small daily happiness

旅人の私が探す日常の小さな発見

潜水服の中身は・・・

2008年02月27日 | 映画のこと
いやー、深い映画を観ました。
〝真実は小説より奇なり〟
まさにこれです。心に残る一本です。
『潜水服は蝶の夢を見る』を観たのです。

フランスのファッション雑誌ELLE編集長だったジャンは脳梗塞で倒れた。
意識、記憶、想像力は元のままだが、左目を残し体の機能をすべて失ってしまうロックト・インシンドローム(閉じ込め症候群)になる。
当初は絶望する彼だが、左目の瞬きで意思の疎通を図る。
その方法とは、とにかく根気がいる。驚くべき方法である。
フランス語のアルファベットで最も良く使う順に読み上げ、該当するアルファベットになったら、左目を瞬きする。それで単語を作り、文章を作るのだ。
日本語だったら、アイウエオを順に読み上げ「コ・ン・ニ・チ・ハ」ってつくっていくようなもの・・・あー、気が遠くなる。
この方法で一冊の本を書き上げたのが、この作品です。
20万回の瞬きで書き上げたのです。
もう、もう、もう、それだけで溜息・・・
体は動かないけれど、どこまでも想像力は広がり、どれだけの記憶力を持ち、過去を悔いたり、家族の大切さを思い知ったり、今まで何気ない生活がいかに愛おしいものだったかを綴っているのです。
いつ、なんどき、どこで、だれが、彼と同じ病気になるか分かりません。
でも彼ほどの前向きな精神性は、だれもが持てるものではない。
そう思うと、彼の偉大さを感じずにはいられません。

映像は画家のジュリアン・シュナーベル。
そりゃ、素晴らしい。詩のような映像です。
病で倒れてからのバックミュージックは一切なく、その場の音のみ。
元気でイキイキしている頃には、元気にU2などが流れます。
その対比が引き立ち、心を打ちます。
どちらも同じ人なんだけど、まるで別人のよう。
重厚な映画なので、オススメです。


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