木造トラス(合掌)の製作、承ります。
2016年8月2日【木造トラスの製作・施工図作成承ります。】を参考まで。
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トラスの記事は【2012年7月25日 合掌(トラス)その5スパン≒9.1m】以来。
今回は埼玉県所沢市立富岡保育園建替え(建築)の木造トラス。 【富岡保育園HPはこちら】
2015年に私が製作した木造トラス(合掌)。 その施工図の紹介です。
”設計をする大工・大工をする設計士” 【職責】を果たす仕事の一部を、垣間見て欲しいと思います。
構造設計は、㈱K構造研究所です。
確か、合計で9セットの製作。o(^▽^)o
その全てを、手墨・手加工。 墨付けは私一人、加工は私が約7割、アシスタント1名が約3割かな。
今回は構造設計事務所による意匠上・構造上の要求があり、全自動プレカットではCAD入力も含め、出来ないそうです。
(なまじ入力担当者に手を出されると、掻き乱されて収集がつかなくなるので、ご遠慮願いました。)
JIS A 3301(木造校舎の構造設計標準)によるプレカット木造トラスもあるのだけれど、
木造に造詣の深い構造設計事務所による高い要求は、満たせなかったようです。
ちなみにJIS A 3301プレカット木造トラス仕様・合掌尻部の設計(木組み)
【国立教育政策研究所 JIS A 3301を用いた木造校舎に関する技術資料】より
全自動プレカット工作機械加工が条件の設計なので、こうなってしまうのでしょう。
片や、日本建築学会木質構造設計規準による、伝統構法大工製作の合掌尻の木組み。
今回、構造設計事務所からの設計・木組み指示がこの方式。
過去記事【2012年7月22日 合掌(トラス)その4】より
無垢の木の特性をも計算に入れた、最も理にかなった木組みの形状は、やはり後者でしょう。
”傾ぎ3枚輪薙込みほぞ入れ” 仕口は、全自動プレカットでは製作不可。伝統構法大工の製作になります。
また、重ほぞ(じゅうほぞ)、渡り蟻腮(わたりありあご)も、全自動プレカットでは製作出来ません。
伝統構法大工や木造に造詣の深い方以外、”傾ぎ3枚輪薙込みほぞ入れ” は完全にブラックボックスでしょ?
インターネットで画像検索しても出て来ないでしょうから、ご自分で勉強して、学習してください。
さて、施工図作成は、Jw_cad(全て寸法を入力しての手描き、つまり原寸での仕事)で行ないます。
よって、私はベニヤ板に原寸大の施工図を一切描きません。つまりコストをかけない。
私、B型で面倒臭がり屋なんですよね(^_^;) (笑・冗談)
ちなみに私は伝統構法大工です。原寸で基本・実施設計図、施工図の全てが描けて、手墨・手加工が出来ます。
伝統構法大工が実際の部材に墨付けするのと同じ事を、私はパソコン上の原寸図で行なっているのです。
☆注:著作権や企業秘密等により、”図面” というよりは ”単なる絵” として、情報量を最小にして掲載。
材長、木組みは勿論、構造金物まで全てを含めた原寸の高精度で施工図を描き、詳細に詰めます。
そしてコストダウンの必要から、「無理無駄ムラ」を省く納め方を提案、承諾して貰っての実際の製作となりました。
私は、こうして丁寧に、ほぼ全てを計算・設計してから、墨付け・加工をしています。
極力断面欠損を回避する為、ほぞも回避して、計算ずくめで木組みを行います。
私の場合、伝統構法大工と一級建築士のスキル双方から検討して、最適と思われる解を導けるのが強み。
出たとこ勝負のぶっつけ大工やブラックボックス内のデータ作成と解析の出来ないプレカット技術者とは、技術の次元が違う事の証明です。原寸での施工図検討により、私は仮組みも行ないません。過去にもミスは、ほぼ皆無です。
という訳で、これらのトラス、建て方にも私の出動と相成りました。
建築士法第2条の2【職責】を果たすとは、こういう仕事なのだと思っています。
次回、建て方の画像【合掌(トラス)その7 構造設計事務所編①】へ続く。
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