環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

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進化してきた福祉国家② 社民党の44年にわたる長期単独政権

2007-08-14 02:54:45 | 政治/行政/地方分権

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1889年に結成された社民党は、1932年に政権に就いて以来、76年の連立政権(中央党・自由党・保守党の中道・保守連立内閣)誕生までの44年間、長期単独政権を維持してきました。長期単独政権を維持するなかで、絶対多数(国会の議席の過半数の確保)は1回だけで、あとは比較多数のままで、連立政権を組むこともなく単独政権を守りつづけました。

このような政権のあり方について、岡沢憲芙さん(早稲田大学社会学部教授)は「議会制政治は数の力だけで動くのではない。政策の熟練こそが力であることを体現してきているわけだが、その政策の基調は何かといえば、徹底したプラグマティズム、現実主義である。常に、ブルジョア政党の野党第一党(経済界・産業界が支持基盤)に対して、より多数の国民に受け入れられる政策を提示し、一方、近い将来を先取りした分かり易い政策を打ち出すことで、中間政党の中央党や国民党の政策協調を引き出してきた」と解説しておられます(『SAPIO』 1989年12月14日号 90ページ)。下の図は『SAPIO』の特集記事です。

一方、日本の経済発展は、自民党の38年にわたる長期単独政権のもとになされたものです。要約すれば、社民党の44年にわたる長期単独政権が「福祉国家スウェーデン」を、自民党の38年にわたる長期単独政権が「経済大国日本」をつくりあげたといえます。


★余 談

この特集記事は「所得税ゼロ国家・スウェーデンを目標に『税制』を見直す スッキリと気持ちよく払いたくなる間接税大研究」と題して、14ページにわたって、4つの提言掲げています(青い字の部分)。文字が読みにくいので、リードの部分と4つの提言(本文中のそれぞれの提言の表題)をリライトしておきます。

リードの部分

政治家がすべて性悪だというつもりはない。しかし、ここまで解散・総選挙が煮詰まってきた状況で、彼らに政策論議をしろというほうが無理というものだ。党利党略、私利私略-。そんな今の政治屋に、国家=国民百年の大計である「税」を語る資格はあるまい。世界的な間接税シフトの中で、今、北欧の一角スウェーデンでは、「所得税 ゼロ」の実験が始まろうとしている。その有利と不利を見据えつつ、日本型間接税の満たすべき条件は何かを、原点に立ち返って考えてみる必要がある。「税」とは、国家の有様を個人が考える、もっとも具体的な問題だからだ。

提言の部分

提言1
政治熟練国家だからこそ 「所得税ゼロ」実験ができる
――なぜスウェーデンは重税でも国民が豊かなのか――
岡沢憲芙(早稲田大学社会科学部教授)

提言2
払った税をサービスに直結させる消費税の地方税化を急げ
――どうしたら間接税を日本の税風土に定着できるか――
茂木敏光(経営コンサルタント)

提言3 大きな政府の“直接税社会”では、世の中が暗くなる
――税制ビジョンなき“政治屋的論議”に警告する
舛添要一(国際政治学者)

提言3
所得大減税+EC型間接税が不公平是正への一里塚だ
――日本型消費税は、なぜ間接税として堕落型なのか――
和田八束(立教大学経済学部教授)

繰り返しますが、この記事は18年前の雑誌「SAPIO」(1989年12月14日号)に掲載されたものです。そして、翌年1990年の税制構造改革で、スウェーデンの消費税は25%に引き上げられ、現在に至っているのです。なお、日本の消費税は1988年竹下内閣時に消費税法が成立、同年12月30日に公布、翌年1989年(平成元年)4月1日に税率3%で消費税法が施行されました。97年4月1日から税率は5%(橋本内閣時に)に引き上げられ、現在に至っています。

ここでも、スウェーデンと日本の考え方と行動に大きな落差を感じさせられます。皆さんはいかがですか。90年代後半から現在に至るまで、スウェーデン経済は好調です。そして、スウェーデンの国民一人当たりのCO2排出量は先進工業国の中で最も少なくCO2の排出量も90年と2005年の間に7%減この間、 36%の経済成長を達成しています。  

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