チエちゃんの村で、水道が引いてある所といえば、役場や学校などの公共施設の他は、中心地のごく限られた地域でした。ほとんどの一般家庭では、井戸を掘り、地下水を汲み上げて、それを飲料水として使っていました。
学校帰りに通る村道に面した、とあるお宅には玄関のまん前に丸い井戸がありました。
まるで、「どうぞ、水を飲んでいってください」と言わんばかりです。小学生たちが利用しないはずがありません。
水、飲ませてくださ~い!
大声で口々にこう言うと、家の人の許可も下りないうちに、木製の井戸のふたをずらして、ふたの上に伏せてあった、アルマイトの柄杓で井戸水をすくい、ゴクゴクと飲み干したものでした。
梅雨の晴れ間のジリジリと暑い日に、額に汗して飲むその一杯の水のなんと美味しかったことか。
チエちゃん家にも裏庭に井戸がありました。
とし江ちゃん家のように汲み上げる釣瓶はなく、ポンプを使って水を汲み上げていました。
井戸には、不純物が入らぬよう、人が誤って落ちぬよう、コンクリートの重たいふたがのせてありました。そのかわり、井戸の脇には清水が湧き出す小さな池と流し場があり、この水を汲んで野菜を洗ったり、夏には池にスイカを浮かべて冷やしたりしました。
湧き水の温度は一定で、夏でもしばらく手を入れているとしびれるほど冷たく、魚もカエルも、イモリも棲むことはできませんでした。
真夏の炎天下の中を帰ってきたチエちゃんは、ランドセルを下ろすなり、ポンプへと直行し、ガッコン、ガッコンと水を汲み上げます。
しばらくそうして汲み上げると、表面の生暖かい水は流れ去り、底から冷た~い水が出て来るのです。
その水をコップに注いで、一気に飲み干します。
あぁ~、うまい!
乾いた喉を潤すその水は甘く、喉を通った後も、口の中に水の味が残っているのでした。
水は無味無臭というけれど、絶対に味があるんです。
後年、「○○のおいしい水」などと銘打って、ペットボトルに入った水が販売されようとは、ましてそれを自分が買うことになろうとは、この時、夢にも思わないチエちゃんでした。
学校帰りに通る村道に面した、とあるお宅には玄関のまん前に丸い井戸がありました。
まるで、「どうぞ、水を飲んでいってください」と言わんばかりです。小学生たちが利用しないはずがありません。
水、飲ませてくださ~い!
大声で口々にこう言うと、家の人の許可も下りないうちに、木製の井戸のふたをずらして、ふたの上に伏せてあった、アルマイトの柄杓で井戸水をすくい、ゴクゴクと飲み干したものでした。
梅雨の晴れ間のジリジリと暑い日に、額に汗して飲むその一杯の水のなんと美味しかったことか。
チエちゃん家にも裏庭に井戸がありました。
とし江ちゃん家のように汲み上げる釣瓶はなく、ポンプを使って水を汲み上げていました。
井戸には、不純物が入らぬよう、人が誤って落ちぬよう、コンクリートの重たいふたがのせてありました。そのかわり、井戸の脇には清水が湧き出す小さな池と流し場があり、この水を汲んで野菜を洗ったり、夏には池にスイカを浮かべて冷やしたりしました。
湧き水の温度は一定で、夏でもしばらく手を入れているとしびれるほど冷たく、魚もカエルも、イモリも棲むことはできませんでした。
真夏の炎天下の中を帰ってきたチエちゃんは、ランドセルを下ろすなり、ポンプへと直行し、ガッコン、ガッコンと水を汲み上げます。
しばらくそうして汲み上げると、表面の生暖かい水は流れ去り、底から冷た~い水が出て来るのです。
その水をコップに注いで、一気に飲み干します。
あぁ~、うまい!
乾いた喉を潤すその水は甘く、喉を通った後も、口の中に水の味が残っているのでした。
水は無味無臭というけれど、絶対に味があるんです。
後年、「○○のおいしい水」などと銘打って、ペットボトルに入った水が販売されようとは、ましてそれを自分が買うことになろうとは、この時、夢にも思わないチエちゃんでした。
本当にあの頃は、水を買うなんて
絶対ありえない!というか考えてもみなかったことでしたね
井戸水って冷たくって美味しいのよね。
井戸のあるお家は貴重で、あるお家に行った時は珍しくって、カッコンカッコンとやってました。
勿論許可を貰って(笑)
ヒンヤリ冷たくって気持ち良かったわ。
水を買う様になるなんて、思いもしなかったし、買うものではないと思ってたけど・・・。
時代の流れ?買う様になったものね
夏になると、ヤカンに冷たい水を汲みに行きました。
確かに、甘みがあったような気がします。
ホント、水を買う時代が来ようとは、想像もつきませんでした。
わんぱくでもいい、大した事なくてよかったですね。
で、その時はひとりで這い上がれたんですか?
みんな似たようなこと、やってたんですね。
なんか、安心しました。
チエちゃんたちが水を飲ませてもらっていたこのお宅、嫌な顔一つせず、「はいはい、いいですよ」といつも言ってくれました。
お茶もおいしいですよ。
家を離れた時、水道水がまずくて困りました。
チエちゃん家では、今でも井戸水を使っていますが、さすがにポンプは電動式のものに変わり、蛇口をひねれば出てくるようになっています。
あの汲み上げ式ポンプも見かけなくなりました。
チエちゃん家の井戸は、重たい蓋があって、中を見ることができませんでしたが、お友だちの家にはつるべで汲み上げる井戸がありました。
中は暗くて、底を見ることはできませんでした。
楽し遊び半分で、水汲みをした覚えがあります。
このお宅には、水がめがあったように記憶しています。
我が家は、家の中に井戸があって、そこから隣の流しに
ガッコンガッコンとくみ上げてました。
子供のころはつるべもあったと思うのですが。
かまどもあったし、七輪もあったし。
かまどに焚き物をくべながら、いろんなことを空想したものです。
ありがとうございます。最近では『チエちゃんの昭和めもりーず』を覗いてから休むのが日課となっています。