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新薬は多し-治験の患者が不足

2006-08-03 | トピック
400もの新しい抗癌剤の開発は喜ばしい事実である反面、これらの臨床試験のための患者が近年急速に不足してることが専門家のあいだで懸念されている。新薬の開発はブームになっているが、実際試験に参加している患者はこの数年5~10%にとどまっている。臨床試験はあまりに長期に及び、時にデータ収集される前に打ち切られることもある。また、1つ新薬が現われると、1つ試験が打ち切られる可能性があるという。このことは医学の進歩を危機にさらすものである。一月何千ドル(何十万円)という抗癌剤治療費は企業にとって利益性の高い部門であり、2004年から2009年にかけて倍以上の売り上げを予測している。

昨年乳癌だけで259の試験が行われ、124,000人の患者が登録、この数は2005年に新たに診断された乳癌患者の58.7%に相当する。前立腺癌では新たな患者の20%を必要とする。年齢、性別、ステージ、前の治療などの適格基準も厳しい。現在必要なことは、最優先の新薬試験と、そのための患者割り当てを政府が決定すること、また、もっと重要なのは患者に登録を勧めることであろう。

主治医にとっても臨床試験参加手続きは煩雑で、あまり率先して行う医師は多くない。また、プラセボ、モルモットといった誤ったイメージをもつ患者も多い。研究によると、臨床試験参加者は、参加していない患者に比べ、少なくとも同等、またはそれ以上に状態がよいとされる。主治医の注意を引き、より高用量の化学療法を受ける傾向があるという。プラセボ群も決して偽薬だけに限定されるのではなく、新薬を比較する臨床試験では標準的治療は受けられるようになっている。
The Coalition of Cancer Cooperative Groupsの調査では、現在治療を行っている患者のうち可能な臨床試験があることを知っているのは10%である。
原文記事
NCIインフォ 癌の臨床試験Q&A


6 コメント

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どこも同じなのですね (Setochan)
2006-08-03 17:47:03
いい情報ありがとうございました。

米国ではもっと速やかに治験が進んでいるのかと思っていましたが,同じような問題を抱えているのですね。

でも,日本の治験の遅さはなんとかしたいものです。

Unknown ()
2006-08-03 20:48:37
臨床試験参加のお手本と示される米国でさえ、新薬開発に追いつけないのですね。このままじゃ、薬の開発は制限されてしまいますね。どうなるんでしょ。日本はなおのこと参加者が増えそうになかったりして…

NCIの臨床試験でこのようなものもありました。全訳はしなかったのですが。

http://www.cancerit.jp/NCIinfo/clinicaltrial/archives/53.html
ありがとうございました。 (やぶいぬ)
2006-08-06 14:24:48
希さん、日本では治験の数が10年で3分の1になってしまっているそうですよ。わたしにはとてもショックな数字でした。

記事をトラックバックさせていただきました。よろしくお願いします。
TB (希)
2006-08-06 20:02:57
うわ~、そうなんですかー?!

それはいけませんねーー最近は欧米からの影響もあって日本でも盛んになってるのかと思っていました。新聞のチラシなども盛んですし・・

記事、拝見しました。TB、ではなく、リンクをされるということだったのでしょうか?TBとはURLが違うので・・

私もTBさせていただきますね
Unknown (やぶいぬ)
2006-08-07 04:59:16
トラックバック、やり方をすっかり勘違いしていました(汗)。今度はうまくいったでしょうか?

日本の治験は、http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/change/20051102ik08.htm によると「治験数が1993年の1200件から2003年には299件と、10年で4分の1に激減。」だそうです。4分の1でした。がっかりです。
Goo (希)
2006-08-07 16:43:44
うまくいきました。

1/4ですか・・・

新薬承認を急ぐ患者の声と全く逆行していますね。患者が取り組まないと、みなが望む新薬承認は進まないということでしょうか。臨床試験は海外で、などというわけにも行かないでしょうし、早急に解決の必要がありそうですね。

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