Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

Giovanni Mirabassi @ Cotton Club Tokyo 9/25

2012-09-26 11:24:46 | その他のライブ
いつも応援している金子三勇士君、そして三勇士君の尊敬するツィメルマン、
それ以外でプロのアーティストのピアノソロリサイタルに行くのはほんとうに久しぶりだ。
しかも大きな会場ではなく、ライヴハウスの中でも抜群の音響のコットンクラブ。
どのような演奏が聴けるかと心待ちにしていた。

コットンクラブのプロモーションページのタイトルには
「感動ふたたび!『こころ』の叫びを静かにときに強く、
歌うように奏でるジャズ・ピアノの貴公子がソロで再登場」

更なる解説として:
昨年11月、コットンクラブに初登場。
繊細かつダイナミックに鍵盤を操る圧巻のステージで
会場を感動の渦に包みこんだイタリア・ペルージャ出身、
現在はパリを拠点に活躍する人気ジャズ・ピアニスト、ジョヴァンニ・ミラバッシ。
民衆歌や革命歌を取り上げた2000年録音の名作『AVANTI』から10年以上経過した昨年、
「閉塞感が漂う世界で、ピアニストとしての私が伝えなければならないメッセージがある」
という強い思いを胸に、“革命”をテーマにキューバの首都ハバナで
「インターナショナル」「リリー・マルレーン」ピアソラの「リベルタンゴ」などを録音。
ソロ・ピアノ・アルバム『ADELANTE』(“前へ”の意味)として発表し
話題を呼んだジョヴァンニがふたたび会場を沸かす。
(コットンクラブのHPより)

3歳からピアノを学び、10代でジャズへと傾倒し、
パリに移り良いメンターとの出会い、また作品が評価されたこと、
日本においてもプロモーションに積極的なレーベルの尽力もあり、
ここ数年、毎年来日が続いている。

東京でのリサイタルの前には福岡にある古民家で限定50名の会場にて、
3日間ソロでの演奏を行ってきた。

日本びいきだということが良く分かる。

ピアノはスタインウェイBタイプ。
ステージの中央に置かれている。
MCはイタリア語かフランス語かと思いきや、英語だった。
半ばうつむき加減で演奏しながら自分も唸るように曲を口ずさんでいる。
CDには情熱的な曲や哀愁を含んだ曲もあるが、1stでの演奏は、
甘美で心が潤う曲が続く。
そのクライマックスは"Libertango"だった。
いつも聴いている金子三勇士君がリスト型だとすれば、
ジョヴァンニ・ミラバッシの作り出す音はショパン型とでも例えられようか。

アンコールで戻ってきたジョヴァンニ、
「演奏し過ぎて時間をオーバーしてしまったみたいなんだ。
だからアンコールは短い物を。」
来日回数が多いだけに和風の旋律もところどころに挟んだりする。

終わって思ったことはたぶん2ndではかなり違ったセットリストになるのではないかと。
1stで優しくウォーミングアップしたジョバンニ・ミラバッシ、セカンドでは、
情熱的な曲を持って終わるのではと思うと、更に2ショウ続けて聴きたい気持ちになった。

会場の隅でサイン会が始まる。
私の前に並んでいた人が「どのCDがお勧めですか?」と尋ねると、
「どれも自分にとっては子供のようなもの。一つを選ぶことなどできない。」
最新のCD"Adelante"を購入後、少し話をすることができた。
真面目でシャイな性格、ここでもショパンを思い出してしまった。
語学は英語、仏語、イタリア語、スペイン語が話せるそうだ。
福岡、日本の地方都市での滞在を楽しんだとのこと。
イタリア人でありながら、完璧にフランス人的なキャラクターだと思った。

帰宅後、購入したCDを聴きながら余韻に浸った。
ソロのみのリサイタルとは違い、CDにはヴォーカルやバックバンドも入った曲もあり、
それぞれが趣がある。

DJ TAKさんの選んだEric Benetの曲は!?

2012-09-19 17:01:52 | エリックベネイの曲
今年の5月、エリックべネイの来日時にも番組で特集を組んで下さったDJ TAKさん。
昨日がお誕生日だったのでお祝いをウォールに書き込むと、
早速お礼と共に今日の番組中でエリックの曲を掛けるとのコメント。

TAKさんの普段の番組の枠はMID FM 761「MID アーティストセレクション」13:00~14:00、
しかし今日はその次の時間帯の「MID Feeling Good Times」も引き続き、担当される。
http://761.web.co.jp/

これではまるで私のお誕生日祝いになってしまうとお礼を書き込むと、
この日の番組のテーマは「女性(男性もあり)の名前の曲」、
「"India"にしようかと迷いましたが、キャッチーなあの曲を。」
とのお返事。

うん?一瞬考え込みましたが、それならもう、あれしかないでしょう!
"Harriett Jones"!!!

名古屋のラジオ局の放送を東京からもネットでSimul Radioにて聴視可能。

最初はエリック・クラプトン「レイラ」
そして次に掛かりました。「ハリエット・ジョーンズ」
慌ててエリックべネイ宛てにもツイートする。
「名古屋のラジオで今、"Harriett Jones"流れているわよ~」

次はスティング「ロクサーヌ」
もうすぐ来日するKool & the Gang「ジョアンナ」
「シェリー」がタイトルに入った曲が二曲。
スティーヴィー・ワンダーの"Ma Chérie Amour"と後もう一曲、
タイトルは失念しました。
"Cheri(e)"とは仏語で「愛しい人」ですね。

ここでスザンナ・ベガ「ルカ」
これは男の子の名前だが虐待児童のことを歌った曲だそうだ。
TAKさんからのメッセージが込められた曲。

その間、お礼に何かリクエストしたいと思いつつ、
中々思い浮かばないままに次々と曲が掛かっていく。
ツイートするとchanparaさんから「"Sara Smile"は?」とお返事。
そうだと思った時には既に"Sara Smile"が流れ始めていた。

その後も80年代から70年代に移り、"lady"がタイトルに入った曲。
デュラン・デュラン「リオ」などが掛かる。

一方、エリックべネイからも先ほどの私のツイートへのお返事、
「それはいいね!」とツイートが来る。

番組では近くのレストランの人気メニューが運び込まれ、
名古屋ブルーノートの方も混じって試食。
この様子は動画でも閲覧可能。
とても美味しそうなお料理ばかりでした。

DJ TAKさんのそれぞれの曲にちなんだお話も楽しく聴かせていただきました。
「女性の名前の曲」って知っているはずなのに案外さくっと出てこない。
興味深いテーマ、そしてエリック・べネイを取り上げて下さってありがとうございました。

あっ、今思いついた!
ビリー・ポールの"Me & Mrs. Jones"もありだったんだ・・・

金子三勇士・9/16「題名のない音楽会」に出演

2012-09-17 00:00:09 | ピアニスト 金子三勇士
8/23に東京オペラシティーコンサートホールで行われた出光音楽賞、
授賞式と受賞者コンサート。
当日には会場の四方隅々、ステージ上などいくつものカメラが備え付けられていた。
カメラマン達がカメラの前でスタンバイしながらインカムで連絡を取り合っている。

8/23、ガラコンサートについてのブログ
http://blog.goo.ne.jp/ak-tebf/d/20120825

当日はマリンバの塚越、休憩後に金子のピアノ、そして萩原のピアノ、
という順番だったが、テレビ放映では金子、塚越、萩原という順になった。

金子三勇士の略歴と共に子供の頃からの写真が紹介される。
リストが手が大きかったという説からアナウンサーの女性と手の大きさを較べる。


この写真で見ると金子の手がかなり大きく映っている。
ショパンの手は小さく、リストは大きいという言い伝えがあり、
実際それぞれの手形も生家やゆかりのある観光地では売られていると聞くが、
リストの手の大きさについては定かではない。
金子三勇士も手が極端に大きいとは思えない。
いったいどこからあのような演奏が生まれるのか、手の掌の筋肉や大きさ、
なども重要ではという話題になる。

リスト・ピアノ協奏曲第1番
コンサートで演奏した全曲の中からテレビ放映では第4楽章のみ。
しかしこの最後の楽章には楽曲全体のパッセージが含まれ、
フィナーレはダイナミックで華やか。
リストの世界、金子三勇士のエッセンスがここに詰まっている。

実際に行った演奏会の映像を観てみると、
コンサートでは見えなかった豊かな表情や指使いがクローズアップされてくる。
リストの超絶技巧曲、視覚では捉えられないほどのスピードで手が動く。
演奏の後半からの自信に溢れながら、オーケストラと指揮者を信頼して、
アイコンタクトする様子。
終わった後のとびっきりの笑顔。

コンサート、生で観るのももちろんだが、
優れた映像には肉眼では気付けなかったものが現われる。
もちろんたくさんのカメラで撮られた映像を
いかに編集したかによるところも大きいはずだ。

山下朝史、9/14「未来シアター」に出演

2012-09-16 00:00:00 | その他の旅
夜11時半からの番組。
最初はグランブルーの主人公を地で行くフリーダイビングに挑戦する日本人男性。
そして後半が山下朝史さん。

山下さんがパリに留学当時からの沢山の笑顔の写真がテレビに映し出される。
そしてムッシュー・ヤマシタの農園、夏野菜がたわわに実っている。
私が伺ったのは厳寒の年末だったゆえ、ほとんど野菜がなかった。
次回はぜひ野菜が旬の時期に訪れて、もぎたてのトマトなどをご馳走になりたい。
山下さんは東京やパリを闊歩している時ももちろんだが、
自分の畑にいる姿は抜群にカッコイイ。

山下農園と契約する有名シェフ達。
皆、口を揃えて山下さんの作り出す野菜の素晴らしさを語る。
日本の野菜が最初は条件の厳しかったパリ郊外の村で根付き、
人々に感動を与えている。

レストラン・イティネール restaurant itinerairesのシルヴァンが、
若きシェフとして登場する。
Sylvanの買い物のガイドをして築地市場を案内したのは昨年2月。
魚や野菜、包丁、昆布は利尻、日高、羅臼を迷って、
私の勧めた利尻の最上級の物を買っていた。
日本茶は緑茶だけでなく、ほうじ茶も。
あの時の来日の経験がどのように彼の作る料理に反映されたのだろうか。
画面から味や香りまではわからない。
実際に彼の店に行き、確かめてみたい。
シルヴァン夫人のサンドラからは震災の時に丁寧なお見舞いと、
「何か食べ物や必要な物を送りましょうか?」とメールを頂いた。
二人が店で働く姿も見てみたい。

山下さんの新作としてチャイニーズブロッコリーが紹介されていた。
25年位前だろうか。
私はサンフランシスコのチャイナタウンで初めてこれを食べた。
日本やアメリカのよりも茎を食べる感じで空芯菜に近いイメージだった。

番組が終了したのは12時。
夜も更けてちょうどお腹の空いた頃。
山下さんの作る野菜、シルヴァンの料理が食べたくなってしまった。

第2回 あの人気CMソングの秘密とは?!「奇跡の3分間クラシック」

2012-09-15 00:57:21 | ピアニスト 金子三勇士
第2回 あの人気CMソングの秘密とは?!「奇跡の3分間クラシック」


金子三勇士、リスト「ハンガリー狂詩曲第2番」、ベートーベン・ピアノソナタ「悲愴」
2つの曲を日本語、英語、ハンガリー語の3つのヴァージョンで解説している。
演奏ももちろん素晴らしいが、それぞれの言語を話す時の声や表情の変化、
初秋へと向けてアウトフィットも決めているところが心憎いばかり。
いつも思うことだが、彼の作り出す最初の一音、ここへの感情の乗せ方の心配り、
最後の余韻を残して終えるところ、この映像で観るとくっきりと浮き出てくる。

三勇士君、楽しく拝見いたしました。
これをぜひ、シリーズ化してくださいね。

金子三勇士、8/23の出光音楽賞で演奏したリスト・ピアノ協奏曲第1番、
9/16(日)テレビ朝日系「題名のない音楽会」にて朝9時より放映される。

The DelfonicsとKool and the Gang

2012-09-12 10:49:01 | 私の日々
朝一番に届いた宅急便。
そこにはMr.YからのKool & the Gang の白と黒のTシャツ、
The Delfonicsのレコード"Synphonic Soul"が収められていた。

今回、残念ながらクールアンドザギャングのライヴには行けないのだが、
皆さんがライヴで着るTシャツのお仲間に入れていただいた。

白は画像がブルー、赤で"Keep the funk alive"
Kool&the Gangのロゴ、小さめの書体でtheが入っている。
黒は画像が赤、字体はゴールド。
白は爽やか、赤はゴージャス、それぞれ全く違った印象。
とても素敵なTシャツです。

デルフォニックスのLP、A面は"La La Means I Love You"で始まり、
B面は"Didn't I Blow Your Mind This Time"が入っている。
私がこのブログで映画「ジャッキー・ブラウン」の中で、
Jackie Brownがこのレコードを掛けるシーンが忘れられない、
LPを探しているけれど、みつからないと書いたのを覚えていて下さった。

早速レコードのside1を掛ける。
"La La Means I Love You"で家の中の雰囲気が一気に60年代後半から70年代に。
side2の"Didn't I Blow Your Mind This Time"で
ほんとに私はぶっ飛びそうになった(blew my mind)

ウィークデイの真ん中の水曜日。
アメリカではhump dayと言われる。
パッとしない日を頑張ろう、気合を入れようという日。

朝から思いっ切りテンションが上がりました。
Mr. Y、"this time"だけでなく"every time"、
私をブローアウェイするプレゼントをどうもありがとうございます。
You made my day, Mr. Y!!!

El Debarge and Eric Benet at RnB Live

2012-09-10 08:30:06 | エリック・ベネイライブ(日本以外)
El Debarge and Eric Benet at RnB Live (not good)


9/5にハリウッドで行われたライヴ。
上記のyoutubeは短いヴァージョンだが、こちらに長いものもある。
http://new.livestream.com/rnblivehollywood/events/1257478
エリックべネイの登場するのは約2時間の内の1時間20分目位。

最初は"Georgy Porgy"次に"If You Want Me To Stay"
最近、このスライのカヴァー"If You Want Me To Stay"聴いていなかっただけに新鮮だ。
ここのところ、高音やファルセットの曲に注目が集まっていたので、
久々に中低音で歌うエリックの声が聴けたのは嬉しかった。

ところが途中からステージにEl Debargeも上がる。
この部分からyoutubeの映像にも映っている。
エルは何度もサングラスを落としそうになる。
あきらかに酔っているか、何か別の方法で決まってしまっている。
"Rhythm Of The Night"をエルと一緒に歌おうとするエリック。
一生懸命盛り上げようとするが、エルは全く乗り気じゃない。
歌うのをやめてしまうエル。
それならと何なら歌いたいのかと聞いても黙っている。
エリックの額には汗が滲んでいる。

客席から"Secret Garden"と声が上がる。
エリックはこの曲の歌詞を覚えていなかったようで、
エルの歌うのをなぞる。
客席に背を向けつつ、譜面を見るエリック。
それをエルは「エリックは忙しそうだね。」
歌を把握したエリックはエルに合わせて一緒に歌い出す。

エルはエリックに向かって「女遊びしてるだろ?」
「プリンスの女房を奪うなんて、たいしたもんだよ。」となじる。
舞台のすぐ前にコメディエンヌのルネがいるが彼女も酔っているようだ。
エリックに「『チョコレートレッグ』を前みたいに歌ってよ。」

エルは舞台から離れ、エリックも離れる。
まだくだを巻いているルネのところにエリックは行き、諭している。

Youtubeの真ん中のエルと一緒に歌っている部分だけを見て、
エリックべネイは傲慢だとか、エルに失礼だとか書き込みがあった。
全部を観れば状況がわかるのに残念だ。
エリックは精一杯やっていた。

El Debarge、復帰と言われながら失態が続く。
しっかりとリハビリに取り組んで、またぜひ素敵な姿を見せて欲しい。

「127時間」とLovely Day

2012-09-09 11:33:01 | 私の日々
これは実話を基にした映画。
登山家アーロン・ラルストーンの自伝の映画化。

自由を満喫する若者。
週末に一人、ユタ州にあるブルー・ジョン・キャニオンを
好きな音楽を聴きながら闊歩することは、彼の日常の楽しみ。
出掛けに母親から掛かってきた電話、取ろうとはせず留守電を聞き流す。
家を出る時に、水筒に水道水を詰めるが、その蛇口から水がポタポタと垂れているところ、
キッチンにある携帯用ナイフが戸棚にポツンと残されている様子は、
何かを暗示しているようだ。

誰にも行先を告げず、車で近くまで行くと次は自転車で走り回る。
転んで自転車が壊れてしまうと今度は歩き始める。

二人の女の子と知り合い、道案内をしてあげる。
こういうエピソードはいかに彼がこの渓谷を知り尽くしていて、
何度も訪れていて、自然が好きで人懐っこいキャラクターであることが、
プロローグとして紹介されていく。

二人の女の子を洞窟の奥に連れて行き、地下にある泉へとダイブする場面がある。
これは本人によるとフィクションだそうだ。
自然のダイナミックさ、アーロンがどれだけそれに魅了されているか、
表現するために映画に付け加えらえた部分。
この場面で「岩は動いたりしないわよね。」という話が出て、
「少しづつ動いてるんだ。今日がその日じゃなくてラッキーだったね。」
という会話がある。これもこの先を暗示するような言葉。

アーロンは大胆なようだが、それでも自然に対して注意を怠らない。
足場にする岩は動かないか踏んで確認したりしている。

ネタバレあり、と書いておいた方が良いだろうか。
「127時間」というタイトル、本人が本を書いているのだから、
生きて帰ってきたことは明らかだ。
しかしどうやって帰って来たか。

動かないと思っていた岩が落下し、岩と共に渓谷に落ち、
右手を挟まれるアーロン。
その様子を客観的に観察し、ヴィデオに収め、何とか岩を動かそうとする。
ここから先はもう、観るのを止めようと思ったほどだ。

夜が明けて場面が変わるとバックには、Bill Withers"Lovely Day"
が流れてくる。あまりにこの場面にピッタリな曲で、
この曲を聴いた時に、映画を最後まで観てみようと思った。

"Lovely Day" 歌詞をもう一度、確認してみると、
「今日は楽しい日だ」という歌ではなかった。
「朝起きると目の前には大変な状況がある、
でも君を見ているときっと大丈夫だと思えてくる。」
ビル・ウィザースには"Just The Two Of Us""Ain't No Sunshine"
などのヒット曲、カヴァー曲があるが"Lovely Day"は自身でプロデュースした曲。

この映画のメーキング、監督や主演のジェームズ・フランコのインタビューも観たが、
孤独で自分と向き合いつつ戦いに勝ったということがテーマではないそうだ。
アーロンが一人ではなく、常に家族や友達と心の中で対話しながら、
生き抜いたということ、それがメインテーマだという。
そういう意味でも"Lovely Day"はこの映画を象徴している。

主演が当初の予定ではアーロン・ラルストーンに外見が似た
アイルランド系の俳優だったらしい。
実際に主演したのは今まで「スパイダーマン」で
主人公の良い友人だったところから、父親との絡みで敵へと変わっていく、
そんな役でしか見覚えのなかったジェームズ・フランコ。
しかし彼が明るく、くったくのないアーロンの内面を良く表現している。
メーキングで見ると、カメラマン達も命綱を付けて岩盤に張り付いている。
ジェームズも渓谷の谷間に挟まれた状態の撮影場面がある。
そうとうタフでなければこなせない映画だ。

もう助からないと思ったアーロンは一緒に過ごした家族や、
周りの人々の幻影を観る。
そういう人々への遺言をビデオで撮影する。
岩にも自分がいたことを書き記す。

自分がこういう状態になったのは、偶然ではなかったという想いが、
稲妻のように彼を捉える。
何万光年も先の宇宙からここに隕石が落ち、自分は生まれた時から、
ここで挟まれるべく、ずっと生きてきた、岩は自分を待っていたと。

岩に挟まれたままで時間が経ってしまった手にはもう血が通ってない。
腕を切り落とすことを考えるが、ナイフは腕を切るにはあまりにチャチだった。
再び、腕を切ることを考えナイフを突き刺すが骨の存在に気づき、
とても無理だと諦める。
飲み水はなくなり、脱水状態のアーロン。
この時に出てきた血液さえ吸い取るように吸収する。

幻想するのは、水しぶきのあがるビーチ。
車に残してきた飲み物。
ビールや炭酸飲料の溢れるところ。
幻覚状態に陥ったアーロンは水が洪水のように満ちてきて、
岩が動き、脱出する夢を見る。
この時に昔の彼女が出て来て、アーロンを拒否する。

とうとうアーロンは腕の骨を砕く。
先に骨を折っておいて切断を始めたのだ。
ここの細かい描写、神経や肉を切断していくらしいが、
これは目を背けてしまった。

5日間閉じ込められていた場所から遂に離れることができた。
その瞬間、岩と切断した腕を見ながら「ありがとう。」というアーロン。
カメラにもその腕と岩の様子を収めている。

この物語に人が共感するのはサバイバルだけでなく、
多くの人が腕を岩に挟まれて動けなくなっているところから、
抜け出したいと思っているから、というアーロンの言葉があるそうだ。
脱獄しえない刑務所から抜け出したスティーヴン・キング原作の映画、
「ショーシャンクの空に」を思い出した。

さてここから車をとめたところまで、もどらなければならない。
トレッキングをし、遊歩道付近まで来たところで会った家族連れ、
(実際にオランダから来た子供連れの夫婦が彼を手助けしたそうだ)
水を与え、携帯の圏内まで一人が走る。
この後、救出のヘリがやってくるが、
カットされた部分では乗り込んでクルー達にお礼を言う場面がある。
実際の話だと戻って来ないアーロンの行き場所は特定できたので、
近くまでヘリが来ていたこと、あと数時間遅れていたら助からなかったこと、
が補足されている。

映画はアーロンが夢見た景色、プールで泳ぎ、
目の前には大切な家族や友人が見守っていてくれる、そんな光景で終わる。
出掛ける時には行先を残していくこと、
というアーロンからのメッセージが半ばジョークっぽく挟まれる。

アーロンが腕を失う前の目標だった雪山の制覇はこの後、達成されたそうだ。
映画の日本公開は震災からまだ日が浅い時期だった。
本人からのお見舞いと励ましのメッセージ、
また家族で日本に行ったら広島も訪れたい、と結んでいるところに、
アーロン・ラルストーンの人となりをみた。

宝石のような輝きの言葉がダイレクトに伝わってくる映画だった。
暗さはなく、これは本人の性格を映画が忠実に表現した結果かと思う。
そういう意味でも優れた映画だといえる。
しかし、もう一度観るのには勇気がいる。

Bill Withers - Lovely Day (1977)

韓国でVISTAの映像を観るエリック・べネイ

2012-09-07 19:42:15 | エリックベネイの日々&KyteVideo
{LOEN TV} ????(FIESTAR) 'VISTA' MV - Eric Benet Reaction Video


Korinさんから教えていただいた映像。
コアなファンにとってはかなり興味深い。
素のエリック・べネイが見える。

VISTA、韓国の女性グループのPVを観せられるEric Benet。
最初は"Nice!"とか言っている。
1分過ぎた辺りでちょっと不機嫌そうになってきて、
「このビデオ、何分あるの?」
サングラスをかけているが、その奥の目はあくまで真剣だ。
真面目に映像を見つめている。

2分過ぎた頃にペットボトルの水をちょっと飲むエリック。
飲み方が上品だな。
暑さで最近、冷たい飲み物を一気飲みしていた自分を反省。

2分半経つと首を振って頷きながら"Beautiful!"
「女の子たち、皆、大胆だね?」
一緒に観ているミュージックパートナーのデモンテは、
終始にこやかだ。
エリックは映像を凝視しながら観察している。
エリックべネイ、ライヴではエンターテイナーだが、
実際はシャイな部分もあり、エンジニア的だ。
そういう部分がこの映像にとても良く出ている。

4分目で「いいね!」
5分経ち映像が終わった時に"Wow!"
「素晴らしい。みんなホットだ。」

そして最後にこの曲のさび、「ピラッパー、ピラッパー」
をそっくりの声で歌う。
エリックは音をコピーするのが得意だ。

とってもエリックべネイらしい映像で可笑しかったです。
私的にはツボにはまってすごく受けちゃいました。
korinさん、ありがとう!

100歳の少年と12通の手紙

2012-09-05 19:20:37 | 私の日々
2010年に公開された作品をDVDで鑑賞した。

画面は授業風景から始まる。
教室に入ってきた教師に数々の悪戯がしかけられる。
犯人がすべてオスカーだとわかると教師は叱らうとはせず、
受け入れてしまう。

ここは学校ではなく、病院の中の教室だったことがわかってくる。
看護師もドクターも腫れ物に触るような態度で彼に接する。
ところが偶然、ぶつかってしまったピンクのスーツで固めた強面の女性、
彼女だけはオスカーに罵声を浴びせる。
「言葉遣いが悪いね。」とローズに言いつつ、
彼女の強烈なキャラクターに顔が綻ぶオスカー。

オスカーは白血病、病院に両親が訪ねてきたことを病室の窓から見て、
大喜びをするものの両親は担当医からの説明を聞き、
骨髄移植の結果は良くなく、もう治療するすべもないことを知り、
泣きながらオスカーに会うことを拒んで帰っていく。

この作品に難病で早く人生を終えて旅立っていく子供、
それを見守る周囲の人、両親の気持ちにリアリティーを求めてみる人には、
違和感があるかも知れない。
「ライフ イズ ビューティフル」を観てホロコーストとは逸脱していると、
非難した人たちがいるように。
あくまでメルヘン、そしてそこにオスカーをメタフォーとして、
人生を凝縮した賛歌であると言いたい。

病院にピザの配達をしながら、毎日オスカーに寄り添うローズ。
オスカーの疑問に対し、嘘偽りがない言葉で答える。
彼女のアドバイスはいつも的確だ。
オスカーの気持ちもわかる。
「前は"Je t'aime"と普通に抱きしめてくれた両親が、今は悲痛な叫びになっている。」
「大切にしていた熊の縫いぐるみが汚れたからって新しいものをくれるなんて、
僕を元気な男の子に取り換えるみたいに無神経だ。」

1日を10年と考えて、それに相応しく一日を生きていく。
恋する女の子に想いを伝え、一緒に過ごし、両親への許せない思いも、
遂には両親の立場に立ち、理解する。
オスカーにとってヒールで憧れの存在だったローズに対しても
彼女にも悩みや苦しみがあることを知り、安心感を与えてあげようとする。

オスカーが両親と和解する時に見守るローズの姿がいい。
見ていて泣きそうになりながらも、自分の家族の前では強がってみせる。
最後に意地悪にみえた婦長が駆けつけてきたローズのピザの不出来を指摘し、
「タダにする」というローズに「それはダメよ。」
それだけではしんみりしてしまう場面、過食症の男の子がそのピザを盗もうとしていて、
ギャグになっているところがフランスっぽい。

オスカーの最後に付き添うローズにそっとジャケットを掛けてあげる婦長、
オスカーの遺品を届けに来た両親に会おうとせず、
後から思い出の品を前に涙するローズ、自分のショールで包んであげる彼女の母。
大袈裟な表現や言葉もなく情景で心情を伝えようとしている。

12日間毎日、神様に手紙を書いたオスカー。
風船を付けて空へとその手紙をローズは飛ばすが、その前に主治医にコピーが渡され、
オスカーのその時々の気持ちは医師や両親に知らされていた。
しかし手紙を書くことで神様、自分とも対話したオスカーは臨死体験をする。
人生は美しい、自分も全うしたという思いで最後を迎える。

葬儀に離れた場所から参加するローズ。
そこに担当医もやってきた。
「罪悪感があるの?」と尋ねるローズに「救えなかった。」と答える老医師。
「あなた、何様だと思っているの?神じゃなくてただの修理屋でしょ?
自分を重要視し過ぎてるんじゃない?」とローズの毒舌が炸裂する。
微笑みながら"Merci."と言うドクター。
ドクターに促されて葬儀に二人は向かっていく。
いや、ローズはその場に留まったようにも取れる。

ずっと冬で雪が舞っていた景色が春になり、花が咲く。
ローズは病院の前にトラックを停めてピザを売っている。
オスカーに与えただけでなく、
ローズもオスカーからいろいろなことを教えられたのだった。

クリント・イーストウッドのロムニー支持演説

2012-09-03 10:58:47 | 私の日々
8/31に仏語のレッスンを終えて、教室から階下のロビーに出ると、
併設されたカフェのテレビではフランスのニュースが放映されている。
画面に映し出されたのは大統領候補・共和党のミット・ロムニーだった。
その後、すぐに画面はクリント・イーストウッドの演説へと代わった。

音声が聴こえず(もっとも聴こえていても理解できなかったと思うが)
画面だけを眺めていたが、何とも異様な雰囲気がした。
フランスのテレビ局の視点ではミット・ロムニーよりも、
こういった場にクリント・イーストウッドが出てくることに、
驚きと焦点が当てられていて、風刺的に感じたのだ。

しかしながら、イーストウッドの姿は実際、全然カッコ良くなかった。

「ローハイド」にスタートし、イタリアに渡り「マカロニウエスタン」シリーズ、
その後の「ダーティーハリー」では、タフだけど優しさもある男を演じていた。

87年にカリフォルニア州の都市カーメルを訪れたが、彼はその時ここの市長をしていた。
風光明媚な海岸線を持ち、街並みも整然としていて小綺麗だった。
クリントが何を思い市長をしたのかは知らないが、俳優を引退する気かと思っていた。

「マディソン郡の橋」には納得できないものもあるが、年齢を重ねても、
恋する気持ちは美しいと世の中に知らしめた。
その後も監督、俳優としてもめざましい活躍を続け、
「硫黄島からの手紙」「父親たちの星条旗」では日米、両サイドから太平洋戦争を描いたこと、
「硫黄島からの手紙」においては、よくぞここまで日本側の気持ちにも配慮してくれたと感動し、
私は映画を観たことで、栗林中将の伝記も読んだ。

「ミスティックリバー」は好きにはなれなかったが、
「ミリオンダラーベビー」では人の生きる意味、クリントの死生観が伝わってきた。
「グラントリノ」では、孤独で死期が近く家族や社会と打ち解けられない老人が、
隣のアジア系の一家との交流から、最後に輝いて生を全うする。
私はそこに80歳を過ぎたクリントの美学をみた。

それが何で今になってロムニーのバックアップに回ったのか?
座る人のいない椅子にオバマ大統領が座っていると仮定のもとに、
そこに向かって話しかけるというスピーチだったが、
経歴やら数字やらが間違っていたと後で知った。

実はこんなめちゃくちゃなスピーチをして、その後オバマに電話して、
「うまくやっておいたからね。」と話していたんじゃないかとか、
(Mitt Romneyの応援をする振りをして実はObamaのサポーターだったというジョーク)
またその後のツイートを見ていると「3回結婚して、5人の女に子供を産ませた男に、
愛や家族が語れるか?」などという辛辣なものもある。
これは余計なお世話だと思うが、政治にかかわるとこういうことを言われてしまう。

私のSNSで関係している人はほとんどオバマのサポーターだが、
一度日本のことをロムニーが全く分かってないと思うコメント
「不況が何十年も続いている日本のような国にアメリカはならない」を批判したら、
早速「それで皮肉っているつもり?」とメッセージが来た。
私のフォロワーにロムニーのサポーターもいたようだ。

クリント・イーストウッドはスピーチを予定されていた時間の倍もしてしまった。
監督であり俳優であるなら、これは許されない。
(『許されざる者』という作品がクリントの出世作だが)
やっぱり実家の父と同じ年だったんだなぁと思い、ちょっとがっかりしたりしている。

オバマ大統領に好感を持っているのは、
エリック・べネイや彼のファン達が支持しているからだけではない。
混乱していたアメリカにいきなり変革をもたらすのは容易ではないはずだし、
ぜひもう一期も務めあげて、医療保険の問題、失業対策などにも善処して欲しいと思う。