アメリカでガイドをやっている日本人が「遅い人にペースを合わせるな!」と、日本のツアー登山で一般的な歩き方をDisっていたのですが、それをさらにDisったエントリーを書いたのは1年ほど前のことです。
遅い人にペースを合わせると体力が消耗する→本当っすか?
豊後ピートのブログ
このアメリカ在住日本人ガイドの人によれば、向こうでは各人が好きなペースで歩き、最後尾を「スイーパー」と呼ばれるガイドの人が固める方式らしいのですが、これについていろいろ批判を加えたのです。
で、この件を再び思い出す遭難事故が、日本国内で発生しますた。
【速報】広島の男性、大山で遭難か
中国新聞 '11/7/10
引用
同署によると、9日早朝、田積さんを含む広島県山岳連盟主催の登山教室の35人のパーティーが登山を開始。午前11時半ごろ、田積さんが「トイレに行く」と言って列を離れた。下山した午後5時ごろ、キャンプ場でいないことに気づいた。田積さんは携帯電話を持っておらず、連絡が取れないという。
引用おわり
下山してから気づくとか、凄いなあ・・・・・
ツアー登山ですと、休憩を終えて出発するたびに添乗員が参加者の人数を数えています。ですから、ほぼ1時間起きにチェックが入ってることになります。これだけ長時間、参加者が行方不明になっていることに気づかないとか、ちょっと信じられないですね。
とりあえず無事に発見されたのですが、この件について朝日新聞に詳報が出ています。
大山で不明男性 39時間ぶり救助
朝日新聞 2011年07月12日
引用
八橋署によると、田積さんは「用を足して登山道に戻ってみると、1人だけになってしまい、本隊に追いつこうと進んだが、焦る気持ちが先行して道に迷ってしまった」と話しているという。夜は防寒具を着て木の陰にしゃがみ込んだり、非常食や水を少しずつ取ったりしてしのいだという。
引用おわり
参加者がトイレに行くと告げているのに、戻ってくるのを確認しないまま、このパーティは動いてしまっているわけですね。こりゃ問題外と言わざるを得ません。
私がガイドやっていた当時、トイレはなるべく休憩タイムの時にするようにお願いしていましたけど、どうしても、という時はトイレに行った参加者が戻ってくるまでパーティを止めていました。そして、トイレについても、なるべく安全な場所をこちらで探して誘導しています。
さて、注目すべきは記事の最後の部分ですか。
引用
広島県山岳連盟は「1人が列を離れるときは、本隊の後方に離れて歩く『スイーパー』と合流するはずだが、今回のことが起こってしまった。田積さんや引率者らの話を聞き、再発防止に努めたい」としている。
引用おわり
ここですね。
「1人が列を離れるときは、本隊の後方に離れて歩く『スイーパー』と合流するはずだが」
そうは問屋が卸しません。
参加者がどんなにバラバラになって歩こうが、ケツ持ちである「スイーパー」がしっかりしていれば大丈夫、というのは、机上の空論です。
例えば、入山口から下山までまったく分岐が無い登山道があるとします。この道がしっかり整備されていれば迷うわけがないと、多くの人が思うでしょう。しかし、そんな登山道でも道迷いはいくらでも起こり得ます。特に歩くのに精一杯である初心者は視野が狭いですから、ほんのちょっとしたきっかけで登山道から外れた新世界へ簡単にいざなわれてしまうと思いますよ。この件については当ブログで書きまくっているので、適当に探して該当エントリーを読んでみてください。
初心者マーク付きの参加者がうっかり登山道から外れたとしても、インストラクターの視界内であれば早い段階で注意が飛びます。しかし、参加者が各自バラバラに歩いていたり、あるいはこのケースのようにトイレに行った参加者をノーマークで放置していたら、どうしようもありません。
朝日の記事に書かれている「スイーパーと合流するはず」というコメントは、道迷いをまったく想定していないのでしょうね。道迷いがどんなもんなのか、ってことも、実はよくわかっていないのでしょう。
朝日の記事によれば参加者は30人でインストラクターは5人もいるのですから、15人ずつの2グループにわけた上で、それぞれのグループの先頭と最後尾にインストラクターをくっつけて行動すればいいんではないですかね。15人ぐらいなら、それほど苦労せずとも全体を見ることができると思います。もちろん、パーティはなるべくコンパクトにまとめて行動する必要があります。バラバラ状態にしたら、大人数だろうが少人数だろうが、パーティの意味がありません。
遅い人にペースを合わせると体力が消耗する→本当っすか?
豊後ピートのブログ
このアメリカ在住日本人ガイドの人によれば、向こうでは各人が好きなペースで歩き、最後尾を「スイーパー」と呼ばれるガイドの人が固める方式らしいのですが、これについていろいろ批判を加えたのです。
で、この件を再び思い出す遭難事故が、日本国内で発生しますた。
【速報】広島の男性、大山で遭難か
中国新聞 '11/7/10
引用
同署によると、9日早朝、田積さんを含む広島県山岳連盟主催の登山教室の35人のパーティーが登山を開始。午前11時半ごろ、田積さんが「トイレに行く」と言って列を離れた。下山した午後5時ごろ、キャンプ場でいないことに気づいた。田積さんは携帯電話を持っておらず、連絡が取れないという。
引用おわり
下山してから気づくとか、凄いなあ・・・・・
ツアー登山ですと、休憩を終えて出発するたびに添乗員が参加者の人数を数えています。ですから、ほぼ1時間起きにチェックが入ってることになります。これだけ長時間、参加者が行方不明になっていることに気づかないとか、ちょっと信じられないですね。
とりあえず無事に発見されたのですが、この件について朝日新聞に詳報が出ています。
大山で不明男性 39時間ぶり救助
朝日新聞 2011年07月12日
引用
八橋署によると、田積さんは「用を足して登山道に戻ってみると、1人だけになってしまい、本隊に追いつこうと進んだが、焦る気持ちが先行して道に迷ってしまった」と話しているという。夜は防寒具を着て木の陰にしゃがみ込んだり、非常食や水を少しずつ取ったりしてしのいだという。
引用おわり
参加者がトイレに行くと告げているのに、戻ってくるのを確認しないまま、このパーティは動いてしまっているわけですね。こりゃ問題外と言わざるを得ません。
私がガイドやっていた当時、トイレはなるべく休憩タイムの時にするようにお願いしていましたけど、どうしても、という時はトイレに行った参加者が戻ってくるまでパーティを止めていました。そして、トイレについても、なるべく安全な場所をこちらで探して誘導しています。
さて、注目すべきは記事の最後の部分ですか。
引用
広島県山岳連盟は「1人が列を離れるときは、本隊の後方に離れて歩く『スイーパー』と合流するはずだが、今回のことが起こってしまった。田積さんや引率者らの話を聞き、再発防止に努めたい」としている。
引用おわり
ここですね。
「1人が列を離れるときは、本隊の後方に離れて歩く『スイーパー』と合流するはずだが」
そうは問屋が卸しません。
参加者がどんなにバラバラになって歩こうが、ケツ持ちである「スイーパー」がしっかりしていれば大丈夫、というのは、机上の空論です。
例えば、入山口から下山までまったく分岐が無い登山道があるとします。この道がしっかり整備されていれば迷うわけがないと、多くの人が思うでしょう。しかし、そんな登山道でも道迷いはいくらでも起こり得ます。特に歩くのに精一杯である初心者は視野が狭いですから、ほんのちょっとしたきっかけで登山道から外れた新世界へ簡単にいざなわれてしまうと思いますよ。この件については当ブログで書きまくっているので、適当に探して該当エントリーを読んでみてください。
初心者マーク付きの参加者がうっかり登山道から外れたとしても、インストラクターの視界内であれば早い段階で注意が飛びます。しかし、参加者が各自バラバラに歩いていたり、あるいはこのケースのようにトイレに行った参加者をノーマークで放置していたら、どうしようもありません。
朝日の記事に書かれている「スイーパーと合流するはず」というコメントは、道迷いをまったく想定していないのでしょうね。道迷いがどんなもんなのか、ってことも、実はよくわかっていないのでしょう。
朝日の記事によれば参加者は30人でインストラクターは5人もいるのですから、15人ずつの2グループにわけた上で、それぞれのグループの先頭と最後尾にインストラクターをくっつけて行動すればいいんではないですかね。15人ぐらいなら、それほど苦労せずとも全体を見ることができると思います。もちろん、パーティはなるべくコンパクトにまとめて行動する必要があります。バラバラ状態にしたら、大人数だろうが少人数だろうが、パーティの意味がありません。
休憩ごとにカウントしていれば、下山まで行方不明に気づかないなんてことはありえないのです。
>何とその人は人数が同じくらいの他のグループについて行こうとしてたそうです。
それ、ちょくちょく聞きますね。