豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

南極から石を持ち帰った冒険家に対して朝日新聞がツッコミ

2008年03月15日 | 山ネタ そのほか
夕方、のんびりとメシ食いながら夕刊を読み始めたところ、興味深いニュースが載っていました。早速ネットで検索してみたのですが、まだ引っ掛からないようです。

どういうことかと言いますと、世界七大陸最高峰単独登頂を目指している栗城史多氏が南極のビンソンマシフに登頂した際、記念品として石を持ち帰ったわけです。で、帰国後、それら記念品を入れたザックを車の後部座席に置いたままにしていたら、盗まれてしまったのです。

参考

で、これが今年1月半ばのことなのですが、ニュース等で流れたようです。



で、栗城氏は盗難届を警察に出したのですが、南極の石を持ち帰ったことに対して「登山家の良識としてどうか」という山岳関係者?の声が本日の朝日夕刊社会面に掲載されていました。記事では野口健氏へもインタビューを行っており、「ボクも持って帰ってしまいました。機会があったら返しに行きたい」なんて感じでコメントしています。記念用と贈呈用に持ち帰ったのだとか。



良いか悪いかはともかく、すごいツッコミですな。日本人女性初の南極点徒歩到達を達成した続素美代氏と最高齢で世界七大陸最高峰登頂した石川富康氏に対して環境省から「勝手に南極に立ち入ると法律違反」というニュースが流れた時はビックリしましたが、個人的にはそれ以上の衝撃です。


で、記念品として石を持ち帰る行為ですが、環境省は「南極条約議定書に抵触するかもしれない」てな感じでコメントしています。おそらく研究調査目的以外はダメって建前なんでしょうね。


私は登頂記念に石を持って帰るなんてことはしたことないですし、そもそも記念品を持ち帰るという発想がないですね。登山のテキストには大抵「石とか高山植物とか無断で持って帰ると国立公園法違反」って書いてありますし、そんなモンを持ち帰るのは無意味な行為だと思ってます。

そりゃ、石コロのひとつやふたつ、どうってことない、という見方もできますけど、それが積み重なれば将来的に良くない結果が待っているわけで、あまり褒められたことではないですね。




ところで、栗城氏のブログを読むと、2月18日付けの記事に前の記事を削除したという報告が載っています。で、この記事というのが朝日新聞の記者から取材を受けた時のことに絡んでいるようで、どうも記者から相当あれこれ言われたことに対する反論と「静かに見守ってくれ」というコメントが載っていたようです。この時の朝日の記者ってのが、もしかしたらこの夕刊の記事を書いた小峰健二氏なんでしょうか。

で、「その後、記者に謝罪しました。山に詳しく、あれだけ信念のある記者に会ったこともないのである意味尊敬もしております」と記事に書かれていることから、まあコトは収まったのでしょう。



正直な話、私は冒険家としての栗城氏はあまり評価していません。山や冒険に対する情熱は理解できるのですが、世界初とか無酸素とか単独といった言葉だけが走っていて、中身が伴っていない印象です。山の世界でも先鋭的なことをやっている人々だったら「そんなの単独とか無酸素とは言わん」と言い出しそうな記録もありますしね・・・



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