ぶつぶつ地蔵

地蔵 呟く ひーの言葉を。ぶつぶつと…。

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役者による小説のススメ ~○男、□女~

2005-07-28 01:09:52 | 舞台関係
7月27日、素敵な夜だった(パクリはもぉ、ええっちゅーの
会社の後、カフェへ小説のススメを聞きに行ったのだ。

場所は梅田に程近い、中崎町。
店の名前は、common cafe

こぢんまりとした、でも、少し明るいめのお店の中、ゆるゆるとそれははじまった。

○男に、蟷螂襲さん(PM/飛ぶ教室)
□女に、嶋田典子さん

役者によってススメられた作品は全部で5つ。
5分を4作品と、最後に30分の1作品という具合。

『春は青いバスに乗って』 作/西村賢太 … 蟷螂襲
刑務所からでてきたバカリの男が考えたこと。祝い・酒・女・・・しかし現実に待ち受けていたものは、借金の返済。
作者の体験を小説にしたものだとか。。。

『風葬の教室』 作/山田詠美 … 嶋田典子
小学生の私が体験した「いじめ」。小さくても女の子は「女」の部分を持っている。いじめにあっている子供を通して描かれた「女」の部分。

蟷螂さんが選ばれた作品は、『男の戦い』。嶋田さんが選ばれたのは『女の戦い』。
ほんの5分間の朗読に、作品のすべてを凝縮させて読まれている。(様に感じる。)
どちらの作品も読んだことがないし、今迄に私が踏み込まなかった世界の話。不思議な気持ち。
朗読の間と後にトークがある。
嶋田さんが言っていた。
「男の人って、自分の内へ内へと戦いをするでしょ?蟷螂さんはそういった作品を選ばれた。それに対して、女は外へ外へと戦いを挑む。なので、私はこの作品を選んだの」

5分の休憩を挟んで次の作品。
『刈入れ時』 作/藤澤清造 … 蟷螂襲
お金がない男が、金をどうにか工面して女を買おうとする。叔父はフワフワとしている男を落ち着けようと嫁取りの話をする。しかし、男の思考は一つトコロに留まること無く、フワフワフワ・・・

『グロテスク』 作/桐野夏生 … 嶋田典子
普通の男は見向きもしない年齢となった和恵とゆりこの娼婦のあり方。和恵の生き方。ゆりこの娼婦論。実際にあった事件に題材を得て書かれた作品らしい。

蟷螂さんは西村氏(『春は青い~』の作者)が研究されている藤澤氏の貧困話を選ばれていた。今回も女の戦いをテーマに選ばれた嶋田さん。
嶋田さんの作品の娼婦に対し蟷螂さんが言っていた。
「昔な、天王寺の地下街にそう言う女の人立っててん。今では梅田にも居るねんな。でな、僕はその人とすれ違う時…まったく関係のナイただの通りすがりやねんけど、言葉に出来ない思いが込み上げて来るねん」
役者とは、作り上げる人とは、常に『観察』し『感じる』のだな。と思った一言でした。

更に5分の休憩を得て、最後の作品『三の酉』 作/久保田万太郎… 蟷螂襲、嶋田典子
芸者とお客のたわいない会話。その中に折り込まれている、芸者の人生や、思いや、憧れ。
ほとんど会話で作り上げられている文章は、まるで朗読劇を聞いている様。(朗読劇なんて言葉、あるのかしら?)


文章とは不思議なもので、目で読むのと、音に出して読むのとでは随分違うようである。
今回私は、どの作品も読んだことのナイ物ばかりであった。でも、自分で黙読するのと、音になった文章を聞くのとでは浮かぶ情景が変わる気がする。それは、読み手の感情や演出も入るからだろうけれど・・・
1作目も3作目もたんたんと朗読していた蟷螂さん。とてもよいお声でした。5作目では、打って変わって抑揚のあるセリフ。
嶋田さんは全体的に山谷のある口調で朗読をされていたように思う。特に5作目では、艶のある芸者の粋な言葉遣いが素敵だった。

カフェでお茶をしつつ、聞かせてもらう・・・と言う舞台。
開始のベルもなければ、休憩のアラームもない。
おおまかに決められた(いや、ちゃんと細やかに計算はされている)時間を、ゆぅるりと役者が語り、客が耳を傾ける。
食事をしているお客もいる。カチャカチャと食器の鳴る音。
飲み物を口にしつつ役者が読む。カランと氷が鳴る音。
外を走る車のエンジン音。
すべて偶然が作り出す音響である。
「うるさい」音は存在しなかった。
目を閉じて聞く人もいれば、体を向きなおして聞き入る人もいる。

中嶋らもさんと縁のあるお二人だったので、らもさんのお話も少しされた。
昨日(26日)がらもさんの一周忌だったらしい。
人を偲ぶのは、気心しれた仲間同志で語り合うのも良い。一人で思いを馳せるのも良い。どんな形でも、その人を想えば良いのだと私は思っている。
らもさんは、実は食わず嫌いだった。食べてないんだから嫌いになる必要はないので、嫌いではないのだが、特別に興味がなかったのだ。
世間の、問題を起こした時に出る程度の知識しかない。そんな私がらもさんについては何も語れない。でも、今日お話を聞いて、読んでみたいな、と思った。

朗読中、何杯か飲まれた焼酎で気が大きくなったのか、蟷螂さんが今日お持ちになった本をお客に下さった。
私が頂いたのはこれ  
「どれでも好きなのを持って帰っていいよ」とおっしゃられたので、机迄見に行った。
沢山詰まれたほんの中で、この本が一番に目に止まった。
「これを頂いていいですか?」と私が言うと、小首をかしげて「これも、面白いよ」と答えて下さった。

今回、会場でMOP関係の人と同じテーブルだった。もう一方、小川さんのお知り合いの方も同じテーブルだった。今迄、滅多に話すことの無かった人と、今迄知らなかった人と・・・5分の休憩に話し合ったりして、すごく楽しかった。普通の舞台を一人で行けば、むっつりと黙り込んでるか、友達と行けば、友達を感想を述べあうか・・・ですからね。まったく違う展開です。知らない人との会話がスムーズに出て来るって。
素敵なお店。美味しい食べ物。そして美味しい時間。。。
こういうのもイイよね。

最後に嶋田さんが今回のコンセプト『○男、□女』についてお話された。


男はぐるぐると自分に還る戦いを挑む。それはまあるい○なのだと。女はいろんな所にぶち当たる□・・・でもやっぱり自分に還って来るのだと。



そうそう、書き忘れるトコロだった。トークの途中でね、蟷螂さんが歌ったの。
「明日と言う字は、明るい日とかくのね~♪」
コレを聞いた私と隣のMOP関係者(元、かな?)は顔を見合わせて笑った。だって・・・
「明日と言う字は、明るい日と・・・書くんでごあす」と才助のセリフにあったんだもん。で、この後、私の頭の中では、「シャカシャカシャカシャカ、あなたのお名前何てぇの?」が回ったのでした。。。恐るべし、HAPPY MAN

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3 コメント

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いいなぁ… (あー母)
2005-07-28 23:39:57
ステキな時間を過ごしたのね。

なんかおしゃれで、贅沢な時間だね。



山田詠美さんの作品は好きでほとんど持ってるからもし興味があったら言ってちょ

小説はなかなか大人な世界で、エッセイはめちゃ面白くてけっこうおすすめですぞ



ところで、ビーズ、もちょっと待ってね
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面白いなぁ (たけこ)
2005-07-29 08:03:12
カフェで音楽っていうのはよく聞くけど朗読っていうのは面白いねぇ 

5分とかの短い話と言えば、昔、SFのショート・ショートにハマッた私としては興味ある

オムニバス形式のドラマや映画も好き(トワイライトゾーンとかね)なのだわ

らもさん、面白いっすよ

入院してた時に読んで笑ってお腹の手術跡がパックリいくかと思いました(笑)
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お返事 (ひー)
2005-07-29 12:00:44
>あーママ

毎日お疲れさん。あーママは詠美さん好きだったんだ。また、貸してもらうかもしれんです。物色に行くわ。

やっとポーの一族読みましたの。エドガーとアランでポーの一族・・・エドガーアランポーと関係あるのか~?などと思いましたが。いかが?



>たけこ姉

5分間のショートストーリーではなく、全体の中から5分間を抜粋して読み上げてるって感じでした。

すご~くいい雰囲気のお店でね、食事もオーガニックでおいしそうでした
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