昨日、点滴台・点滴セット・注射薬剤・内服薬剤の納入があった。
そういう物品が室内に置かれると、俄然、医院としての体裁は整ってくるものだ。
先週の木曜、胃癌術後の転移のある患者さんから
大阪まで点滴治療の往診依頼があった。
点滴の中身となる米国からの輸入薬剤は、すでに先週水曜に手に入れていたので、
土曜日に往診しますと、必要な機材を他から借りて準備万端、整えていた。
しかし、金曜の夕刻になって、突然キャンセルの連絡。
患者さんは現在、1ヶ月前からある種の免疫療法を受けている。
点滴治療の話を現在の主治医にしたところ、
「併用するのは、勧められない」
と、言われたとのことであった。
「併用したら、どちらの効果か判らなくなる」とも。
え~っと・・・・・・・・・・・。
申し訳ないが、最新の樹状細胞免疫療法を行っているところでも、
筆者が往診で行おうとした点滴は、併用して行われているのです。
抗癌剤や放射線療法など、どんな治療が行われていても、併用できるのです。
しかも、「どっちの効果か判らなくなる」 だと!
治療成績を気にするのは判らないわけではないが、
生きるか死ぬかが掛かっているのは、患者の方なんだけどね!
なんという患者思いの主治医なんでしょ!
データのために、患者の権利を制限するとは、大学の治験並みの愚劣さだ!
でも、こんなこと、患者さんの家族に言いませんでしたよ。
ただ、
「そうですか、仕方ないですね。今の治療が上手くいくといいですね。」
とだけお伝えしました。
なぜって、結局今の主治医が併用を認めるはずがないからです。
他所では、併用してますよなどというのは、できない人には酷な話ですしね。
多くの癌の患者さんと関わって来ましたよ、これまで。
初期の免疫療法にも期待しました。
温熱療法 (ハイパーサーミア) も抗癌剤を併用しながら取り組みました。
漢方も、免疫の方面から期待できると、いろいろ処方しました。
もちろん、外科医だから手術は言うに及ばずですが。
まあ、入局同期の中では各種の療法に関する知識は誰にも負けない自負がある。
が、残念なことは世の中にいっぱい。
一般の方々が知りえないことは、この世界には山ほどある。
たとえば、肩書きが手術をする訳ではないとか・・・・・。
20年以上癌治療に関わってきて、しみじみ思う事は・・・・・・
医者選びも寿命のうち
ということ。
当ブログの重要点『
抗糖化』等に関しては
こちらにまとめてあります。
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