時代は「いずれの御時にか」の少し後。
主役は薫中将です。

妖説 源氏物語〈1〉
著者:富樫 倫太郎
発行:中央公論新社
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中身は陰陽師もの。
光の君の孫で今上天皇の第3皇子である匂宮と、光の君の末子の薫中将は仲良しですが、もっぱら、奔放な匂宮に薫中将が付き合わされているという関係。
ギャンブル好きで能天気、亡き光君を理想と憧れる匂宮と比べて、薫中将は自らの出自に漠たる疑惑を持っているため、父である光君にも複雑な感情を抱く、穏やかながらも憂いを秘めた青年となっています。
このふたりが巻き込まれる事件は、呪いやら、魂狙いのかどわかしやら、魔鏡やらとオーソドックスな妖鬼譚ですが、匂宮、薫中将それぞれのお坊ちゃまぶりで、有名な夢枕獏の『陰陽師』とはまた別の雰囲気があります。
こちらに登場するのは、歳若の少年陰陽師、白鷗くん。
すでに没落した一族のひとりという設定で、薫中将の危機を前にして、自分の力不足に唇を噛むところなどがかわいらしいです。
そしてもうひとつ、「妖説」とつくとは言えども、そこはそれ、源氏物語ですから、薫中将の根深い悩みが通低音として流れています。
名高い光君は、ほんとうに我が父であったのか。
原文どころか、通常の訳でも読む気がないので(いずれ読むつもりで揃えてあるのは橋本治の『窯変 源氏物語』。)、悩める薫くんがわかりやすくて楽しいです。
こちらとしては「そんなに知りたいならば教えてあげましょう。君のお父さんはね。」と楽にさせてあげたいような気もします。
…いや、これは、真実を知ってまた思い悩むところをみたいというボンノーかも。
これで、原文…はともかく、どなたかの訳の源氏物語を読み始めるという方もいらっしゃるかもしれません。
文庫の表紙はとても綺麗でうっかり「妖説」を見落としてしまいそうな感じですが、ノベルズ版の表紙はいかにも平安妖異譚ふう。

妖説 源氏物語〈1〉
著者:富樫 倫太郎
発行:中央公論新社
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これって、中身を読まずに、源氏というだけで描いたような雰囲気。
匂宮や薫中将というより、光君ですわね。
妖しくって。
でも、第1巻はここまでは妖しくありません。
…が。
ぷすっ
ぷすっ
ぷすっ
とか
ぐさっ
ぐさっ
ぐさっ
というようなところには、うーん、と眼と思考が一旦停止。
久しぶりでみました。こういうページ。
そういえば、
ぐさっ
と
ぶすっ
に
やれらて、やられた人と一緒に機能停止…したな…うん。
でも、この話も面白そうですね。
特に、薫君が主体というのが。
>こちらとしては「そんなに知りたいならば教えてあげましょう。君のお父さんはね。」と楽にさせてあげたいような気もします。
楽にならないでしょうね~
だからかえって、教えたくなる…というか(意地悪?)
そそられました。読みたいです。
>楽にならないでしょうね~
そう、楽にならないのですよね。きっともんもんとさらに悩む。悩まないようなら、最初から、きっと疑ったりしない。
あ~っ、やっぱり教えたいっ
するするっと読める作品。現在文庫で3巻まででているようです~。
実は実用書やらお仕事関係の本を読む事が圧倒的におおいので・・・さいきんきしさんちにくると欲求肥満(不満のこえている)になります
頭のなかの積ん読はふえるばっかで
とりあえず現在森博嗣のS&Mシリーズ読破をめざし(得意の作者集中読み)てますが
これも読みたいですね・・・。
なんかね、返せない借金背負ってみちをあるいているように
よみたいほんがふえていきますよ
ほんと・・・・。
でも本は映画や舞台とちがって入手が全国平等なのでうれしいです
それなのに、本の山は増えていく…って自分で増やしているので自業自得な「借金の山」?
あ、むぎこさんがご覧になった「ライラの冒険」、観てきました~。
よめるのかなあ・・・連休も仕事で半分はつぶれるのに
これから妖しくなるのでしょうか?
1巻は最後までそう妖しくありませんねぇ。
弐をちょっと読み始めました。
登場人物は少しずつ増えています。
以前に読んだこの方の作品は、もっと菊池っぽかった(意味、わかります?)印象があるんですが、これは、あまりドロドロした妖しさはありませんね。
『ぐさっ! ぐさっ!』も、なんか妙に間が抜けているような…
読みやすいです。