みっかぼうず。

ものぐさ&ぐ~たら三日坊主の、ドラマ・映画・本のオボエガキ&おりおりの記録。

今日のドラマ 『胡桃の部屋』 

2011-09-01 22:21:15 | テレビ一般
8月いっぱい楽しみにしていた『胡桃の部屋』。
まだ20代のころ、向田邦子のエッセイにはまったが、
小説やドラマはあまりピンとこなかったっけ。

結論からいうと、最終回(脚本家のオリジナルらしい)だけ、
別のドラマになってしまった感じ。
それまでの1~5回は、どうしようもない泥沼なのに
不思議な軽さと清涼感があって、
キャラクター一人一人がリアルで、繰り返し見るたび
違う人物に焦点を当てて楽しめたのに。

エッセイだけの印象だけど、向田邦子の世界は
芯はしっかりだけど、輪郭はぼやける。
俯瞰すると幸せ不幸せと言い切れなくても、
日々の小さな出来事のひとつひとつから
喜び悲しみを感じつつ、一歩一歩生きていく。
決して、最終回のように、いっぺんに誰もが
ハッピーエンド(桃子は違ったけど)にならなくてもいい。
そうなる可能性がある、そうはならないかもしれないけれど
なってほしいという、含みを持たせた描き方の方がよかった。

1~5回まででいえば、印象的な場面はたくさんある。

まず、母・綾乃@竹下景子の言葉。
母として「情けない、子供たちに気を使わせて、借金払わせて。」
妻として「自分は漬物の尻尾かじってでも、お父さんには
     おいしいものと思ってきたのに。」
女として「あたしの人生、いったい何だったの!」

こんな綾乃が、「家族(子供たち)の幸せが私の幸せ。」と言いつつ
別れた夫と男女の密会して、その結果生き生きと綺麗になるのは、
すごく納得できて、逆説的に「良かったじゃない。」と
言ってあげたくなる。
そして、こういう状況を、恋愛をあきらめた桃子や若い弟・研太郎が
裏切られた思いや嫌悪感を抱くのもわかる。
既婚の姉・咲良が彼らと異なる反応をするのも。

綾乃は私の母親より、一回り上の年代だけれど、
価値観はきっと近いものがあると思う。
「あたしの人生、何だったの!」と、夫の失踪や浮気という事ではなくとも
一度は思ったことがある世代ではないか。
何だったの!と叫んで、実力行使にでていけるのが、
子供とともに実家にもどっていた都築の妻・貴子や
浮気現場に踏み込んだ咲良なのではないかな。
もう一回り下の世代にあたる私たちは、そう叫ぶまえに
じたばたしそうな気がする。

綾乃とともに印象的だったのが、長女咲良@井川遥のプライドの高さ。
それでも、決断に迷うと妹に電話をかけ、枕を並べて涙を流し、
「終わったら戻ってきて、うちでご飯食べなさい。」という
母の言葉に子供のようにうなずく素直さもある。
咲良・桃子・陽子の姉妹の場面は楽しかった。大喧嘩とか。
井川遥と松下奈緒は、本当の姉妹のように見えた。

最後まで違和感があったのが、桃子@松下奈緒かもしれない。
1~5話までは、その違和感が、泥沼ドラマの印象を薄めて
くれていると思えた。
そして都築へと気持ちが傾いていくにつれて、だんだん桃子自身の
本音そ見せるようになってきたから、
彼女が心底落ちるところまで落ちたら、すごいドラマに
なるんじゃないかと期待していたのになあ。
返す返すも、あの最終回が惜しい!

たとえば、同じ都築に再会するにしても家族と一緒ではなく
さりげなく言葉をかわす都築の指から結婚指輪が消えていて
(ドラマではしていなかったけど)
それを桃子は気づかないまま、別れてから髪を切るとか。
いじめ過ぎかな?
もう彼女に関しては、あんたどんだけお父さん好きなのよ、の
一言に尽きるけれど(笑)

長くなったけれど、最後に泰造さん@都築。
基本いい人&優しい人なんだろうけれど、どこか胡散臭くて、
男としての小ずるさや冷たさ(妻への視線など)が感じられて
役者泰造ファンとしては、すご~~~くワクワクした。
桃子との場面が多かったけれど、おでんや節子@西田尚美との場面が
都築の素の感情が一番素直に出ているようで、印象に残っている。
彼に関しては5回目までのドラマと思っておきたい。
最終回の半そで姿は、すらっとしてカッコよかったけどね。
いや、真夏に真冬のロングコート姿にも、十分過ぎるほど
ときめかせて貰ったし。
(結局そこかい!)


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