惰天使ロック

原理的にはまったく自在な素人哲学

THN1-3-12p

2011年10月24日 | THN私訳
3-12 複数の原因をもつ半知識(承前)

なお、これまで述べた2種類の半知識、(1)完璧でない経験に由来する半知識と(2)互いに相容れない原因に由来する半知識のほかに、(3)類比(analogy)から生じる種類の半知識が存在する。この第三種の半知識は、素材的な事情(material circumstances)において前二者とはいくらか異なっている。先述した仮説に沿って言えば、原因ないし結果からの推理は何であれ次の2点を根拠とする。すなわち(a)過去の経験における2対象の恒常的連接、および(b)2対象のいずれかが現在の対象と類似することである。これらの結果として、現在の対象は想像を活気づけ、そして類似と恒常的な統合はこの勢いと活気を関係する観念へと伝え、これによって関係する観念は「信じられる」とか「同意される」と言われるようになるわけである。もし対象間の統合と類似のいずれかを弱めたとすれば、それは(この)推移の原理を弱めることになり、ひいてはこの原理から生じる信念を弱めることになる。対象間の連接が恒常的でない場合、または現在の印象が見慣れた統合のいずれとも完璧には類似していない場合、第一印象(the first impression)の活気は関係する観念に十分に伝えられ得ない。先述した偶然による半知識や、複数の原因をもつ半知識においては、統合の恒常性が減退する。一方、類比による半知識においては類似性だけが影響を被る。統合とある程度の類似がなければ、いかなる推理も存在することは不可能である、とはいえ、この類似性は様々な程度の相違を許容するので、推理は類似の程度に比例して確実さの程度を増減させることになる。事例はそれと厳密には類似しない事例に移されるとその勢いを失うけれども、なにがしかの類似性が残っている限り、半知識の根拠となりうるような勢いは依然として残るということもまた明らかである。

(3-12おわり)
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