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側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

(脊柱)学校検診を巡っての意見 ブログより

2008-04-01 01:17:27 | 脊柱検診スクリーニング
脊柱検診の不備に対する損害賠償請求の裁判が起こった、ということをベースとして
学校検診についてブログで述べられている意見を集めてみました。

学校検診も崩壊
http://ameblo.jp/med/entry-10038707685.html
直接、脊柱検査とは関係ありませんが、やはり学校検診のなかで発生したトラブルに
ついて記載されています。
一部引用させていただきます:

北海道新聞 2007年3月
札幌市内の道立高校で5月、内科検診を受けた女子生徒が「胸をつかまれた」など
と訴え検診が中断となった問題は、誤解による医師へのクレームが増える一方で、
突然死予防などのため丁寧な診察を求められる学校医のジレンマを浮かび上がらせ
た。男性の医師への偏見が高まれば、医師の善意で支えられている学校の健康診断
制度が崩壊しかねないとの懸念も出ている。

「ブラジャー付き検診を認めたことが失敗だった」。今回、検診中断が発覚した
道立高の学校医(六月に辞任)は、騒動の原因をこう語った。
同校では、一昨年までは上半身裸で診察していたが、女子生徒や親からの強い要請
を受け「必要に応じて外すこともある」と事前に通知することを条件に下着付きを
認めた。結果的に生徒に徹底されず「胸の大きい子だけ下着を外された」「下着の
中に手を入れられた」という誤解を招いたという。

思春期の女性に多い脊柱(せきちゅう)側湾症発見には上半身裸にして両肩や肩甲
骨の左右不均衡を観察した上で前屈させて背部や腰部の不均衡を診る。医学書にも
書かれた診察方法だ。
しかし、学校現場ではこうした検診の方法や意義について事前に生徒に説明するこ
とは、週五日制の導入もあり時間がとれないのが実態という。

道内の女性医師は医師全体の約一割。「現在でも検診の応援に来てもらう医師の
やりくりが大変。内科検診の医師を女性に限定したら検診は不可能」(道教委学校
安全・健康課)なのが現状だ。道教委によると、学校医の報酬は月18700円。
月に何度学校に出向いても定額だ。学校検診時は勤務先の病院の診療を休むことを
考慮すると割に合わないといえる。長谷会長は「学校で『全員』『無料』で健康診
断を行うのは日本独特。制度を崩壊させないためにも、学校が正しい知識を生徒や
親に事前に伝え、男性医師への誤解をなくしてほしい」と話している。


診療日誌:学校検診
http://kataoka.cocolog-nifty.com/blog/2005/04/post_f99f.html
一部引用させていただきます:
またまた春になって学校検診の季節。現在園医・校医を引き受けているのが、公立
中学1校、私立幼稚園1園、公立保育園1園、他に私立無認可園2園の検診のみを
引き受けている。公立保育園は1週おきに検診に行くので季節行事ではないが中学
と幼稚園は4月5月に集中する。
第一弾が中学の検診。全校生徒840人を内科校医一人で見る。
昔と違って今はプライバシー保護を念頭に置いた体制で行わないといけない。男子
ならともかく女子を上半身を裸にして並ばせるなどとんでもない。女子は体操着一
枚にしてカーテンの中に呼び込んで、診察の時に養護教諭が上にまくるのが精一
杯。
今年、学校検診について注意書きが廻ってきた。脊柱側弯のチェックをきちんとや
るようにということだ。上半身を裸にして前屈させて後ろから背骨をチェックしろ
という。こういうお達しを出す人に言ってあげたい。あんた、やれるものなら自分
でやってみなさい。だいたい、思春期に発見される側彎症で本人も周囲も気づかな
い程度のものを一生懸命検診で見つけるメリットがどこにある。成長が止まれば側
彎も進行しない。ある程度の側彎なら背中をちらっと見たらわかるし、そういうの
はすでに治療のレールに乗っている。


学校検診側彎症訴訟 / 新小児科医のつぶやき
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20080328
多くの参考になるコメントがありますので、引用させていただきます:

学校検診は集団検診であり、短時間で多数の検診を行なわなければなりません。
一人一人ゆっくりやっても「絶対に見逃さない」と言い切れる医師は多くないと思
いますが、短時間で多数となれば絶対的に精度は落ちます。この見落としに関する
訴訟報道です

事実関係は単純で特発性脊柱側弯症を学校医が見落としていたという事です。側弯
症は「脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無」の検査項目に該当し、必要とされる検
診項目ですから見落としたと言われればそれまでです。さらに拙い事に学校医は、

思春期の女子に裸の背中を出させることはできず、脊柱検診はしていない

「診ていない」と言い切っているのですから、訴訟にまでなれば事実関係で絶対的
に不利です。この学校医の行いを頭ごなしに非難する気は毛頭ありませんが、地雷
を踏み抜いた感が非常に強い事件です。この記事で紹介されている日本側弯症学会
元会長の鈴木信正医師の言葉ですが、側湾症の専門は整形外科医だが、内科医が学
校医のケースが多く、検診していない学校がかなりある。検診を徹底するほか、
かかりつけの小児科医らが診断できる体制作りも必要

無難なコメントですが、なんちゃって整形外科医である内科医や小児科医では絶対
に見逃さないとは今後も言えません。まあ、ちょっとでも怪しいと思えば根こそぎ
整形外科受診させるのも一法ですし、そうなっていくかもしれませんが、それでも
見逃さないとは言い切れません。

この見落としを医師側も教訓にして、

側弯症検査のためのモアレ写真検診ができない学校検診はすべて拒否

こういう前向きの姿勢を新学期が始まるこの時期に明確に示すべきかと考えます。
これこそ患者側の声、患者側の利益を共に考えた正しい行動かと思います。ま、モ
アレ写真検診車の全国大量供給なんて事業は行政も大好きそうな事業ですから、医
師が患者の要望に応えて断固たる姿勢を示す事に正義はあると考えます。そうそう
読影は内科医や小児科医ではなく整形外科医にお願いします。そうしなければなら
ないと書いてありますし、内科医や小児科医では見落とす確率が高くなりますから
ね。

◇学校にとっては検診は義務ですが、学校医にとっては、任意です。しかし、地域に
密着してると、受けざるを得ないんだろうなあ。学校と医者の契約というか、どの
範囲までを担当するって覚書みたいなのはあるんでしょうか?
契約の範囲が不明瞭だから学校と医者両方を訴えたんじゃないかな?学校は「医者
に任せていた」と主張するだろうし医者は「脊柱は専門外なので受け持っていな
い」と主張するだろうし。

◆早急に地域の医師会で問題にして、各先生の受け持つ範囲と、そのために必要な学
校側の準備とを(服を脱ぐなら脱ぐ、どうしても嫌なら個別にどこか好きなところ
受診して診断書もらってくる)学校側に書面で申し入れないとですね。
服脱ぐの嫌な生徒に、無理強いはいかんですよ。やっぱり。あざとか、アトピーと
か、同級生に見られたくない事情抱えてる場合もありまうからね、元皮膚科医とし
ては。それで自殺でもなったら、また話がややこしくなります。

◇今回の場合はやや特殊ですが、集団検診での「見落とし」と医師の善管注意義務の
関係はどの程度なんでしょうか。これも言うまでもないですが途轍もなく水準が高
いと考えざるを得ません。「見落とし」については訴えられた時点でほぼ勝ち目が
なくなり医師人生が終わります。そんな事を考えると学校検診も安易に引き受ける
と地獄を見ることになりそうです。

◆内科、整形外科、眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、歯科に渡る広範囲の検診を短時間で
実施するというのが、そもそも無理。これから、モアレ写真を全員撮影することに
するとコスト面で無理だろうし、検診項目を現実的な内容に限定するしかないので
は。

◇子供に「エッチなことを」と言われれば 親は全員逆上します。医師の言い分なん
て絶対聞きません。子供が病院なり医院なり来て診察を受ければ「エッチなこと
を」なんて言わんでしょう。

◆学校側にとって検診とは義務付けられているからやらなければならない以上の位置
付けは無いように思います。嫌々時間を潰してやっているだけですから、なるべく
短時間で「例年通り」済む事以外には関心が薄そうに感じています。

◇学校側にしてみればもっともなことで、幾ら検診に力を入れても学校側の評価には
つながらず、ただやってなければ失点になるだけの代物ですから力が入る道理はあ
りません。そんな環境に長年付き合えば、学校側の意向に副っただけ、つまり手早
く何事も無く終わる検診を学校医が行なうようになっても不思議ありません。その
方が学校側も喜びますし、ボランティア価格でそれ以上熱中する道理も医師にはあ
りません。
今回の学校医もそういう学校側の暗黙の要求に忠実に従っただけのような気はして
います。女子生徒の上半身を裸にするだけで生徒本人、保護者の反発があり、その
対応に時間を費やされるよりも「診ない」にすれば能率は上がります。学校医も地
域の開業医ですから、下手に頑張って「エロ医者」なんて評判を立てられたら元も
子もありません。
ただし形骸化しているとか医学の常識に反しているとあっても、法律に書かれてい
る項目の違反は、出るところ出られれば医師にとって非常に不利な立場に置かれま
す。今回のように条文に忠実に違反を訴えられると、医師側は条文が医学的に「完
全に無駄」の立証を行なわなければならなくなります。去年の高校検診騒動もそう
でしたが、今回の訴訟騒ぎでなおさらに、これまで曖昧な暗黙の同意で済んでいた
事にいちいち角を立てなければならない時代になっていると思っています。

◆確かに「校医がみていなかった」というのは問題ですが,それを差し引いても側弯
という「外見からすぐにわかる異常」はいっしょに生活している両親が当然気付い
て当たり前のものだということです.
それを「すべて」校医に責任があるがごとく論じて,「数千万円もの賠償をしろ」
というのは自分たちの義務をおいてきぼりにして「他人」にその罪を一方的に押し
付けていることに他なりません.この姿勢は「割り箸事件」と同じ根っ子のものだ
ということです.
両親にはまず,「自分の子供の健康を管理する義務がある」のではないでしょう
か?
こういう事は医療だけでなく社会全般に広がっているようにも感じています。良い
のか悪いのかはわかりませんが、そういう風潮に対応する情報収集力、対応力がま
すます必要になっていくと考えています。情報化時代は便利な一面もありますが、
社会変化の変化の激しさを間違い無く助長していますからね。

◇「その他の疾病及び異常の有無は、知能及び呼吸器、循環器、消化器、神経系等に
ついて検査するものとし、知能については適切な検査によつて知的障害の発見につ
とめ、呼吸器、循環器、消化器、神経系等については臨床医学的検査その他の検査
によつて結核疾患、心臓疾患、腎臓疾患、ヘルニア、言語障害、精神神経症その他
の精神障害、骨、関節の異常及び四肢運動障害等の発見につとめる」
これだけ羅列されると、今後、発覚するすべてのあらゆる疾患について「見落と
し」論争が起きそうな条文ですね。定期健診では最後の「12.その他の疾病及び異常
の有無 」、これも曲者で現在の「診れば何でも診断するべきだ」と社会の風潮から
は責任追及をされそうな感じ。
なんちゃって学校医をやっていますが、本気で撤退を考えねば...

◆引っかかりを感じたのは学校保健法施行規則第4条です。
健診で「眼の疾病及び異常の有無」、「耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無」を検査
することになっていますが、これらは眼科医、耳鼻科医が対応すると思います。仮
に内科医が学校医であるとして、こうした眼科医、耳鼻科医の手配・健診の割り振
りは誰の責任で行うのか気になりました。
学校保健法施行規則や学校保健法を読んでみると学校健診の実施主体は教育委員会
であると思われ、学校医は職務として「法第六条の健康診断に従事すること」と
なっているだけです。「従事すること」であって「行うこと」ではないので健診の
実施責任までない様に思います。
とすると、脊柱側湾は整形外科疾患ですから、(たぶん)非整形外科医である学校
医に実施責任が無い様に思えます。耳鼻科や眼科健診と同様に実施主体である教育
委員会が(学校医が脊柱側湾を検査していないのであれば)整形外科医なりに割り
振って行うべきと思います。
こう考えれば「脊柱検診はしていない」と答えることは「脊柱検診を実施する責任
は自分には無い」と主張するための答えではないかと思います。学校医だから無条
件に耳鼻科眼科健診に従事するとはならないのと同様に、側湾健診についても考え
るべきとの主張もありかと・・・。


参考資料 :
札幌の道立高*「胸触られた」120人苦情*女生徒*内科検診終了できず
2007.06.30 北海道新聞

札幌市内の道立高校が五月中旬に行った内科検診で、女子生徒約百二十人が「(大
学病院から検診の応援に来た三十代の)男性医師に乳房をつかまれた」などと訴え
たため、検診を中断していたことが二十九日、分かった。学校側は「丁寧に診たこ
とで誤解された」としているが、一連の混乱で学校保健法が健康診断の期限とする
六月三十日までに、検診を終えられない事態となった。同校や道教委によると、内
科検診は二日間の日程で初日は一年生全員と三年生の半数の計四百五十人が対象。
大学病院からの応援医師(協力医)三人と学校医の計四人が診察。協力医のうち男
性一人、女性一人が女子生徒を担当した。検診後、女子生徒から養護教諭や担任に
「(男性の協力医に)右手で聴診器を当てている時に左手で胸をつかまれた」「ブ
ラジャーを外された」などと苦情が続出。このため、学校は二日目の検診を延期し
た上で、この男性医師が診た女子生徒にアンケートを実施。一年生百二十人のうち
九十人と三年生の三十四人全員が不快な思いをしたと答えた。同日、学校から相談
を受けた学校医が、大学病院の医局を通じて男性医師から事情を聴取。その結果
《1》乳房の下部に位置する心尖(しんせん)部の心音を聴くため、ブラジャーを
外したり乳房を持ち上げたりした《2》短時間で行うため、聴診しながら同時に胸
郭のゆがみを調べる触診もした-と判断。これらは正当な医療行為で、他の医師よ
り丁寧に診察したことが誤解を招いたと結論付けた。検診では胸郭の異常を調べる
ことなどが定められており、また、この医師は他校の検診で問題になったことはな
いという。検診の二日後、臨時全校集会で校長が「校内において不安で不愉快な思
いをさせ申し訳ない」と謝罪した上で、「(医師は)大学病院勤務で学校検診は不
慣れだった」などと説明した。さらに、女子生徒の保護者に家庭訪問などで説明し
たほか、ショックを受けた女子生徒には専門家によるカウンセリングも行った。学
校は二十七日に検診を再開したが、学校行事の関係で二年生三百十二人の検診が七
月中旬にずれ込むこととなった。同校の教頭は、六月末の期限に間に合わなかった
ことは「申し訳ない」とした上で、「今後は女子生徒の感情に配慮するよう学校医
から協力医に事前に話してもらう」と話している。また、学校医が「学校のアン
ケートが混乱を大きくした。正当な医療行為だと生徒や保護者に説明することが先
だった」と学校の対応を批判。六月十五日に辞表を提出している。
道教委学校安全・健康課の佐藤憲次課長の話 期限までに健康診断が終えられな
かったことは残念だが、学校側の対応はおおむね妥当と考える。内科検診の内容や
必要性について、思春期の女子生徒やその保護者にはさらに丁寧に説明して理解を
得るよう努力してほしい。
札幌市学校医協議会の長谷直樹会長(はせ小児科クリニック院長)の話 
後天的な心臓病を発見するため(乳房の下の)心尖部の聴診は重要な場所であり、
ブラジャーを外させ、乳房が大きい場合は持ち上げて聴診器を当てるのは医師とし
て常識。胸郭の異常も思春期の女子に多く触診は必要。病気が内科検診後に見つか
り「学校医は病気を見逃した」と親から抗議が来ることもある。入念に診ることを
批判されたら検診は成り立たない。学校が事前に検診の内容や意義を十分生徒に周
知する必要がある。 北海道新聞社

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脊柱検診については、カテゴリーより「モアレ検診」をご覧ください

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発見の難しさ (さくら)
2008-04-01 11:26:45
いつもありがとうございます。
側湾発見の難しさは私も感じています。
娘は幸い中学入学時の検診で見つかりましたが、その後の近所の小児科や整形外科では異常なしと言われました。専門医でも裸で外側からの診察ではわからずに
レントゲンで初めて30度近くまで曲がっているのが分かりました。もしあのままにしていたらと思うとゾッとします。側湾症の認知度が低い現状では、年頃の女子に裸での検診は確かに難しいと思います。
自覚症状も外側からも分かりにくいと親でも見逃してしまいますね。
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