Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

Liszt 『巡礼の年』"Annees de pelerinage"Bertrand Chamayou

2015-05-29 19:28:44 | ボルドーへの旅
昨年8月の末、ボルドーでフランス語教師二人の家に一週間滞在した後、
ボルドー市内のシャンブル・ドット、三部屋しかない民宿のようなところに移動した。
私と同世代のマダムと彼女のママン、二人で二匹の猫と共に美しい家と庭を維持していた。
小振りのプールのある庭には花々が咲き乱れ、
4階建ての建物、一階は玄関脇にグランドピアノのある客間。
廊下を進むとキッチン、庭園を臨むリビング・ダイニングへと誘われる。

2階にはマダムとママンが住み、私の通された部屋は3階だった。
同じ3階にもう一部屋と更に4階に一部屋。


朝食も滞在客全員で一つのテーブルを囲む。
季節が夏の終わりだったこともあり、
いつも朝食は外にテーブルがセッティングされていた。


夜もマダムとママンは滞在客の帰りを玄関脇の客間で待っていた。
ここでひとしきり、その日の出来事などを話し、
各自の部屋へと戻って行く。

ある晩、私はこの客間に置いてあるCDに目を留めた。
Liszt "Annees de pelerinage"Bertrand Chamayou
リスト『巡礼の年』の中の曲は金子三勇士君の演奏で、
何曲かに馴染んでいた。
ママンとこのCDのことで話が弾む。
「オーベルマンの谷」をリストが作曲するきっかけとなったとされる
セナンクールの小説「オーベルマン」
ママンから「原作も素晴らしいからぜひ読んでみて。」と言われる。
作家が20歳の時にヨーロッパ各地を放浪した旅の書簡形式の物語、
と聞いているが、フランス語の原書などとても読めるとは思えない。
以前に日本語訳された書籍を探したが既に絶版となっていた。

このCDで演奏しているピアニストにもエッジの効いたジャケットから、
興味を持った。
Bertrand Chamayou、現在34歳、今、フランスで最も旬なピアニストだそうだ。
フランス版「ELLE」の今月号でも彼の特集が組まれていた。


一度演奏を聴いてみたいものだと思っていたら、
何と5月初めの音楽祭のために来日してサントリーホールで演奏していた。
生演奏を逃したのならせめてCDを聴き込みたいと、
このアルバムを取り寄せることに。
3枚組のCDのセットと丁寧な解説書が付いている。
アルバムの雰囲気を伝える美しいモノトーンの写真も添えられている。
「第一年スイス」のCDをセットしつつ、
フランス語のタイトル、一曲ごとに手書きで邦題を書き込む。

今までリストの曲、ハンガリーの演奏家か金子三勇士君の演奏でしか、
しっかりと聴いたことがなかった。
初めて聴くシャマユの演奏は新鮮。
円熟し、洗練された味わいがある。
そして現代的でもあり、いかにもフランスのピアニストらしい。

しかしアルバム3枚の「巡礼の年、第一年スイス、第二年イタリア、第三年目」
通して聴くことでどっぷりとリストの世界観に入り込む。
通して聴くことで見えてくるもの、感じ取れるものがある。

新作「ベルトラン・シャマユ/シューベルト:さすらい人」
も早速オーダーしてしまった。


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