豊後ピートのブログ

元北アルプス槍ヶ岳の小屋番&白馬岳周辺の夏山パトロールを13シーズン。今はただのおっさん

五輪尾根で行方不明になった登山者が生還

2006年09月21日 | 山岳遭難
栂海新道から入山し、蓮華温泉に下る五輪尾根で行方不明になっていた登山者が、6日ぶりに救助されたそうです。

参考

8日に親不知から栂海新道に入り、白鳥小屋に宿泊、そして翌日朝日小屋を目指したものの途中でビバーク。翌日、朝日小屋に予定変更して五輪尾根を下ると連絡した後、消息不明になりました。

今年は8月に北海道のトムラウシ山でも、行方不明になった登山者が7日ぶりに救助された事故がありました。また9月には北アルプスの針ノ木岳で、道に迷った登山者が5日ぶりに自力下山し、山小屋に収容されました。似たようなケースが多い年ですね。



この遭難について、報道だけではいまひとつ情報不足なのですが、朝日小屋のサイトには、この遭難者から予約の電話を受けた話が書かれています。白鳥小屋から一気に10時間以上(標準コースタイムのみ)の行動で朝日小屋へ来るという話を聞いて小屋主が再考を求めたのですが、この遭難者はアドバイスを聞き入れてくれなかったようです。

山小屋の人間にとって、アドバイスを聞き入れてくれない登山者は困りものですが、それに加えてその人が遭難を起こすとたまらない気分になります。「あの時、もっと強く言うべきだった」と、後悔することも多いのです。

また、この遭難者のブログを読むことができました。これによりますと、4泊5日の行程で、避難小屋1泊、営業小屋3泊となっています。持参した食料は避難小屋での1泊分だけ、それにツェルトとフライ(おそらくツェルト用)を持っていかなかったようです。それにしてはザックの重量が19キロとなっており、いささか重い気がします。300名山を踏破するなど、そうとう経験を積んでいるように見えるのですが、その割に軽量化に無頓着だと思います。


今回の遭難の直接原因は道に迷ったことであり、荷物の重過ぎや長時間行動の強行はあまり関係ないかもしれません。が、山に対する謙虚さに欠けていたとは、言えるかもしれません。


こういう遭難を見るたびに、「自分も自信過剰にならないように」と思います。

4 コメント

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Unknown (2)
2006-12-01 22:48:40
この遭難は、今年を象徴するものだと思います。
遭難者は、ブログも閉めてしまったようですが、
ただ、叩かれていると思っていたのだとしたら
可哀相な人だと思います。
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Unknown (bongo-pete)
2006-12-02 02:09:47
この記事を書いた後、しばらくしてからもう一度見ようと思ったらブログが無くなってました。私が見た時点でもコメント欄にあれこれ書かれていたのを覚えています。

彼は300名山を踏破したぐらいですから、普通なら相当な経験を積んでなくてはおかしいのです。それにしては装備がヘンだなあ、と思い、記事にしてみた次第です。
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Unknown (2)
2006-12-03 23:07:51
僕もあの装備を見たとき、登山から懸け離れた
違和感を感じました。率直に言って気持ち悪い
と思いました。

これ以上書くと悪口になるのでやめますが、
豊後ピートさんの分析は面白いです。

自分だと、書くのが怖いなと思うことでも
はっきり書いてあるので、すっとします。
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Unknown (bongo-pete)
2006-12-04 02:46:55
過分なお褒めの言葉をいただき、恐縮です。

ただ今回の遭難者について、多少は同情する面があります。初心者時代にそれほど痛い目に遭わなかったから、恐れを知らぬベテラン登山者になってしまったのかなあ、と、思うのです。自信にあふれた彼のブログを読んでいて、そんな気持ちになりました。
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