吉田屋日本百貨店

とある時、とある街での物語

221.なんだか似てる

2012-02-17 19:42:29 | 日記
「と、豆腐?」
「そうです、豆腐です」
「これは・・・」
 どうしたらいいんですか、社長。
「『健康第一!』って言ってました」
「そうかぁ・・・あはは・・・」
 ぷるぷるとした手で豆腐を差し出した社長の顔が、ふっと頭に浮かんだ。
相変わらず、元気みたいだな。
「あざっす、社長。ありがと、こまりちゃん」
 豆腐を押し頂いて、ぼくはお礼を言った。
「忘れ物、ない?芯さん、ガソリン入れてすぐ戻ってくるって。」
「ケイさん」
 ぼくは大事に大事に、声の主の方に振り向く。白いシャツにジーパン姿のケイさん。ぼくはまぶしくもないのに目を細めた。
化粧っ気のない白い肌。
彼女はやっぱりきれいだ。
「あ、帰るときになってあれなんすけど・・・こまりちゃん、この人は、ケイさん。ぼくが働いてた・・・」
 とぼくが二人を紹介しようとしたら、
「もう、お互い自己紹介しました」
 とこまりちゃんに笑われた。
「あ、そうか・・・」
 ケイさんとこまりちゃん。二人並べてみると、なんだか似てるなとぼくは思った。
顔とか、スタイルとか全然違うけど・・・なんか、透明な感じがよく似てる。
「仲良くしてください」
 へこっと頭を揺らしてぼくは言った。
「タイラーさん、意味わかんないし」
 ころころ。
 こまりちゃんはぼくの間抜けな言葉を聞いて、さもおかしそうにまた笑った。ケイさんも、こまりちゃんと一緒になって笑っている。

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