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自己満足で色々かいてる独りよがりブログです。

福岡県福祉労働部 障がい福祉課 指定指導係さんへのお手紙

2018-02-27 19:54:02 | イラストブログ
初春の候、皆様におかれましてはますますご清祥のことと存じます。
 宗像市の社会福祉士事務所オフィスぷらんぷらんの独立型社会福祉士、今泉と申します。私が代表をつとめます合同会社 ソーシャルサポートぷらんぷらんにおきましては、放課後等デイサービス、相談支援事業所などでお世話になっております。
さて、厚生労働省より放課後等デイサービスを含んだ平成30年度の基準の見直し(案)におきまして、発達障害児に対する地域での療育が後退するのではないかと危惧しております。それは、今回の(案)の中に、「強度行動障害」という言葉が使用され、それに基づいた基準の変更が行われそうだからです。それを危惧し、別紙をパブリックコメントとして厚生労働省に送ることにいたしました。
私は20年以上軽重問わず、発達障害児者の研究、支援を行って参りました。ご存じのように、知的障害は、日本の法律上では発達障害とは区別されますが、医学的には知的障害も発達障害に含まれますので、当然、知的障害についてもよく理解しているつもりですし、支援もしてまいりました。「強度行動障害」という言葉は、1980年代後半くらいから、医療、心理の世界でしばしば目にするようになりましたが、医学的定義は全くなく、療育が必要な重度の知的障害児者、自閉症児者に使われてきた言葉です。強度行動障害の定義も、研究者によって様々で、一定の概念があるものの、決まったものはありません。現在、障害福祉サービスでは「強度行動障害」の研修が進められていますが、この強度行動障害児者に対する専門的な支援が行われている背景には、千葉での不幸な事件があり、厚生労働省において、平成24年度障害者総合福祉推進事業「強度行動障害の評価基準等に関する調査」が行われたことから始まっていると思います。重度の知的障害児者に適切な対応がなされることは喜ばしいことです。
しかし、今回私が危惧しておりますのは、知的障害を伴わない、または、軽度の知的障害を伴った発達障害児の療育が受けにくくなるのではないかということです。現在(案)の中で国が示している指標はその内容、指標の成り立ちからも、重度の知的障害児を想定したものであり、知的障害を伴わない、いわゆる発達障害者支援法における発達障害者(児)とは違ったもののように感じられます。発達障害を良く理解した専門職がアセスメントを行えば、十分該当するのかもしれませんが、市町村の一般行政職員や経験の少ない相談支援専門員にとっては判断が難しい指標で、中には療育が必要な児童であると認められず、療育が可能な放課後等デイサービスを利用できなくなるかもしれないと心配です。それは事業所によっては、基準を満たすために、指標を満たさない児童の利用を制限する可能性があるからです。別紙にもありますように、指標の解釈、他の精度の高いアセスメントの利用、医師の判断も必要ですし、長期的な視点も必要だと思います。
そもそも、「強度行動障害」は療育の必要性から始まった言葉です。また、別紙にもありますように、私の長年知的障害を伴わない、または、軽度の知的障害を伴った発達障害の研究では、知的障害がない、または軽度であることによって、支援が少ない、または楽であったりすることにはなりませんでした。別紙に書いたとおり、問題の質が違うために、支援の質が変わってくるためです。当然、知的障害を伴わない、または軽度の知的障害を伴った発達障害児にも療育が必要です。今回の見直しにより、また発達障害児が支援の枠から外れてしまうのではないかと大変心配です。
以上のような理由で、僭越ながら別紙と同じパブリックコメントを厚労省に送ることにしています。御参考までに福岡県の障害児に関わる皆様にもご覧頂き、今後の福岡県の障害児支援のあり方や、ご指導の参考にしていただけたらと存じます。
今後ともご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。末筆ではございますが、年度末お忙しいことと存じますが、みなさまどうぞご自愛くださいませ。
かしこ

社会福祉士事務所オフィスぷらんぷらん
代表 ソーシャルワーカー 今泉佳代子


別紙 発達障害児における強度行動障害の定義と判定についての提言


というお手紙をジュエルペットの便箋にしたためたかったけど、
一応、普通のPPC用紙に印刷して出しました。


我ながら2日で(実質は昨日の文書3時間、今日は1時間くらいの推敲だけど)よく書いたなぁ…と思うが、
そう思うと、ライブレポの手間がハンパないので、
ライブレポを書くことを少し考え直さなければならん!
あの手間があれば、私、もっと論文とかいろいろ書けるのではないかしら!!
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発達障害児における強度行動障害の定義と判定についての提言

2018-02-27 11:40:31 | イラストブログ
赤間宿祭りの予告も報告もできず忙しくしています。
というのも、
このままだと、せっかく進んできた発達障害児の地域での療育が後退するんじゃないかと、
少し怒ってることがありまして、
厚生労働省と、ついでに福岡県にこういうことを言おうと思っているので、
お暇な方は読んでください。
絶賛拡散希望!

発達障害児における強度行動障害の定義と判定についての提言

今泉佳代子
社会福祉士事務所オフィスぷらんぷらん 代表
(同)ソーシャルサポートぷらんぷらん 代表
福岡教育大学 非常勤講師
北九州市障害者基幹相談支援センター 専門アドバイザー
精神科・心療内科 かなめクリニック 相談員

はじめに
筆者は、特別支援教育が始まり、発達障害者支援法が施行される20年以上前から、知的障害を伴わない、または、軽度の知的障害を伴った自閉症児者やAD/HD児者、学習障害児者の支援を行ってきた。この20年の中で、「発達障害」という言葉の社会的認知が上がり、理解もなされてきたことは、発達障害児者にとって前進であった。しかし、発達障害の医学的、法的乖離、間違った理解やケアが相変わらずなされているのが現状である。知的障害や重度の精神障害を伴わない限りは、発達障害児者に手帳が発行されることはほぼないといえるが、障害者総合支援法や児童福祉法のなかで、受給者証が発行されることにより、福祉サービスにおいては各種サービスを精神障害の枠組みで利用できるようになったことは進歩であるといえよう。特に、児童福祉法における児童発達支援や放課後等デイサービスは、地域での療育を可能にし、発達障害児の支援において画期的であった。
しかし、30年4月からの基準の見直しによって、今後の障害福祉施策において、発達障害児の地域での療育が受けにくくなることが懸念される。国は「強度行動障害」という言葉を使って、充実した療育ができる職員配置のための十分な支援費を支払う放課後等デイサービスと、療育のための職員配置が難しい放課後等デイサービスに分けることにした。支援の内容によって、支援費が変わることは当然であるが、療育と必要とする発達障害児にとって、「強度行動障害」という言葉や、その定義が適切であるとは言い難い。
本提言はこれまで重度の知的障害児者や自閉症などを伴った知的障害児者にしばしば使用されてきた「強度行動障害」という言葉を、ケア、福祉サービスにおいて、様々なタイプの発達障害児にどう適用すべきかを考察し、発達障害児に対する適切な支援の継続がなされることを目的としたものである。

1 「強度行動障害」の言葉の使用について
 「強度行動障害」という言葉の使い方について慎重さが必要である。
1)「障害」、「行動」、「行為」の定義
そもそも「障害」とは、障害者基本法の一部を改正する法律(平成二十三年法律第九十号)定義)
第二条 この法律において、「一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。二 社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。」とされている。つまり、「障害」とは、疾病や怪我と違い、長期間継続すると考えるのが一般的である。そのため、行動障害も一時的な問題ではなく、継続的支援が必要であるといえよう。また、「行動」という言葉は医学的、心理学的には,外部から観察可能な人間や動物の反応をいうことが多く、意識を伴わない反射的な行動も含む。「行動」に似た言葉で「行為」がある。行為は社会学者であるM.ウェーバーが提唱した、行為者または諸行為者がそれに主観的な意味を結びつけるとき、かつその限りでの人間の「行動」のことである。つまり、「行為」による「行動」には行為者の目的や意志が伴っているということになる。このように、「行動」と「行為」は厳密には違うものである。今回は「問題行動」について提言するため、本人の意思や目的を問わず、本人の表出した「行動」のみについて言及することとする。
2)1990年代における強度行動障害
 「強度行動障害」の学術的定義は旧く、1990年代には使用されている。末光らによる「強度行動障害児者のケアシステムに関する研究」においては、精神薄弱者更生施設(旧法)および重症心身障害児施設において、「発達障害をもった人たちの環境への著しい不適応を意味し、激しい不安、興奮、混乱の状態で、結果的には多動、疾走、奇声、自傷、固執、強迫、攻撃、不眠、拒食、異食などの行動上の問題が、日常生活の中で高い頻度と強度の形で出現し、現状の養育環境では著しく処遇困難なものを言う」(末光ら 1992)としている。また、末光らは「医学的診断分類によって定義される群ではなく、一定の発達障害児(者)に対して特別に配慮された療育の必要性を背景として成立した概念である」(末光ら 1992)としており、「強度行動障害」は診断的意味合いより、療育の必要性に対して定義されるものと考えられる。この論文では、飯田ら(1990)の判定基準が利用されており、①自傷②他害(粗暴を含む)③こだわり(固執、収集)④ものこわし(破衣)③睡眠(不眠、徘徊)⑥食事(偏食、拒食、異食)⑦排便関係(便こね)⑧騒がしさ(大声、喧噪)⑨多動(飛び出し)の9領域にまとめ、飯田の基準をもとに、自己刺激・常同反復的行動、気分のムラ・予測不能性、その他の項目を独自に加えている。
強度行動障害の判定基準法(飯田 1990)

3)近年の強度行動障害の概念
 近年の「強度行動障害」という言葉は、厚生労働省の強度行動障害支援者の養成においてよく使用される。養成研修の中では「強度行動障害とは、自分の体を叩いたり食べられないものを口に入れる、危険につながる飛び出しなど本人の健康を損ねる行動、他人を叩いたり物を壊す、大泣きが何時間も続くなど周囲の人のくらしに影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている状態のこと(国立障害者リハビリテーションセンター HP)と定義されている。この背景には、厚生労働省 平成24年度障害者総合福祉推進事業「強度行動障害の評価基準等に関する調査」(以下、「平成24年 強度行動障害調査」)があると考えられ、強度行動障害児者の専門的な支援の必要性が述べられている。平成24年 強度行動障害調査 第2節 強度行動障害の評価と支援に関する課題 1.強度行動障害とはなにか において、強度行動障害の概念は「知的障害者施設などにおいて対応が難しく困難な入所者が存在することを背景とし、『直接的他害(噛みつき、頭つき、など)や間接的他害(睡眠の乱れ、同一性の保持)、自傷行為などが、通常考えられない程度と形式で出現し、その養育環境では著しく処遇の困難なものをいい、行動的に定義される』」としている。「知的障害のない発達障害児・者における問題行動が表面化し」と述べられているものの、井上ら(2011)の知的障害者入所更生施設 2 ヶ所に入所する 289 名を対象に、強度行動障害と問題行動との関連についての調査、また、井上ら(2012)は、知的障害者入所更生施設の利用者及び知的障害特別支援学校の児童生徒あわせて618名を対象に調査した知的発達の程度との関連について分析を行ったものを先行研究としているため、筆者の主観に過ぎないが、従来の1990年代の重度、中度の知的障害を対象とした研究と似た印象である。
同「平成24年 強度行動障害調査」では、「自閉性障害が対人関係面で重篤であれば強度行動障害のリスクが大きくなることが示されたとあり、知的障害と強度行動障害の因果関係は薄いと考えられる」、「2)知的障害が中度であっても、重篤な行動障害を示す可能性が考えられるとされており、知的障害のみが強度行動障害の引き金になるのではなく、他の要因が関与することを示唆している」と報告されているように、決して、知的障害だけが行動障害の原因となるわけではないといえ、知的障害がない、または軽度の知的障害を伴った発達障害児者にも、同様な支援の必要性が認められたといえる。しかし、知的障害のない、または軽度の知的障害を伴った発達障害者には、この研究とは違った行動障害の視点も加味すべきであると筆者は考えている。この件については、次項「2 標準化されたアセスメント、医師の判断について」で述べることとする。
また、この調査には前出の飯田の尺度が利用されているが、厚生労働省報告の表には出典が明記されていないことには驚きを禁じ得ない。
4)「強度行動障害」という言葉の使用
 このように、「強度行動障害」とは、医学的な診断ではなく、行動に問題があり、本人や周囲の生活に多大な困難があり、支援が必要であるという「支援」に視点を置いた概念であるといえる。「強度行動障害」という言葉は、とりわけ重度の知的障害児者、知的障害を伴った発達障害児者に使われてきた。しかし、知的障害を伴わない、または軽度の知的障害を伴った自閉症児者やAD/HD児者、または学習障害児者やその他の発達障害児者自身の行動の問題による本人や周囲の生活の困難や、支援の必要性には、これまでと違った尺度や指標が必要ではないかと考えられる。筆者である今泉(2006)は、軽度の障害児者は、重度の障害児者より「軽度」の問題があるのではなく、「違った」問題があると述べた。その理由の一つが、重度の知的障害児者の問題行動は、生活介護や施設入所、特別支援学校等のある程度手厚い支援の中での問題行動であるが、知的障害を伴わない、または、軽度の知的障害を伴った自閉症児者やAD/HD児者、学習障害児者やその他の発達障害児者の多くは、地域での生活を送っており、その問題行動は、普通学級や特別支援学級(情緒)、家庭など、障害への理解や配慮の少ない場面で起きることである。確かに地域での生活は良いことであるが、その反面、理解や配慮が少なく、構造化されてない社会の中では、問題行動が例え少なかったり、「強度」ではなかったりしても、深刻に受け止められ、社会化しやすく、本人や周囲の者を容易に追い詰める。発達障害児者の支援、とりわけ療育の必要性に対し、「強度行動障害」という言葉を使うべきであるかということも含め、再検討すべき課題であろう。サービス利用に関連付けるのであれば、せめて「強度行動障害等」と含みを持たせるべきではないだろうか。

2 標準化されたアセスメント、医師の判断について
今回事業所を分けるための子どものアセスメントにはまだ改善の余地があり、他の精度の高い標準化されたアセスメント、医師の判断等も支援の必要性の判断にすべきであると考えられる。
1)厚生労働省のアセスメント基準
今回、厚生労働省は放課後等デイサービスに適切な指導員を配置できる支援費を支払う要件として、50%以上の児童が指導困難な支援が必要であるという案を出してきた。その指標の一つが次の表において13点以上を得点した児童である。


非常に曖昧で、行為、行動、症状などが混在した指標であるが、はっきりと「強度行動障害」を定義したものであるとは言われていないため、強度行動障害の指標であるとは言えないかもしれない。しかし、配置基準や加算の中に強度行動障害研修受講修了者が入っていることを鑑みると、なんらかの関連性があると考えられる。
 前述のとおり、放課後等デイサービスにおいて、療育のできる専門性の高い指導員を適切に配置できる支援費を得るには、利用児童の基準を満たさなければならならないからである。しかし、この指標だけでは発達障害児の困難さを判断することはできないかもしれない。なぜなら、前項「1 『強度行動障害』の言葉の使用について」で述べたように、知的障害を伴わない、または軽度の知的障害を伴った発達障害児者の場合は、質の違う問題行動や行為、症状が、施設や事業所、特別支援学校ではないところで発生するからである。そのため、この16項目だけでなく、睡眠の困難さによる家族の負担や日中活動の問題行動、かんしゃくや集中に関する問題行動、マナー、暴言などコーピングスキルの低さによる問題行動、虚言や窃盗、脅迫(「強迫」にあらず)など反社会的問題行動、幻聴や幻視、せん妄状態など著しい精神の問題などに支援が必要となる。また、この指標ではてんかん以外は1月に1回以上は問題にされていないが、自殺企画、他殺企画や、強い反社会的行動など、重篤な問題を抱える場合などは、頻度だけでは計れないこともあると考えられる。そのため、この項目に「その他の日常生活を送るにあたり困難を及ぼす問題行動、行為、症状」など加えるべきであり、その1行動、1行為、1症状あたり1項目に該当するよう点数化すべきであるし、頻度についても適当な判断が必要である。
2)標準化されたアセスメント
 確かに、ステレオタイプな発達障害児の問題行動の多くはこの指標で網羅できる可能性があるが、より精度の高い標準化されたアセスメントの扱いについて疑問がある。「平成24年 強度行動障害調査」で利用された、ABC-Jや、同調査「5.強度行動障害の治療」で挙げられている、CBCL、Vineland(※現在はVinelandⅡ)など、標準化されたアセスメントを利用してもよいと考えられる。筆者の事業所ではほとんどの児童に対し、VinelandⅡ適応行動尺度(日本語版)を実施している。VinelandⅡは厚生労働省平成24年度障害者総合福祉推進事業でも研究された標準化された検査であり、療育、とりわけソーシャルスキルトレーニングの根拠となるアセスメントである。対人支援における大学院修士課程修了以上の者や社会福祉士などソーシャルワーカーが検査を取ることが推奨され、検査の研修を受けなければならないため、検査者が少ないことが残念ではあるが、はっきりと「不適応行動」の項目があり、内在化、外在化、その他、重要事項が50項目にわたって、頻度、重症度を点数化できる。(資料1~3参照)当事業所の殆どの知的障害を伴わない発達障害児は、不適応行動指標において「高い」「非常に高い」に該当し、日常生活で相当の苦労があることが推し量られる。全てをまんべんなく点数化するわけではなく、深刻な不適応行動を重視できることも、行動障害を支援するにおいてよいところである。また、ASA旭出式社会適応スキル検査、S-M社会生活能力検査など、多くの社会適応や問題行動についての標準化された検査もある。これら長年利用されてきた社会適応や問題行動に関する標準化された検査は発達障害児の行動障害を詳らかにしており、判断基準として妥当であると考えられる。
3)医師の判断
 また、医師の判断もサービス利用の基準にできると考えられる。確かに、強度行動障害は医学的診断とは違ったものであろう。医師の判断や法律上の判定の中では、1990年に作られ改訂を重ねてきたICD-10を根拠とすることもあるかもしれないが、日本の発達障害を専門とする精神科医、小児科医の診断の多くは2013年に改訂されたDSM-5に基づいて診断を行っている。精神医学の分野でとりわけ発達障害の研究は日進月歩であり、2013年のDSM改訂で発達障害の定義は大きく変化し、発達障害の概念はより広く細かくなり、症状も様々になった。この症状からの療育の必要性について、発達障害に精通した精神科医や小児科医の判断は無視できない。強度行動障害という概念が療育の必要性から発生したことに基づけば、発達障害に精通した医師による「○○障害のため、○○障害に対する適切な療育を要する」など書かれた診断書等があった場合などは、医師が強度行動障害に対応した放課後等デイサービスなどでの療育の必要性を判断したとして、国の判断基準同等の扱いを受けるべきである。
 未確認情報であるが、現在の精神医学研究の進歩により、ICD-11における発達障害の分類は、DSM-5に近づくのではないかと言われている。
3 継続的な支援の必要性とアセスメント
 行動のアセスメントをどのようなスパンで判断するかという問題について述べる。1「強度行動障害」の言葉の使用について 1)「障害」、「行動」、「行為」の定義で述べたように、「障害」とは、「長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」であり、疾病や怪我と違い、長期間継続すると考えるのが一般的だからである。
1)児童の可塑性の高さ
発達障害児者、とりわけ児童の可塑性は高い。中山(2018)は発達障害について「状態の変わりうる障害」と述べている。発達障害児者の行動は、発達段階、環境因子に大きく左右される。強度行動障害はじめ、様々な症状は一時的に収まっても、環境の変化やライフステージにより再発することがしばしばある。そのため、判断にはある程度の長期的な視点が必要であろう。
2)行動が改善された場合、学校との関連性
懸念されるのは、適切な療育を行ったことにより問題行動などが改善した場合、該当児童の割合が基準を下回り、結果として十分な療育ができない支援費しか支払われない可能性があることである。この場合、事業所の対応としては、状態が改善した児童の利用を制限したり、契約を解除したりするおそれがある。確かに、国の基準は全ての児童が該当する必要はなく、行動が改善された児童は福祉サービスを利用せず自立することが理想である。しかし、先にも述べた通り、児童の状態は不安定なため、様々な因子によりしばしば問題行動が再発する。この見極めをどの期間で行うのかということが課題である。児童は学校行事や進級、進学に伴う不調が多い。少なくとも1年以内の問題行動についての判断かつ、1年後までの見通しをもつことが適切であろう。

おわりに
 今回は、パブリックコメントにあたり、内容は「強度行動障害」という言葉の使い方と、放課後等デイサービス利用に関するアセスメント、アセスメントの期間についてのみ書くことにした。集められた文献も少なくの論の不備も多いことと思われるが、ご容赦いただきたい。
児童福祉法は日本の福祉法の中では旧いものである。しかし、放課後等デイサービスは、児童福祉法においては新しい始まったばかりの事業である。確かに、事業を行う者の勝手な解釈の中で、不要な国費が使われることはあってなはならぬが、やっと地域で受けやすくなった発達障害児に対する療育が、基準の見直しにより後退するのは残念なことである。必要な児童に必要な療育が行われるよう、支援のありかた、対象児童について精査できるシステムを強く望む。

参考文献
Sara S. Sparrow、 Domenic V. Cicchetti、David A. Balla 日本語版監修 辻井 正次、村上 隆 日本語版作成 黒田 美保、伊藤 大幸、萩原 拓、染木 史緒Vineland-II適応行動尺度(Vineland Adaptive Behavior Scales Second Edition)(2014)日本文化科学社
飯田雅子、岡野卓雄、富沢彰雄、松田鉄蔵、加藤邦彦、三嶋卓穂、三浦啓、橋本裕樹、渡辺博「強度行動障害児(者)の行動改善および処遇のあり方に関する研究(Ⅰ)」(1989)1988年度キリン記念財団助成研究報告書 1-70P
飯田雅子、岡野卓雄、富沢彰雄、松田鉄蔵、加藤邦彦、三嶋卓穂、三浦啓、橋本裕樹、渡辺博「強度行動障害児(者)の行動改善および処遇のあり方に関する研究(Ⅱ)」(1990)1989年度キリン記念財団助成研究報告書 1-67P
今泉佳代子 田垣正普 編著「障害・病いと『ふつう』のはざまで 軽度障害どっちつかずのジレンマを語る」 第7章「軽度発達障害をめぐって」(2006)明石書店 
今泉佳代子「特別支援教育と介護入門」第6章 発達障害の理解と支援(2018 未刊)あいり出版
厚生労働省HP  http://www.mhlw.go.jp/
国立障害者リハビリテーションセンターHP  www.rehab.go.jp/ddis/
末光茂、中島洋子、出口隆一、松本好生、柴田武男、菊池達男、江草康彦「強度行動障害児者のケアシステムに関する研究」-精神薄弱者更生施設および重症心身障害児施設との関わりからー」川崎医療福祉学会誌Vol.2 No.1(1992)
中山健「特別支援教育と介護入門」第6章 発達障害の理解と支援(2018 未刊)あいり出版
中山 忠政「障碍者基本法の改正と発達障害 -『障碍者』の定義をめぐって-」弘前大学教育学部紀要 第113号 P83-9(2015)
納富恵子・今泉佳代子・黒木康代 編著「イラスト・まんが教材で気持ちを理解~自閉症スペクトラム児の発達支援」(2006)川島書店 


※インターネット公開にあたり、
別紙 VinelandⅡの下位検査については、検査に影響を与えるため割愛した。


昨日、某独立型社会福祉士の人に私が心理士っぽいと言われた。
認知とかのことを考えすぎてるらしい。
そーかねー、ほーん。

<2018/28/27 19:45 加筆修正した>

<2018/3/6 10:42 福岡県社会福祉士会 障害担当理事の意見等を加味し、新たな論文を参考にして加筆修正した>

福岡県社会福祉士会の会長に「私、県士会のブラックリストにのっとるらしいですな!」と言ったら、
え!?そんなわけない!!と驚いてました。
誰だ!そんなデマをふりまいておるのは!!
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【売れました】TheBirthday 広島クラブクアトロ 6月23日 

2018-02-10 14:43:51 | 音楽?
※お譲り先が決まりました!
ありがとうございました!
サタデタサデナイトキラキス!


The Birthday Quattro×Quattro tour’18の、
渋谷公演 1枚
梅田公演 2枚を探しています。

友達と一緒にCD先行に申し込みましたが、
なんと私の行きたい広島だけ当たってしまい、
恐縮しているところです。

もし、
渋谷や梅田のチケットが余っていて、
広島は取りそこなったとか、
広島でサタデナイトキラキスが聞きたくなったとかいう方がいらっしゃれば交換してください。

または、
広島に行くつもりだったのに、
なぜか今日は落選なんか起きてしまった方も、
メルマガ先行よりは良い番号だと思いますので、
ご連絡ください。


チケットは200番台と、480番台です。
※※200番台はなくなりました※※

1枚からお取引できます。
代金は、
チケット代5000円+発券手数料216円+送料(レターパックプラスを考えています)
お振込確認後発送となります。

渋谷、梅田チケット余っている方、
広島サタデナイトにあこがれている方、
ご一報ください。
ご連絡は、
bali_tokage☆hotmail.co.jpの
☆を@に変えるとです。



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