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サンキュー・フォー・スモーキング

2006-04-16 15:02:16 | 映画・TV・エンタメ
「強がり」っていうのが一番適切な表現かな。これはジミーと僕の両方に言えることなんだけどね。

先週火曜日の水球では積極的に声をかけてくれたジミー。ただプールサイドで話しかけてくるジミーは、いつになく一方的に話しまくる始末。ジミーの緊張振りが伝わってきて僕もなんだか居心地悪くなってしまった。

いつものように、練習後、先に着替え終わったジミーは、体育館を出たところで柱によりかかりながら僕を待っていた。僕のアパートは体育館から徒歩数分の距離にあるのに、「一応」ジミーが車で送ってくれた。これは「悪い虫」がつかないようにってことなんでしょうか?その割に食事に誘うでもなく別れ際もさっぱりしたものだったけど。

それっきり電話もEメールもなくて、かといって僕もジミーと寄りを戻すことには抵抗があって僕からも積極的にコンタクトはとりにくい状況にある。だけど今週末、とても天気が良くてデート日和になりそうだったことと、僕があまりに暇をもてあましていたことに背中を押されて、仕事が終わった金曜の夜、ついに僕からジミーに電話をしてしまった。ジミーは自宅にいて一人ごそごそとしていたらしいのだけど、この晩は疲れているというので、翌土曜日、映画を見に行くことにした。

久々にジミーと観に行った映画が、『サンキュー・フォー・スモーキング』。(最後にジミーと一緒に観た映画って、2月にリホボス・ビーチで観た『ピンク・パンサー』。それって2ヶ月以上前・・・。)

この映画、よく出来てました。久々のヒット。何が良かったかと言うと、脚本がよく出来ていた。気の利いたセリフが沢山あったし、飽きの来ないスピーディーなストーリー展開。ロブ・ロウも脇役で出演していたけど、彼が演じる強烈なキャラクターには大笑い。かの美男子も役どころによってはかくも変身するっていう好例。

そして僕のお気に入り俳優リストに新たに加わったのが、この映画で主役のニックを演じるアーロン・エッカート。この映画ではブロンドだけど、実は2000年に公開された映画『エリン・ブロコビッチ』で、ジュリア・ロバーツ演じるエリンの恋人役として出演している(Cast&Staffをクリックして2ページ目に彼の写真あり)。そのときはヒゲ面、ダークヘアーで見てくれを気にしないバイカーの役柄だった。あまりに雰囲気が違うのでびっくり。事前に映画の出演者情報をネットで読んでいなければ気が付かなかったはず。(僕が指摘するまでジミーは気が付いていなかった。)

さらにこの映画がよく出来ていたのが、アメリカ文化に特徴的な「合理性とロジックという美徳」の負の側面を取り上げていたということ。日米文化論なんかでよく取り上げられるのが、アメリカは理論の文化で日本は情緒の文化ということ。とにかく弁論に長けた国民である米国人は国際社会でも自らの意見を主張して納得させるのに対して、日本は腹芸・アウンの呼吸の文化だから異文化の人たちに理解されにくい・・・なんていう論調は昔っから言われ続けていること。だから日本の教育にも弁論を取り入れようとか論理的に説得できるようになろうっていう「識者」なんかもいたりして。

だけど、理論で自分の意見を主張し押し切るやり方は、アメリカ国内でも問題になっている。弁護士があふれるアメリカでは、マイケル・ジャクソンやOJシンプソンみたいに99%クロの容疑者も、有能な弁護士の手によって無罪になってしまう。とにかく、事実ではなくて理論を重視するあまり、理論の出発点次第でとんでもないようなことが説得されてしまう。そういう僕も、去年つきあった弁護士男、デービッドといい、ジミーといい、自分の論理をごり押しで主張してくる男どもに悩まされ続ける境遇にあり。

この映画の場合、「本当にタバコは体に悪いのか?」と正面きって投げかけることで一般人を混乱させタバコ業界の利益を正当化させようとするロービー団体の話。アーロン・エッカートが演じる主人公ニックは、そのタバコ業界の利益を保護・主張するロビー団体の広報担当者。

白を黒と言い切るニックに対して、ジャーナリストは「モラルはないの?何故、今の仕事をしているの?」と質問する。それに対する答えは、「住宅ローンを支払うため」。一見、冗談に聞こえるけど、実はそれが本心だったりする。小学生の息子からも同じような質問を受け、「ロビーイストを勤めるには、モラルに柔軟性が必要だ」なんて言う。モラルを二の次にするニックは、憎むべき存在。だけどとにかく与えられたミッションに忠実にタバコ業界の理論を展開するニックは、逆にある意味とても正直で素直な性格で、見ている僕も好感を持ってしまうようなキャラクター。もちろん、そういうキャラクターに敵がいないわけがなくて、ニックに災難が降りかかるのだけど、持ち前の正直ぶりでそれを乗り越えて、自分の強み・天職に最後は目覚めるという結末。

ほぼ満席の映画館でジミーもゲラゲラ大笑いしながら観ていた。帰りの車の中で、僕が

「ロジックって出発点によってどうにでもなるから、理論はそもそも破綻してるんだって」

と切り出してみた。すると何でも知ってるジミーは「大学で論理学を取ったから知ってる」とまたうんちくを持ち出して一人話し続ける始末。その割りに自覚がないよなぁ。はぁ~。

映画が終わったのが9時すぎ。土曜夜にしては早めなのに、僕には何も聞かないまま、映画館から直接僕を家まで送り届けてくれた。「じゃ、またね」のハグをするとき軽くキス。ジミーがドギマギしてるのがわかる。また早口気味になって明日の天気予報を話し始めるジミー。

「じゃ、また明日、何かしようか」と言うジミー。

「うん。いいよ」と答える僕。

だけど今日、日曜、何時になってもジミーから電話がない。あれ以来、ジミーの方から電話がかかってきたためしがない。心の傷ってやつ?でもそんなに深い傷なんだったら友達にもなれないよね。友達なのに「僕からは絶対連絡しないから」っていう一方通行な関係は不自然。

4時過ぎ、ついに僕はジミーに電話した。すると、「5時半から友達とディナーの約束したから」の返事。だったらそれが分かった時点で連絡しろよ!といいたくなったけどぐっと堪えた。でもあーダメ。こういう仕返しみたいなことをしてくる人って。自分で「互いにリスペクトする関係に」って言っておきながら、自分が守ってない。

僕も一人身だからジミーが恋しくなるんだよねぇ。さっさと新しい恋人みつけて前進しないと。


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Aaron Eckhart (グリンピース夫人)
2006-04-19 07:59:10
Aaron EckhartといえばIn The Company Of Menていうのも面白い映画ですよー。かなりキツ~イpolitically incorrectな内容なんだけど、悪い男役の彼はかなりイケてます。



http://www.sonypictures.com/classics/men/index.html



それとMADONNAのCONFESSIONS TOURのチケット発売中です。最高で$350-375!! だからNYCとか以外は売り切れてない公演も多いみたい・・・。どうやらHBOでライブ中継するようなので、私は一番安いチケットで十分かなぁ。



http://www.ticketmaster.com/artist/768011

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はじめまして (FOX)
2006-04-19 11:41:24
はじめてコメントさせてもらいます、FOXという者です。



昨日たまたまこのブログを発見したんですが、一気に読ませてもらいました。いや~かなりいろいろな事を経験しているようで。



実を言うと僕は今オーストラリアで生活しています。仕事じゃなくて勉強なんですけどね。なので親近感がわいたりもします。



またちょくちょく拝見させてもらいに来ますね。更新がんばってください。



P.S

一応僕もブログを持っているので(更新はまちまちですが・・・)、よかったら遊びに来てください。
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ブログ引っ越しました。 (マサ)
2006-04-20 16:05:04
Tyさん、久しぶりです。マサです。

ブログ引っ越しました。

Jimmyさんとの考えもまだ縮まらない?

いっつもブログ見ながら、

色々考えさせられてます。

また遊びにきますね。
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お返事 (Ty)
2006-04-22 12:09:34
GP夫人さん

情報ありがとうございます。思うに、このAaron Eckhartって役柄によってガラッと雰囲気が変わるよね。Thank you for Smokingの彼もイケテタけど、In The Company of Menでの彼はもっとイケテル。今度レンタルして見てみます。



マドンナのコンサートチケットって400ドルちかくもするんだ・・・。僕の懐状況では絶対に行けない。そこまで払ってでも行きたいディープなファン層を狙っているんだろうけど・・・。「金持ちじゃなかったら私のファンにはならないで」と言わんばかり。(最近、円安だから特にアメリカの物価高が気になる。)



FOXさん

コメントありがとうございます。さっそく、ブログをブックマークさせてもらいました。ジミーの影響(というか余韻?)もあって、最近、オーストラリアに興味津々です。日本に住んでた頃に行っとくべきだった!ってものすごく後悔しています・・・。オーストラリアの中ではどこがオススメですか?ジミーはメルボルンがいいって言ってました。



映画を勉強されてるんですね。僕も、一瞬、film studiesに興味があってNYUとかUCLA、そしてカナダのUBCの願書を取り寄せたりしていました。今やっている仕事があまりにアートとかけ離れているので、アート系のお仕事をしている人が羨ましいです。



マサさん

お久しぶりです。前回、フロリダ(?)に行くとか言ってませんでしたっけ?僕が住んでいるところはちょっとフロリダからは遠くて、冬はちゃんと極寒になります・・・。あーフロリダに行きたい。ジミーから、マイアミに観光に?みたいな半分お誘いを受けたけど、こんな関係のまま旅行なんて行けないので生返事しただけ。



ところで、マサさんのブログにあるスイス観光局のプロモ映像、マジであれはゲイを狙ってるでしょう。少なくともゲイのCM製作プロデューサーが作ってる!あの自分の指を意味ありげに舐める二枚目登山家とか乳搾りやってるhunkはゲイ以外のなにものでもない!この映像を一人みて、大ウケしてました。
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ようやく日本でも公開 (Ty)
2006-07-05 02:53:35
この映画、ようやくこの秋(10月)に日本でも封切りされるそうです。



http://www.foxjapan.com/movies/thankyouforsmoking/
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