「そうだった!」
今まで考えもしなかったことに、顔面蒼白でがたんと立ち上がったぼくは、その拍子に座っていたいすをひっくり返した。それを見て、
「おいおい」
また住人たちはどわーっと笑い出す。
「まあまあ、なあに?」
都子さんがいつもの調子で輪の中に入ってくる。
「都子さん、もうぼく、こっちに戻って来れないかもしれないです・・・」
半泣きで言うと、彼女はこともなげに、
「そうねぇ。・・・でもまあ、会えるときは、会えるわよ。またお金貯めていらっしゃい」
と笑顔。よく分からないけど、なんだか納まる形になってしまった。
「ああ、いたいた」
「ついに出発だね」
いつもののんびりした声と、紳士な声が聞こえる。
「宮さん、佐々木さん」
「ん?なあに、これ」
宮さんが大きなお腹をさすりながら、テーブルの上のガラクタを指差す。
「これ・・・皆わざと関税にひっかるようなものくれるんですよー」
ぼくがここぞとばかりに不平を言うと、住人たちはぶうぶう言いながら、それでも楽しげに笑っている。
「そうかぁ・・・じゃあこれ、また荷物になっちゃうかな?」
「なんすか?」
宮さんがズボンの尻ポケットから出したもの、それは木で出来た直角定規だった。
今まで考えもしなかったことに、顔面蒼白でがたんと立ち上がったぼくは、その拍子に座っていたいすをひっくり返した。それを見て、
「おいおい」
また住人たちはどわーっと笑い出す。
「まあまあ、なあに?」
都子さんがいつもの調子で輪の中に入ってくる。
「都子さん、もうぼく、こっちに戻って来れないかもしれないです・・・」
半泣きで言うと、彼女はこともなげに、
「そうねぇ。・・・でもまあ、会えるときは、会えるわよ。またお金貯めていらっしゃい」
と笑顔。よく分からないけど、なんだか納まる形になってしまった。
「ああ、いたいた」
「ついに出発だね」
いつもののんびりした声と、紳士な声が聞こえる。
「宮さん、佐々木さん」
「ん?なあに、これ」
宮さんが大きなお腹をさすりながら、テーブルの上のガラクタを指差す。
「これ・・・皆わざと関税にひっかるようなものくれるんですよー」
ぼくがここぞとばかりに不平を言うと、住人たちはぶうぶう言いながら、それでも楽しげに笑っている。
「そうかぁ・・・じゃあこれ、また荷物になっちゃうかな?」
「なんすか?」
宮さんがズボンの尻ポケットから出したもの、それは木で出来た直角定規だった。