たまに行く古本屋でよく流れている曲があった。
モダンな感じのする小気味のよいリズム。ボーカルに英語と日本語が交じり合う。多分日系二世かなにかが歌ってるんだろう。今はこんな曲が流行ってるんだろうか。全米何位かに入ってるのかな?それにしてもこの店に来るとよく耳にする。
今日なぜだかふと、その曲が聞きたくなった。こんな辺鄙な所で田舎暮らしをしていると普段聞こえてくる歌といえば民謡とかカラオケ、あるいは . . . 本文を読む
昨夜から猫家の裏庭で哀しげな犬の声がする。
とり憑かれたようにいつまでも。ふと途絶えたかと思うとやがてまた思い出したかのように。
たまりかねた私が裏口を開けると声はぴたりと止み
草を踏みしだく私を見ながら訴えるような視線。
首には紺色の首輪 そうか、お前も誰かに可愛がってもらったときがあったんだな。
鶏小屋の脇に仕掛けた箱罠に野良犬がかかった。そう、アポロが引っかかったその翌日の晩。
しばらく . . . 本文を読む
私は百姓だからいろいろなものを作る。
もちろんそれは食べものに限らない。いや、元々動植物を育てるだけの人を百姓などとは言わない。それは単に従事する生産対象が農作物なだけであって、基本的には工場従事者と同等であり、現代ではそれらの人は農業(生産)者とカテゴライズされている。
語源的に百姓と農民とはまったく異なるものだ。そして私はどちらかというと百姓に近い。お金は大して稼がないけれど、その分暮らしに . . . 本文を読む
あれ?・・・
「どうしたの?マルダヌキ。」
「タヌキ山の方で、なんか音がするわね・・・」
「タヌキ山?」
「そう。この向こうの、笠根山の麓にあるのヨ。アタシの本家があるの。
・・・アタシは昔、そこで生まれたのヨ。」
「へえ~~~!マルダヌキのふるさとかあ~!」
「まあね。・・・もっともアタシがいたのはもうずうっと昔で、今は本家の子どもたちが住んでるんだけどね・・・」
「ねえ、タヌキ山には . . . 本文を読む
先週からストーブを焚いている。
もう雪も降り庭を踏む足冷たく、今朝はスヌーピーの水皿に氷が張っていた。
つるべ落としの秋、落日の冬。もしかしたら人生老いるときもこんなに早いものなのだろうか。
この冬に備えて物置小屋に溜めていた薪を出し、
毎朝起き抜けにストーブの火をおこす暮らしがまた始まった。
よほど暖かい日でなければストーブは一日中燃やす。寝るときは太い薪を入れておくと、朝方灰の中に少しだけお . . . 本文を読む
今朝はうっすらと雪が降り積もっていた。
まだ気温はそんなに下がってない。この自分の雪は地面の温度とのせめぎ合い。
明るくなるにつれ初雪は霙となって降り続く。
朝ごはんを食べ終わった頃に近所のお爺さんが勢いよく軽トラで乗り付けてきた。
開口一番、「アンダ、タヌキいらねが?」
荷台を見るとタヌキが横たわっていた。大きい。
「こんな大きいのは珍しいよ。」
冬になると時々タヌキが道端で死んでいる。夜行 . . . 本文を読む
先日行われました「コンポラ・グランプリ」も、お陰さまで11月13日をもって終了いたしました。
創作集団「Contemporary Unit」が創立一周年を記念して初めて企画したイベントです。それも「外部参加型」で、これから更にユニークなBLOGの発掘や幅広い読者層への配慮を心がけていこうというメンバーたちの意欲の表れとも言えるものでした。
今回一般読者35名の方に投票をいただきました。これは創設 . . . 本文を読む
風が乾いて冷たくなりました。
「寒い風吹くときにゃあ、稲穂も乾くもんだ。」・・・
昔と違って今はこの時期とうに脱穀まで終わってるので風に吹かれる稲架の稲穂を見ることはありません。でも一昔前はちらつく雪を見ながら稲こきをしたそうですね。遅れて12月ともなれば稲架の上に雪が降り積む。そんな時代もあったようです。
さて、このところマルダヌキがさっぱり登場しないじゃないか!またサボってるのか!と思ってら . . . 本文を読む
ホースラディッシュ、と言ったっけか・・・
冷奴を食べてて思い出した。つんと来るわさびの香りビニールハウス
幾らでも採ってっていいよ、いや取ってくれると助かるんだよ
働き先の農家の親父さん、その草は春先の温室に雑草のように生えていた。
陸(おか)わさびとも言っていた。もうあれから7年にもなるな懐かしい北海道の味。
ホースラディッシュ。見かけはワサビじゃないんだけど、体全体でわさびしている自足生活を . . . 本文を読む
創作サイト「Contemporary Unit」が開設されてもうすぐ一周年を迎えるのですが、
その記念に、この度「コンポラ・グランプリ」なるものを開催することになりました。
なんと、今までの投稿作品で一番何が素晴らしかったかを読者の皆さんから選んでもらうという、執筆者にとってたいへん酷な試みです。
既に100を越える作品群をすべて読むことはできないとは思いますが、
この機会にひとつ、ふたつでも . . . 本文を読む
この一週間で随分寒くなった。昨日は朝の気温が1度。もう霜を見て当たり前の季節。セーターは既に標準装備になってるし、毎朝のスヌーピーの散歩にはカッパを着て歩く。手が冷たい。天気予報によると明後日の最低気温は0度なそうだ。もしかしたら雪が降るかもしれない。
一昨日豆こきも終わってとりあえず今年の主要な農作業は片付いた。後はせいぜいたくあんや白菜を漬け込むくらい。大根は天気を見なが . . . 本文を読む
今年は天気に恵まれお陰さまで災害にも会わずに、恙なく米の刈り取り・調整を終えることができました。病気も出ず稲丈も高く、今まで作ったうちでは最高の出来だったと思います。
そして先日我が家も待望の「新米」を食べようととりあえず一袋(籾30kg程度)籾摺りに出し、精米所から帰って来た玄米を内心踊るような思いで炊飯器に仕込もうとしたのです。が・・・
心外なことに中に相当数の籾が混入しているのでした。
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さて、この回ですべてが決まるっ!
犬家チーム側サービス、
出た!力にモノを言わせた、必殺、
とんこつサーブっっ!
バウウァウッ!
ボールは唸りを立てて飛ぶっ!
しかし後衛のクレオ
辛くもとったっっ!
決まった!ゴロダラリーーーン(回転伸び伸び)・レシーブ!
しかしっ!
ボールは大きく撥ね飛んだ . . . 本文を読む