LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を探ります。

"LE SAMOURAI"

2006-06-04 | TRIVIA
昨日Astay様からコメントで質問がありました『サムライ』に登場する鳥の種類ですが、
メルヴィルのインタビュー本を読みましたが、何の鳥かは特に書かれていませんでした。

そこで芳賀書店『血とバラの美学/アラン・ドロン』(田山力哉 編)を見ますと
114ページ、矢島翠の投稿文の中に「カナリア」と書かれていましたので、
ここは「カナリア」ということで、いかがでしょうか?

掲載写真ですが
上段 左から2枚は『サムライ』から、その鳥かごです。
右は『鷹』の中でサムライのテーマ音楽をバックに一瞬登場する鳥かごです。
どうせこのように引用するなら同じデザインの鳥籠を用意すべきなのではないか
と思ってしまいました。

中段は『サムライ』より夜明けに警察から釈放されてタクシーを拾って帰る場面。
下段はその同じ場所でロケ撮影された『危険なささやき』の場面です。

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3 Comments

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ありがとうございます (Astay)
2006-06-04 16:08:21
チェイサーさん、お手数かけてすみません

私もその《カナリヤ》と言う文章は読んだのですが

カナリヤ=黄色ってイメージがあったものですから

もしかして違うのかしらって考えてました

でも、カナリヤの種類なのかもしれませんね(納得)



『鷹』での鳥かご&一瞬のテーマソングもうっかりすると見落とすとこですよね

ドロン氏の監督作品なので使ったのでしょうか

???

ちょっとユーモラスで嬉しかったりしました



ありがとうございま~す
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ドロン『サムライ』 の小鳥について (TadaMinoru)
2016-11-18 00:48:57
初めまして

『サムライ』のアパートでドロン演ずるジェフと共に暮らす
あの小鳥は、まさにジェフのパートナーであり、映画の中でも
重要な役割を演じている名キャラクターと言えるでしょう。

フランソワ・ド・ルーペの素晴らしい 名曲も、あの小鳥の
少し物悲しげに口笛を吹くような鳴き声と合わさってこそ、
初めて完成するかのように織り込まれた旋律だと思います。

しかし古今数多の『サムライ』評の中で、あの小鳥の正体を正確に
解説している資料がないのは意外にも思えます。野鳥に詳しい人なら、
あの声を一声聴くだけで「ああ、ウソだね」と言い当てるでしょう。

「ウソ」とは日本にも生息するアトリ科の小鳥の種名です。
太宰府に伝わる民芸品の「木うそ」も、このウソがモデルです。
名前の由来は口笛の古語である「うそ」で、人の口笛のような
鳴き声から来ています。語呂合わせで、悪い出来事を“嘘”にして
しまうから、幸福を運ぶ縁起物になったとも言われています。

少し前までは知事の許可を取れば野外で捕獲して飼育できる
種の一つだったのですが、今は知事の許可も出ないので輸入
されたものしか飼うことはできません。

『サムライ』 に出てくるウソはヨーロッパ産のウソで、日本の
ウソとは亜種関係にあるベニバラウソという種になります。
日本のウソは喉元だけがピンク色に染まっているのに対し、
ヨーロッパ産のベニバラウソは名前の通り、お腹の下まで
ピンク色なのが特徴です。ただしウソもベニバラウソも
ピンク色の色彩を持つのはオスだけで、メスは地味な色を
しています。特徴的な黒い帽子のような頭の色は雌雄とも
同じなのですが。。

鳴き声は日本のウソもヨーロッパのベニバラウソも同じです。
ジェフが飼っていたウソはお腹の下まで赤味があったので、
ベニバラウソのオスということになりますね。

ウソは日本でもヨーロッパでも飼い鳥として長く親しまれて
きた小鳥なのですが、中でもウソを高く評価していたのが
ノーベル賞も受賞したオーストリアの動物行動学者である
コンラート・ローレンツ博士でしょう。

ローレンツ博士の代表的な著作である『ソロモンの指環』の
第8章『何を飼ったらいいか!』の中で、このようにウソの
魅力が紹介されています。

「家の中を楽しく生き生きとしたいのなら、小鳥を一つがい
買うのがよい。幸せに結婚したウソの夫婦がいる大きなカゴが、
どれほど楽しい空気をかもしだしてくれることか、まあ試して
みるとよい。オスのウソのしずかにおしゃべりするような、
しかも甘い歌声は、驚くほど気分をしずめてくれる。彼に
ふさわしく荘重な、かなり丁重な求愛のしぐさ、そして妻への
やさしい不断の思いやりは、鳥かごの中で見られる一番可愛らしい
ものの一つである。世話といったら日に数分でよい。まき餌は
二、三十円で売っているし、献立の唯一の彩りである青菜だって
すぐに買える。」

『ソロモンの指環』のヨーロッパ初版は1945年ですから、
1967年の『サムライ』よりずっと前に書かれたものです。
私が『サムライ』をテレビの洋画劇場で初めて観たのは
中学生の頃でしたが、既に『ソロモンの指環』を読んで
いたのと、祖父が野鳥好きで色々な鳥の声を教えてくれて
いたことから、ジェフのアパートのシーンで小鳥の姿が
映し出された瞬間に、「あ、ウソだ」と思い、そして
次に、「なぜこの人はウソをつがいの夫婦ではなく、オスを
一羽だけで飼っているんだろう」と不思議に感じたものです。

物語が進むにつれ、この男は殺し屋で、孤独な生活の心を
癒す相棒としてウソのオスを一羽だけで飼っていることを
理解します。メスに優しく呼びかけるはずのその鳴き声も、
ジェフの孤独を代弁しているかのように寂しく、それでも
優しさを忘れさせまいと、孤独を共有しながら互いに支え
あっているようにも感じられました。

だからこそ、留守中に刑事が仕掛けた盗聴器の存在を
ジェフに知らせたあのシーンに、「でかしたぞ、ウソ」
というエールを送りたい気持ちになったものです。
今にして思えばマセた中学生でしたね(笑)。

ジェフが死んだ後、あのウソはどうなったのでしょう。
死を覚悟したジェフが部屋を出る際、ウソに何かを施した
のかの記憶が思い起こせないので、籠の中のウソは、
ジェフ の帰りを待ちながら鳴き続け、やがて寂しく
命を落としたのかもしれません。

『サムライ』は、あのウソの存在をなくして物語が成立しない
ほどの役割をなしている点で、映画史上もっとも名演技を
果たした小鳥と言えるのではないかと思います。

もしご関心があれば、ぜひ『ソロモンの指環』を読んでみて、
そのうえで『サムライ』を改めて鑑賞すると、また違った
味わいが生まれるかと思います。私もまた観たくなりました。
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TadaMinoru様 (チェイサー)
2016-11-18 13:58:52
はじめまして。
私の古い記事に詳細な解説をくださり、誠にありがとうございます。
大変勉強になりました。

私の記事の中で、あの鳥は「カナリア」と書きましたが、それは真っ赤なウソだったようですね(笑)
申し訳ありませんでした。
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