昨晩の救急当直での出来事です。
「救急隊から救急搬入受け入れ要請です」
車同士の正面衝突ということらしい。
意識障害なし、バイタルサインに問題なし、あちこちの打撲と擦過傷、
右手背の外傷からの出血は圧迫で止血しているとの情報。
「受けてもらっていいですよ」
「20分位で到着するそうです」
受傷の具合をあれこれと想定する。
救急隊からの情報が、必ずしも患者の真の状態でないこともある。
かすかに聞こえてきた救急車のサイレンが次第に大きくなって
鳴り止む時には、アドレナリン分泌もクライマックスに達している。
院内のPHSが鳴る前に階段を降り、救急の玄関へ。
救急隊のストレッチャーには頭部から左頬にかけてベットリと血が付き
右手を包帯で巻かれた男性が上半身を起こしている。
「一番痛いのは、どこ?」
「ここがかなり。折れてる気がする。」
と、左の胸を押さえる。
左上腕にも腫れとそこそこの痛みあり。
包帯で巻かれた右手はそれ程痛まないが、薬指だけが伸ばせないという。
「?!」
触診での診断をレントゲンにて再確認したのち、右手の処置へ。
長さ4センチほどの、恐らくガラスによる切創。
案の定、薬指を伸ばすための伸筋腱がスッパリと切断されてます。
局所麻酔をして創を洗浄しながら、創内を検する。
レントゲンでは判らなかったが、第4中手骨表面に小さな削れた傷がある。
が、開放性骨折というわけではないか・・・。
伸筋腱の中枢側は収縮してしまっているので、見つからず。
救急の対応としては充分な洗浄と、とりあえずの傷口の縫合となる。
つまり、後日、手術室で、縮んでしまった伸筋腱を引っ張り出して、
腱縫合術を受けるんですよということを説明しながら、傷を縫い始めた。
ところが縫合しながら患者と交わした会話で、
重大な事実が判明したのだった。
つづく
後編はこちら 救急の症例に思う 後編
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