いたとか、ちゃんとクレジットしてほしいなぁ。



#8. み空 / 金延幸子

ピュアでクリアで清廉で…そういったまっさらな言葉を並べたくなるような清らかな作品。当時の日本の空気で弾き語り作品を作ろうとすると恐らくフォークのような音楽になってしまったはずだが、そういったウェットさがないのが現在でも違和感なく聴かれ続けている大きな要因だと思う。
Tracey Thornの『A Distant Shore』が大好きなのも、先にこの作品を聴いていたから。




#9. Video Game Music / 細野晴臣・ナムコ

世界初のゲーム・サウンドトラックにして、最高峰の完成度を誇ると断言したい。細野のプロデュースにより、ナムコ初期のサウンドはエヴァーグリーンな輝きを与えられた。「ギャラガ」の崇高なアレンジに、ただただ涙。
これを選んだのは、ファミコン世代としての意思表示と思ってもらいたい。確かに厳密な意味でロックかどうかは自信がないが、アンビエント・テクノやエレクトロニカとしてとらえる事は可能なはずだ。



#10. Self Control / TM Network

自分にとっての、全ての出発地点。余計な嘘をついても何の意味も無いし、そういった自分にとって重要なバンドを無視するというのは自分のルーツを全否定する行為に等しい。
TMの作品では、これが一番完成度が高いと思う。ちなみに初めて買った(買ってもらった)アルバムはリプロダクション・アルバム『Dress』である。これも今でも好きな作品だ。

モジョの奇妙な冒険 〔by ラウド〕

2010-10-08 01:58:00 | Music
僕の短い週刊少年ジャンプ購読時代、『ジョジョの奇妙な冒険』は小学生には難解すぎていつも飛ばして読んでいた。
おかげで同世代並びに付き合いのある若い世代の話題にまるでついていけなくなりましたとさ。



しかし今回はジョジョではなくMojoの話である。
もっとも、ジョジョは「Get Back」、Mojoは「Come Together」と両方ともビートルズの歌詞から拝借しているのだろうが。

昨日、ディスクユニオン御茶ノ水店に寄った際、10月号の音楽雑誌Mojoに『Let it Be』のトリビュート盤LPが付録として付いているという事を知った。
限定盤だからいずれ高値になる、今のうちに買っておけ…という警告文と共に飾られていたが、現在アナログを再生できる環境にないのでひとまずこれを無視し(というか買うだけのお金を持っていなかった。結構高いので)、脇の特価コーナーに放り込まれている過去の号を買ってみることにした。

一切調べずに書いているが、どうやらこの雑誌は付録としてレア音源などをさりげなく収録したCDを付けるのを売りにしているらしい。僕は当然今回が初見である。
とりあえず、ビートルズとは一切関係なさそうな号を買った。

実は中にはヨーコの特集や、ジョン&ポールの写真が載っていたりしたのだが、一番いい男であるあのギタリストは一切載っていなかったので読み飛ばしてしまった。
「Free CD!」なんて書いているが、このCDが雑誌の売りである上に、これが付いているお陰で値段もそれなりになるので無料感はあんまりない。

付録CDの曲目はこんな感じ。実はクラフトワークの曲を所有するのは、生まれて初めて。馬論は全作持っていたはずだけど、僕は彼におまかせしていたので…。

OMDやUltravoxが入っていたのも購入意欲を高めた。
CDは結構しっかりノリで表紙に貼り付けてあるが、いざ剥がすとスムーズ。表紙も傷つかないし、残ったノリも綺麗に取り除ける。
よく洋盤CDのケース上部に貼ってあるシールの、機能性を一切無視した構造と剥がした跡の無残なノリ痕に散々呆れ果てていた僕としては、この雑誌のCDの貼り付け方は非常に驚きだった。ちゃんと考えてあるのですな。


当然中身は全文英語だが、なかなか楽しかった(ちょっと見栄を張っている)。
しかし、何より驚いたのはライブのリコメンドである。







僕からすればレジェンダリーな人々が、再結成などをしながらさも当たり前であるかのようにライブを精力的に本国でおこなっているのである。
いや、当たり前ではないのかもしれないが、こういう人たちが来日してライブをするだけでハイプな話題になってしまう日本人からしてみれば、いかにも自然にギグに参加できるような環境に見える。

ジョー・ブラウンなんて、ビートルズよりも先輩なのにこの精力的なスケジュール。頑張ってるなぁ。
ポーグスのクリスマス・ライブ…羨ましすぎて吐きそうだ。僕も死ぬ前に一度、生で「Fairytale of New York」を聴きたいものである。


音楽好きを自称して始終そういう情報をチェックしていても、所詮僕は東の果ての国の、更に東の土地で生まれた単なる一般人に過ぎない。
こういうのを見ると、どうにも埋めがたい差を感じてしまうのであった。