Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

Al Jarreau and George Duke @ Billboard Tokyo 3/6 2nd

2012-03-07 16:26:16 | その他のライブ
アル・ジャロウ、夫は最初に観たのが30年前だそうだ。
私は確か10年前位にブルーノートで観ている。

エリック・べネイが音楽活動から退いていた時期、
アルバムのヴォーカルで使ってくれたジョージ・デューク。
金子三勇士君ともローランドVピアノのコマーシャルで一緒に出演している。
応援しているアーティスト二人とゆかりのあるジョージ。
ライヴでぜひ、生の演奏が聴きたいと思った。
ジョージ・デュークを観るのは今回が初めて。

二人ともジャカルタジャズフェスティヴァルに出演した。
どうせ乗り換えるのだから帰り道に東京で1日だけでも、
ということになったのでは。

この日の客層はここのところ行ったライヴとは、かなり違った感じがした。
ジャズ、フュージョン系のファンの方達、
また一日だけのライヴということもあり、多くのアーティストを見かけた。
その中にTokuさんも。

今回はデラックスシートカウンター・ロウの左端。
席に着いてから、カウンター・ハイ、
あるいはデュオシートの中央の方が良かったかな、と左端という位置に戸惑う。

アル・ジャロウ、ジョージ・デューク、マイクを持って軽く歌いながら、
バンドのメンバー達と気さくに登場。
指定席カウンター、座るのは約3年振り?
階下の自由席の様子は見えないが、音響が抜群だったことを改めて思い出した。

アルはカジュアル席にも「僕のクアイヤー達、よろしく頼むよ。」
と声を掛ける。
カジュアル右手の人たちとアルのコーラスの練習が始まる。
みんな、しっかりと歌い返していた。

ジョージはキイボードとスタインウェイBタイプを弾きつつ歌う。
生で聴く"Sweet Baby"の曲にうっとりした。

アルは体調が悪いのか、何度か中座する。
腰が痛そうに見える。今月で72歳。
ジャカルタから東京に来て、時差はそれほどなくても、
移動の距離、温度差などは厳しいと思う。
それでも退場する時もリズムに乗りながら、
サインを求められれば気軽に応じる様子はさすがだ。

スタンダードなジャズ、80年代に馴染んだフュージョン系の曲が中心。
アルのヒット曲、たとえば"We're in this Love"も原曲ではなく、
デュークとのアレンジになる。

アルがしばらく出てこない間、楽器を弾きつつ歌い、
キーボードをバンドのメンバーに預けつつ、
スタンドマイクの前にも移動して歌ったジョージ。
「アル、もう声が出ないんだけどそろそろいい?」
「あ~い、今、そっちへ向かうところだよ。」
そんなやり取りがある。
アルが「この曲を歌いたいんだけど?」とジョージにフレーズを聴かせると、
「それだったら、全然問題ない。一緒にさんざんやって来たじゃないか。」
そんな二人の会話が和気藹々としていて微笑ましい。

「マシュケナダ」で会場は熱く盛り上がる。
ブラジルではなく、ジャカルタからの熱風を二人は持ち込んだ。

ベースマンがふるっていた。
ウッドとエレキベース、二つを持ち替えて演奏するがどちらも最高。
ドラムスもいい。

アルは日本語も良く知っていて歌の中に「イラシャイマセ。」なんて挟んでくる。
前列中央中心にとてもノリの良い女性たちがいて、アルも嬉しそう。

10年前と較べると足腰が弱り、声量も落ちたかもしれない。
でも魂の若さ、エンターテイナーとしての底力を観た思いだった。
ジョージの演奏も力強く、アルが歌う時は彼を引き立てる。

さて、終了後のサイン会、販売と同時に全員のサインがカウンターで貰える。
30分ほど待ったが、列はいっこうに短くならない。
一人一人が長いのだ。
それだけ多くのコアなファンがいて、
ジョージもアルもミート&グリートを丁寧にしてくれているのがわかる。
諦めて帰ることにした時に、
長身のキャップを被ったアフリカ系男性が立っているのをみつけた。
サイン会の様子をニコニコしながら眺めている。
大勢の中に紛れていても、オーラが出ている。

「あなた、もしかしてFrank McCombよね?」と聞くと、
「うん、そうだよ。」
「うそでしょ?どうしてここにいるの?信じられない!」
「僕も明日からコットンで三日間ショウをするんだ。」
もちろん、それは知っている。
しかし、この日にこのライヴに来るために、
フランクのライヴは一年前にコットンで観ているだけに諦めたのだ。
「あら~、そうだったの。」
「行くわ!」と言わない私にフランクは
「横浜モーションブルーも土曜日にあるよ。」
「あー、そうなんだ。」と頷くのみ。
「日本にまた来てくれてありがとう。」と言うと、
「こちらこそ、どうもありがとう。」

この日にライヴに来ていた人で彼に気づく人が少なかったからなのか、
声を掛けたことを喜んでくれた。
写真を撮る時に「レディーが真ん中だよ。」と言うので、
「やっぱり、フランクが真ん中でなくちゃ。」
「いやいや、レディーが・・・」
「だめ、フランクが真ん中!」

一緒に写真を撮ってくれて、その上私たちがエレベーターに乗るまで、
手を振って見送ってくれた。
"See you soon!"と言われてこちらも"See you!"とだけ返事を返す。
"See you at ~~!"とは言えないところが心苦しい。

何て感じの良い人なんだ。
というか、マダムキラーと言うべきか。
エリック・べネイのファンにフランク・マッコムファンが多い理由が良く分かった。
コットンクラブには行けないけれど、横浜モーションブルー、
行かずにはいられない気持ちになる。



アル・ジャロウ / Al Jarreau(Vocals)
ジョージ・デューク / George Duke(Keyboards)
ゴーデン・キャンベル / Gordon Campbell(Drums)
マイク・マンソン / Mike Manson(Bass)