第1回糖化ストレス研究会 講演会 シンポジウム2。
エラスチン糖化と日光弾力線維症
演者は、防衛医科大学皮膚科の多島新吾教授。
当日はエラスチン糖化だけでなく、
コラーゲン糖化についてもご講演されました。
まず、エラスチンの糖化について。
日光弾力線維症(Solar Elastosis)とは、
老人の日光暴露部位の皮膚に弾力線維(エラスティック・ファイバー)の
異常な凝集塊を認めるもので、「シワ」の原因とされるもの。
たとえば、弾力線維を黒紫色に染めるエラスチカ・ワンギーソン染色法で
若年者と老人の皮膚組織を染めてみると
若年者(左)と老人(右)のエラスチカ・ワンギーソン染色
右の老人の皮膚組織では、真皮上~中層に弾力線維が著明に凝集していることがわかります。
その原因は、長期にわたる紫外線暴露による皮膚の老化と考えられます。
さらに、この異常な弾力線維を調べてみると、
AGEsの一種であるCML(CarboxyMethylLysine)
に対する抗体で陽性に染色されることから、
日光弾力線維症とは弾力線維(エラスティック・ファイバー)の糖化、
すなわち、CMLによるエラスチンの糖化が
日光弾力線維症の病態に深く関わっていることがわかっています。
さて、一般にタンパク質がAGEsによって修飾される、つまり糖化が起こると
各種タンパク質分解酵素によって分解されにくくなることがわかっています。
皮膚の場合では、寿命のきた弾力線維(エラスチン)は
分解酵素であるエラスターゼによって分解されます。
ところが、糖化によってエラスチンが架橋を形成すると
エラスターゼで分解されにくくなってしまいます。
糖化したエラスチンが分解されずに真皮に沈着してしまうことが
どうやら日光弾力線維症や「シワ」の原因であるというのです。
次に、コラーゲンの糖化について。
穿孔性皮膚炎という疾患を取り上げられました。
変性した皮膚成分が表皮より排出される疾患なのですが、
その成分は糖化したコラーゲンです。
この疾患は、糖尿病もしくは糖尿病による慢性腎不全患者に多く認められます。
筆者も、このような皮疹を糖尿病患者さんしばしば目にします。
糖尿病や慢性腎不全の患者さんでは、強い掻痒感から
皮膚を激しく掻破してしまうことが度々起こります。
通常ならば表皮細胞と真皮内のコラーゲンは結合しないのですが
糖尿病や慢性腎不全の場合は、掻破によって表皮と真皮の間の基底膜が破壊され
その治癒過程でAGE化(糖化)したコラーゲンが表皮細胞と結合してしまいます。
AGE化コラーゲンは結合した表皮細胞の最終分化させ上昇させます。
このとき発現するMMP-9(マトリックスメタロプロテアーゼ-9)は基底膜を傷害し破壊。
さらにAGE化コラーゲンと表皮細胞の結合が促進されます。
これと同時に周囲のコラーゲンはMMP-9により分解され、周囲組織より離れ
表皮からの排出がいっそう促進することとなります。
これ以外にも、糖尿病や慢性腎不全の皮膚には
AGE化(糖化)された異常コラーゲンが存在しており
それら疾患での創傷治癒が遅延する原因となると考えられています。
エラスチン糖化と日光弾力線維症
演者は、防衛医科大学皮膚科の多島新吾教授。
当日はエラスチン糖化だけでなく、
コラーゲン糖化についてもご講演されました。
まず、エラスチンの糖化について。
日光弾力線維症(Solar Elastosis)とは、
老人の日光暴露部位の皮膚に弾力線維(エラスティック・ファイバー)の
異常な凝集塊を認めるもので、「シワ」の原因とされるもの。
たとえば、弾力線維を黒紫色に染めるエラスチカ・ワンギーソン染色法で
若年者と老人の皮膚組織を染めてみると
若年者(左)と老人(右)のエラスチカ・ワンギーソン染色
右の老人の皮膚組織では、真皮上~中層に弾力線維が著明に凝集していることがわかります。
その原因は、長期にわたる紫外線暴露による皮膚の老化と考えられます。
さらに、この異常な弾力線維を調べてみると、
AGEsの一種であるCML(CarboxyMethylLysine)
に対する抗体で陽性に染色されることから、
日光弾力線維症とは弾力線維(エラスティック・ファイバー)の糖化、
すなわち、CMLによるエラスチンの糖化が
日光弾力線維症の病態に深く関わっていることがわかっています。
さて、一般にタンパク質がAGEsによって修飾される、つまり糖化が起こると
各種タンパク質分解酵素によって分解されにくくなることがわかっています。
皮膚の場合では、寿命のきた弾力線維(エラスチン)は
分解酵素であるエラスターゼによって分解されます。
ところが、糖化によってエラスチンが架橋を形成すると
エラスターゼで分解されにくくなってしまいます。
糖化したエラスチンが分解されずに真皮に沈着してしまうことが
どうやら日光弾力線維症や「シワ」の原因であるというのです。
次に、コラーゲンの糖化について。
穿孔性皮膚炎という疾患を取り上げられました。
変性した皮膚成分が表皮より排出される疾患なのですが、
その成分は糖化したコラーゲンです。
この疾患は、糖尿病もしくは糖尿病による慢性腎不全患者に多く認められます。
筆者も、このような皮疹を糖尿病患者さんしばしば目にします。
糖尿病や慢性腎不全の患者さんでは、強い掻痒感から
皮膚を激しく掻破してしまうことが度々起こります。
通常ならば表皮細胞と真皮内のコラーゲンは結合しないのですが
糖尿病や慢性腎不全の場合は、掻破によって表皮と真皮の間の基底膜が破壊され
その治癒過程でAGE化(糖化)したコラーゲンが表皮細胞と結合してしまいます。
AGE化コラーゲンは結合した表皮細胞の最終分化させ上昇させます。
このとき発現するMMP-9(マトリックスメタロプロテアーゼ-9)は基底膜を傷害し破壊。
さらにAGE化コラーゲンと表皮細胞の結合が促進されます。
これと同時に周囲のコラーゲンはMMP-9により分解され、周囲組織より離れ
表皮からの排出がいっそう促進することとなります。
これ以外にも、糖尿病や慢性腎不全の皮膚には
AGE化(糖化)された異常コラーゲンが存在しており
それら疾患での創傷治癒が遅延する原因となると考えられています。
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