右下の写真はフランス盤LPジャケットです。
日本盤LPのデザインと見比べて下さい。
CDの曲について補足説明します。
① Dans le Regard d'Alain Delon
⑧と全く同じドラムとベースのリズムにゲッツのテナーとピアノのアドリブが自由に展開し、
さらにロンドン交響楽団のエモーショナルなバックの音がかぶさります。
映画のムードに合わずゴージャスな印象を持つ曲の為、
映画では未使用となったものと思われますが大変素晴らしい曲です。
② Paris, Cinq Heures du Matin
LPとはゲッツのソロ演奏が異なる映画での未使用バージョン。
LP&映画バージョンはクールなソロから徐々に情熱的なソロへと移行しますが、
この未使用バージョンはいきなりホットなゲッツのブロウから始まり徐々にクールダウンして行きます。
④ Getz O Mania
関氏ご指摘通り映画での未使用曲で、ボサノバ時代のゲッツを彷彿とさせる曲です。
ラストのピアノのソロが始まった途端にゲッツのソロもなく
終わってしまうのがちょっとあっけない気もします。
⑥ Un Homme dans la Ville
曲名は『暗黒街のふたり』の原題からの引用と思われます。
この曲にはゲッツは登場せず、代わりにアコーデオンの物悲しいソロが主題を演奏し、
これまたロンドン交響楽団のエモーショナルな演奏がバックを彩ります。
⑩ Elysee-Matignon
⑧と同じくクラブでのシーンのバックで流れ、
華やいだ店内のムードを表すゲッツお得意のボサノバ曲。
このアルバムの中では唯一エレクトリック・ピアノとゲッツの共演が聴ける曲。
⑪ Solitude
この曲もゲッツの演奏は無く、代わりにアコーディオンが主題を奏でます。
⑩と同じリズム隊がバックを固めているフュージョン・ミュージックの小品。
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もともとスタン・ゲッツはミシェル・ルグランやクラウス・オガーマンと組んで
ウィズ・ストリングス物のアルバムが多いジャズ・ミュージシャンなので、
この『チェイサー』のサントラでのロンドン交響楽団との共演は
ゲッツにとっては得意分野であり、十分その実力を発揮してくれました。
ここでのゲッツの演奏はよく言われる“クール”というよりも
逆に“ホット”で腹の底からしぼり出すような情熱的なプレイを聴かせてくれます。
映画でのアラン・ドロンが感情を表に出さず常に冷静な役柄であることから
ドロンの内面の心理をゲッツのサックスが代弁する役割を見事に果たしています。
最後にロートネル監督の書いたライナーノーツの続きを。
--------------------------------------------------------------------------------
ある意味において、このスコアは新たな歴史を切り開いた。
映画史の中で最もお金のかかったレコーディングだからだ!(笑)
だが何と素晴らしい結果だろうか!
我々はゲッツと彼のリズム・セクション、そしてロンドン交響楽団とロンドンで数日間共に過ごした。
映画の35ミリフィルムを上映する20メートルのスクリーンに向かいながら
そこは信じられないような雰囲気だった。
スタジオの中の影、プロジェクターから発せられる光、机の上の電灯、そして生まれてくる音楽・・・
フィリップは神経質なほどの完璧主義者で、
ミュージシャンがへとへとになるまでテイクを繰り返した。
私は後ろで観客としてそのレコーディング風景を観ていた。
ゲッツはその伝説的な存在で私と私の撮ったフィルムの為にプレイし、別世界へといざなってくれた。
交響楽団を前にしてのその音色、そのユニークなフレーズ、・・・・
私は脊髄の奥まで身震いした。
そしてその音楽が映画にかぶさった瞬間の何と官能的であったことか。
フィリップの選択は全く正しかった。
ドロンの眼差しとゲッツの音色の間で真のマジックが生まれた。
サキソフォンはドロンの険しい顔を和らげ、そこに何か違ったものをもたらした。
やさしさや悲しみ、あるいはノスタルジーといったものを。
主人公がこの事件にあえて飛び込むのは
それは彼が過去に忠実であり、亡くなった友人との友情に忠実であったからだ、
と音楽で思わせてくれたのだ。
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日本盤LPのデザインと見比べて下さい。
CDの曲について補足説明します。
① Dans le Regard d'Alain Delon
⑧と全く同じドラムとベースのリズムにゲッツのテナーとピアノのアドリブが自由に展開し、
さらにロンドン交響楽団のエモーショナルなバックの音がかぶさります。
映画のムードに合わずゴージャスな印象を持つ曲の為、
映画では未使用となったものと思われますが大変素晴らしい曲です。
② Paris, Cinq Heures du Matin
LPとはゲッツのソロ演奏が異なる映画での未使用バージョン。
LP&映画バージョンはクールなソロから徐々に情熱的なソロへと移行しますが、
この未使用バージョンはいきなりホットなゲッツのブロウから始まり徐々にクールダウンして行きます。
④ Getz O Mania
関氏ご指摘通り映画での未使用曲で、ボサノバ時代のゲッツを彷彿とさせる曲です。
ラストのピアノのソロが始まった途端にゲッツのソロもなく
終わってしまうのがちょっとあっけない気もします。
⑥ Un Homme dans la Ville
曲名は『暗黒街のふたり』の原題からの引用と思われます。
この曲にはゲッツは登場せず、代わりにアコーデオンの物悲しいソロが主題を演奏し、
これまたロンドン交響楽団のエモーショナルな演奏がバックを彩ります。
⑩ Elysee-Matignon
⑧と同じくクラブでのシーンのバックで流れ、
華やいだ店内のムードを表すゲッツお得意のボサノバ曲。
このアルバムの中では唯一エレクトリック・ピアノとゲッツの共演が聴ける曲。
⑪ Solitude
この曲もゲッツの演奏は無く、代わりにアコーディオンが主題を奏でます。
⑩と同じリズム隊がバックを固めているフュージョン・ミュージックの小品。
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もともとスタン・ゲッツはミシェル・ルグランやクラウス・オガーマンと組んで
ウィズ・ストリングス物のアルバムが多いジャズ・ミュージシャンなので、
この『チェイサー』のサントラでのロンドン交響楽団との共演は
ゲッツにとっては得意分野であり、十分その実力を発揮してくれました。
ここでのゲッツの演奏はよく言われる“クール”というよりも
逆に“ホット”で腹の底からしぼり出すような情熱的なプレイを聴かせてくれます。
映画でのアラン・ドロンが感情を表に出さず常に冷静な役柄であることから
ドロンの内面の心理をゲッツのサックスが代弁する役割を見事に果たしています。
最後にロートネル監督の書いたライナーノーツの続きを。
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ある意味において、このスコアは新たな歴史を切り開いた。
映画史の中で最もお金のかかったレコーディングだからだ!(笑)
だが何と素晴らしい結果だろうか!
我々はゲッツと彼のリズム・セクション、そしてロンドン交響楽団とロンドンで数日間共に過ごした。
映画の35ミリフィルムを上映する20メートルのスクリーンに向かいながら
そこは信じられないような雰囲気だった。
スタジオの中の影、プロジェクターから発せられる光、机の上の電灯、そして生まれてくる音楽・・・
フィリップは神経質なほどの完璧主義者で、
ミュージシャンがへとへとになるまでテイクを繰り返した。
私は後ろで観客としてそのレコーディング風景を観ていた。
ゲッツはその伝説的な存在で私と私の撮ったフィルムの為にプレイし、別世界へといざなってくれた。
交響楽団を前にしてのその音色、そのユニークなフレーズ、・・・・
私は脊髄の奥まで身震いした。
そしてその音楽が映画にかぶさった瞬間の何と官能的であったことか。
フィリップの選択は全く正しかった。
ドロンの眼差しとゲッツの音色の間で真のマジックが生まれた。
サキソフォンはドロンの険しい顔を和らげ、そこに何か違ったものをもたらした。
やさしさや悲しみ、あるいはノスタルジーといったものを。
主人公がこの事件にあえて飛び込むのは
それは彼が過去に忠実であり、亡くなった友人との友情に忠実であったからだ、
と音楽で思わせてくれたのだ。
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