国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

昭和33年10月7日 第30回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号から抜粋 第9話

2024-03-12 11:45:36 | 国鉄関連_国会審議

本日も、新潟闘争後の組合に対する当局の不当労働行為についての質問が十河総裁に対して行われており、その9話目となります。

国労組合員は昇級できない?

本件では、昇級の問題が組合で差別されているのでは無いかと言う視点で質問が続けられています。
この質問では、第二組合〔新潟地方鉄道労組)に加入したものは全員昇給しているのにも関わらず、国労組合員は昇給の資格を持っているにも関わらず見送られたとして、6名が国労であったので昇給を止められたと発言しています。

次になおお伺いいたしたいと思うのでございますが、特に労働者が一番自分の身にこたえてつらいのは、昇給の問題です。給料のストップや停止の問題です。これはこの人たちの終生を支配する重大問題でございますが、こういうようなことが新潟地本において公然と行われておるのでございまして、私の調べました問題だけでも、国労です、その国鉄新潟労働組合に所属したことだけで不当な差別を受けている。その事例を申し上げますと、まず第一は昇給問題でございまするが、有資格者の昇給です。有資格者で昇給に落された者、これが新津の車掌区において六名、全部国労です。しかるに同じく新津の車掌区におきまして、抜擢昇給または無資格者で昇給をいたしました者が二名おります。その二名はだれかというと、全部第二組合の組合員です。そして昇給をストップされた者は全部国鉄労働組合の職員です。

 次は新潟の電務区でございます。新潟の電務区には有資格者で昇給をストップされた者が七名ございます。その七名全部が国労の組合員であります。しかるに同じくこの電務区の職場において、抜擢昇給または無資格者で昇給した者が五名もございます。そのうちの一名は助役であります。河村局長の意を体して一生懸命に第一組合を弾圧いたしました助役が、この抜擢の栄誉に浴しております。なお次の四名は全部第二組合の組合員でありますし、そのうちの一名は実に二十二日病気欠勤をいたしました。これはたしか無資格者である。それが第二組合員なるがゆえに昇給をいたしております。

このような事例が実際にあったのか否かは、引き続き他の資料等も参照しないとなんとも言えないわけですが、当時の当局はかなり強気な組合対応を行っておりました。
その例として、昭和38年には勤務時間内入浴が横行していた田町電車区にあって、何度か警告の通達を掲示した後、勤務時間内入浴中の電車区職員を風呂場から連行して懲戒免職にするなど、組合に対しての姿勢が強行に感じられる事例が発生していましたので、当時、新潟でこのような組合による昇級の違いがあったのか否かは一概に言い切れないものの、不当な昇給停止は生活の問題もありますので、必ずしも組合員側の意見だけを鵜呑みにしてはいけないので、極めて可能性は少なく、それなりの合理的な理由があったように考えます。

そして、そう考えた理由は次章で書かせていただきます。

当局は組合による差別は行っていない

当然ながら総裁が現場の個々の組合員の昇級事情について知ってるわけがなく、同席していた、常務理事の発言が行われていますが、ここでの有資格者でありながら、昇級が見送りなった、その反面病休者であったが、昇格したものがあったがその物は国労組合員では無かった。
結果的に、国労組合員二名が排除される形になった事に質問をしています。

これに対して答弁した理事の発言では、長期病休などで昇級が延期になったものへの救済措置であることとしており、その背景にはその前にも病休などでの昇級が遅れていたのかもしれませんので、それこそ、人事記録を確認しないとなんとも言えないわけで、その結果予算の関係もあり昇級枠から外れたという理由になるかもしれません。

ただ、当時の国鉄当局はかなり強気な労使対決姿勢を示しているところがあり、又新潟鉄道管理局長〔当時〕は新潟闘争でも一歩も引かなかったこともあるようにかなり強気で、角藤の拠点でも有った新潟局の国労組合員に対して強気の対応をしていた可能性も捨てきれないように考えられます。

現時点ではこれ以上の資料がないので、私も調べようがないのですが新たな事実が判れば新たに、書き起こしていきたいと考えています。

続く


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************************以下は、国会審議議事録です*************************

○小林(進)委員 そういう気まま勝手な、絶対ございません、あれば事情を勘案して適当な処置をしますなどという御答弁には、私は満足するわけにはいきませんが、それは最後の結論に待つことにいたしまして、次になおお伺いいたしたいと思うのでございますが、特に労働者が一番自分の身にこたえてつらいのは、昇給の問題です。給料のストップや停止の問題です。これはこの人たちの終生を支配する重大問題でございますが、こういうようなことが新潟地本において公然と行われておるのでございまして、私の調べました問題だけでも、国労です、その国鉄新潟労働組合に所属したことだけで不当な差別を受けている。その事例を申し上げますと、まず第一は昇給問題でございまするが、有資格者の昇給です。有資格者で昇給に落された者、これが新津の車掌区において六名、全部国労です。しかるに同じく新津の車掌区におきまして、抜擢昇給または無資格者で昇給をいたしました者が二名おります。その二名はだれかというと、全部第二組合の組合員です。そして昇給をストップされた者は全部国鉄労働組合の職員です。

 次は新潟の電務区でございます。新潟の電務区には有資格者で昇給をストップされた者が七名ございます。その七名全部が国労の組合員であります。しかるに同じくこの電務区の職場において、抜擢昇給または無資格者で昇給した者が五名もございます。そのうちの一名は助役であります。河村局長の意を体して一生懸命に第一組合を弾圧いたしました助役が、この抜擢の栄誉に浴しております。なお次の四名は全部第二組合の組合員でありますし、そのうちの一名は実に二十二日病気欠勤をいたしました。これはたしか無資格者である。それが第二組合員なるがゆえに昇給をいたしております。

 長岡電務区の例を申し上げます。ここでは五名が昇給のストップをされております。全部国労の労働組合員であります。二名が抜擢昇給または無資格者で昇給をいたしております。その二名のうちの一名は第二組合員、組合の役員であります。他の一名は、第二組合員にして、これは三十八日間病欠をした人です。いわゆる無資格者であります。しかし第二組合員なるがゆえにということで抜擢昇給いたしております。

 関屋駅のことを申し上げましょう。二名が有資格者にして落されております。これは全部国労であります。二名が抜擢昇給または無資格者で昇給されている。一名は駅長です。関屋駅長というのは、実に弾圧の名手です。これがちゃんと抜擢昇給されておる。そして一名は第二組合員にして三十五日間の病欠です。病気欠勤をいたしました。しかしこれは昇給をしている。こういうような事例があります。いかに当局側が弁明しましょうとも、私が先ほど言うように、大衆の目はごまかせない。労働者はお互いの昇給やストップにはみんな敏感であります。自他ともに許す自分の昇給のストップなら、これは了承いたしましょうけれども、だれもが了承しない、ただ第二組合員なるがゆえに二十八日、三十五日休んでも昇給している。りっぱな有資格者も第一組合員なるがゆえに昇給しないという事例が、小さなこの地域の中にもかくのごとく現われている。これは私が調査した一部分だけの問題であります。おそらく新潟監理局を全部調べたら、こういう問題がもっと出てくるのではないかと思います。

 次に第二の問題といたしまして、組合活動をいたしたがゆえに、組合活動を理由にして昇給を停止された国鉄労働組合の員数を参考までに申し上げます。これは現在判明したものだけであります。これも私の調査でございますが、第一組合、国労の組合活動をしたということによって昇給のストップをされた者が酒田支部において二十六名、坂町支部において三省、新津支部において九名、新潟支部において十六名、四吉田支部において八名、柏崎支部において一名、長岡支部において七名、直江津支部において十三名、計八十三名、こういう数字が現われております。

 総裁、第三番目の問題を申し上げましょうか。第一国労に所属しているがゆえに特別に圧迫をせられた典型的な事例として一応関屋駅の事例を私はここで申し上げます。関屋の駅というのは定員二十七名の中で国労組合員が二名、第二組合員が二十二名、管理者が三名でございますが、そのうち昇給の有資格者が十九名あります。そのうち国労の組合員が二名、第二組合員が十六名、管理者が一名おるのでございますが、この国労組合員二名はそのまま昇給ストップをせられておりまして、第二組合員の十六名は全員昇給、管理者、駅長も抜擢昇給、しかも無資格者にして第二組合員が一名、管理者が一名、関屋駅においても昇給いたしておりますが、国労組合員二名だけはそのまま置き去られている例が明らかになっておるのでございます。

 以上申し上げましたように国労の組合員であるがゆえに全部が昇給していない、第二組合員全員が昇給している。さらに本部本社間の協定で無資格者として欠格条件に該当している者までがちゃんと第二組合員なるがゆえに昇給している。管理者につきましても有資格者が全員昇給し、さらに公然と第二組合の育成を関屋駅長は行なったがゆえに、昇給の時期でもないのに抜擢昇給している事実があるのであります。こういうような具体的事実について、総裁はまさかこれを否定されないと思うが、御所見を承わりたいと思います。

○十河説明員 私は多数の職員が一々どういうことをしたか、どういう事情によって昇給がどうなっているかということは存じませんが、単に甲の組合に属するから昇給する、乙の組合に属するから昇給させないというようなことは絶対にありません。それから単純に組合活動をやったからということで圧迫せられるというふうなことはないと存じます。

○小林(進)委員 私は具体的にこのように数字をあげて、職場も申し上げておるのでありますから、その職場の事情はこうだ、ああだと、いま少し具体的にうがった説明をしていただかなければならぬ。そういう不親切な答弁は私はいただきかねる。

○十河説明員 私自分で答弁したいのですが、そういう一人々々の各駅のこまかい事情は私存じません。もし必要があるならば、吾孫子常務が知っておれば、吾孫子常務の知っておることだけはお答えいたさせます。

○吾孫子説明員 ただいま御指摘になりました一つ一つのことについて必ずしも全部わかっておるわけでもございませんが、ただいま総裁が申されましたように、組合の所属によって昇給に差別をつけるというような扱いは絶対いたしておりません。その一つの例として申し上げますが、たとえば長期欠勤者は普通欠格条項ということで昇給からオミットされるのが原則でございますが、しかし同じ理由で二回以上昇給からは落さない、それから昇給定年というのがございますが、その定年を著しく超過した者に対しては不利益な取扱いをしない、従来そういう方針で行なっておるわけでございます。そういう考え方でおりますので、欠格条項に触れる者でも特に長期にわたって昇給できないような者につきましては、事情気の毒でもありますので例外の扱いをいたすこともあるわけでございます。それで今度の七月の昇給では新潟局の管内で十名ほど欠格条項に触れる長期欠勤者を特に昇給させております。その内訳を申しますと、国鉄労組の組合員が七名、機労の組合員が一名、それからいわゆる第二組合、新地労の組合員が二名でございます。なお、今申しました国労の組合員の七名の中には、百七十八日あるいは百四十七日というような相当長期にわたる病気欠勤者も昇給させておるのでございまして、新潟地労の組合員二名の方はそれぞれ三十八日、二十七日という程度の欠勤でございますが、そのように組合の所属によって不公平な取扱いをするということは一切いたしておりません。一つの例として御報告申し上げます。

○小林(進)委員 私は、ただいま私が申し上げました数字は、これは速記ができていると思いますし、できなければまたあとでお上げしておきますけれども、この職場と数字に対して一つ早急にお調べを願いまして、具体的な回答を書面でいただきたいと思います。

○吾孫子説明員 調査の上お答えいたしたいと思います。

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日本国有鉄道史 第42話  国鉄は日本輸送公社に脱皮せよ

2024-03-05 08:13:57 | youtube

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国鉄時代のお話ばかりと言われそうですが、単に懐かしんでいるわけでは無く。国鉄時代のお話を通じて、将来の日本のあり方などを検討していくと言うことを考えております。

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