久美ちゃん・・・
実家を継いでいる久美ちゃんの妹さんから、
ミノルっちが直に聞いたっていうんだから、間違いじゃないんだよね。
久美ちゃん、人一倍健康に気を使ってたのに・・・。食品添加物とか、無農薬野菜とか、こだわってたのに・・・。
そんなことには無頓着な私がこうしてピンピンしてるのに、なんて皮肉なの。
久美ちゃん、
あの時は本当にうれしかったよ。
私の受験校を知った時、あなたは言ってくれた。
「なぜなの?チエちゃんは、J高を受けるとばかり思ってた。
力があるのに、受けないなんて変だよ。
わたしは、チエちゃんと一緒に通学できると思ってたんだよ。」
ごめんね、久美ちゃん。
あなたには、私の不純な考えは理解できなかったと思う。
あなたが結婚して東京へ行くと風の便りに聞いた時、天職と決めていた教師を辞めてもよいほどの相手と巡り会えたんだなあと私もうれしく思っていたのよ。
それから、
成人式の時、私は約束破っちゃったね。
あの時のあなたの唖然とした顔、今でも覚えてる。
二人で、成人式には矢羽模様の着物に袴をはいて、髪には大きなリボンを付けて大正ロマン風にしようねって約束してたのに、・・・ごめんね。
私、あの時はちょっとワケありでサ、もうどうでもよかったんだ。
だから、着物も適当に選んじゃった。
あの時のこと、ちゃんと謝っていなかったのに、もうそれもできないなんて・・・
つづく