友人と、日本橋三越にて開催中の”永遠のベルサイユのばら展”に行きました(~8月3日。その後も全国各地で開催)
*画像は日本橋三越のサイトから拝借。
ちなみに、ベルばらをご存じない方のためにご説明すると、ベルばらは約30年前、一大ブームを巻き起こした漫画で、フランスのルイ15世~フランス革命に至るまでの時代を舞台に、ルイ16世妃マリーアントワネット(画像右側)やオスカル(男装の麗人。架空の人物)の人生ドラマを描いたものです。宝塚の人気演目となり、またアニメ化もされ、原作の漫画は世界各国で出版されています。
平日の夜だというのに、会場は”もと乙女”たちでいっぱい。作者の池田理代子の原画を食い入るように眺めていました。漫画のストーリーを追った10分ほどのムービー上映も。
原画を読み進めると、子供のときにはわかっていなかった心のひだ、生きることの苦悩などが書き込まれています。それだけに、一昔前の作品であっても多くの人の心に残っているのでしょう。別の視点で考えると、こういった作品が日本人のゆがんだ西欧崇拝を象徴、かつ助長してきたのでは、功罪あるなあととも思いますが、描かれているドラマ自体はすばらしいものだと思うので、いつか読み返してみたいです。
作者池田理代子は連載開始時、弱冠24歳だったそうです。あらためて彼女の才能を思い知るとともに、もしかしたら今読んだほうがより感動するのではと思いました。
余談ですが、中学のときつまらないと思ったモーパッサンの「女の一生」を読み返したときにそう思いました。また、池田理代子がシュテファン・ツヴァイク作の伝記「マリー・アントワネット」を読んで着想を得てベルばらを描いたというのを読み、お年玉で購入し読んだのも懐かしく思い出しました(当時はみすず書房のハードカバーしか出ていなかった)。
何しろベルばらは20数年前に読んだきりでしたが、マリーアントワネットの恋人であったスウェーデン貴族フェルゼンへの片思いを忘れるため、男性として育てられたオスカルがはじめてドレスに身を包み舞踏会でフェルゼンと踊り、思い出を作ろうとするシーンが子供心に強く印象に残っています。オスカルのいじらしさ・純情さが胸に迫るエピソードでした。
この思いは私だけではなかったらしく、展覧会の最後に、このシーンの特別コーナーがあり、原画に忠実に作成したドレスが展示され、このエピソードがまるごと読めるようになっていました。
ドレスについて「このドレスはオスカルにとってウェディングドレスだから白色」という池田理代子のコメントがありました。オスカルは、後にはいつもそばにいて彼女を支えてくれていた従者のアンドレを愛するようになりますが、しかしながらそれはフェルゼンに対する気持ちとは違った類のもの(救い?)だということを端的に示しているように思います。
この展覧会に誘ってもらわなければベルばらのことなどすっかり忘れたままになっていたことでしょう。久しぶりに友人に会えたこともあり、楽しいひと時でした。ノスタルジーに浸りつつ併設の売店(オスカルを彫った50万円のカメオまであった!)でオスカルの一筆箋を買ってしまいました。同世代の人へのお便りに使ってみたいです。
バラのジャムとお茶についてはこちら ベルサイユのばら―完全版 (1) (SGコミックス)
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