昨日の陽気とは打って変わって外は吹雪。
広い田舎道を車で走っていると、風に煽られて昨夜積もったばかりの雪が田という田から砂塵のように舞い上がるのが見える。そしてそれはウンカの大群のように行く道を覆い隠してしまう。
地吹雪だ。
こんな風の日は寒さが厳しい。
こういう日にはちょっと強めのカクテルでも飲みながら、炬燵に当たって本を読むのもいいだろう。
今日は猫たちのために街のスーパーまで魚のあらをいただ . . . 本文を読む
昨日古本屋に行って、「鉄腕アトム」を一冊買った。
棚を眺めていて何の気なしに目に付いた。パラパラとめくってみたらとても懐かしかった。
しかもそれが100円だったので、嬉しくなって買ってしまった。
こんな歳になった今でも、昔読んだマンガの場面が無意識に頭に浮かんでいる時がある。
そんなシーンをちょうどその時もページに見つけたのだった。
うちに帰って読み終わった時、最期のページに雑誌掲載年が記され . . . 本文を読む
時々思うんだけど、
歩くことってとても大切だ。
自分の足で地面を踏み、自分の力で前に進む。
周りの景色も自分のペースに合わせて少しずつ動いていく。
急ごうとしても
早足をすればどれだけ疲れるかがわかる。
その時その時の体調が、歩く速さや心の余裕にも響いて来るので、
歩いてると、自分の体がわかる。
でも車に乗るとそうではない。
急ごうと思えばちょっと爪先でアクセルをふかすだけで
二倍の速度にもなる . . . 本文を読む
私が「オーブ」関連の記事を書き始めてから4ヶ月近くなる。
サイドバーの「マルちゃん・ストーリー」に収められている作品を数えてみると16にもなっている。我ながら不得手なテーマながらよくやったものだ。
しかし自己評価とは裏腹に、昨日で校了した「風雲!山ノ神」などは記事4日分で反響が無きに等しい。これも我ながら驚いたことだったが、結果的に私がBLOGを始めて以来の一番「詰まらない」記事になってしまった . . . 本文を読む
薙刀の切っ先が大きく弧を描いて一閃、二閃。
ジッちゃん!バッちゃん!・・・
マルは目を見開いて一瞬固くなった。
トラクターの座席はたちまちに覆い被さるネズロン兵によって黒山のごとく。
急ハンドル。横転するトラクター。激しく上がる雪煙。ネズロン兵たちが雪の上に投げ出される。フォークや鎌がマルの足元にまで散らばる。
と、トラクター後部に連結した作業機が動き出した。転倒した弾みでPTOの . . . 本文を読む
4. 暗殺剣
一方林の中では、マルがひとり雪の上に立ち竦んでいた。
目の前には緑色のカメレオンジャー。
ところどころにネズロン兵の黒装束と槍が散らばっているところを見ると、どうやら兵たちは全滅したようだ。その代わりマルも無傷では済まない。綿入れといいズボンといい、あちこち切り裂かれてぼろぼろになっている。ところどころ赤く滲んでもいる。
「ほう、さすがはオーブ戦士よ。我が手塩にかけた兵では . . . 本文を読む
「やっ! オメえは、ネズロンだな!」
「その通り、俺の名はカメレオンジャー。先のキヌサヤビルでは兄者のカメレオンサーが世話になったようだな。
お前らオーブには再三我らが帝国建設の邪魔をされて、邪魔皇帝陛下はお怒りであるぞ。」
言いながらも徐々に狛犬の顔が変貌して来る。体も盛り上がり、色も石のそれから毒々しい緑色に変わって行った。
マルはさり気なく綿入れの袂に手を入れて、左手に装着したオーブシーバー . . . 本文を読む
1. 平蔵とお多絵
平蔵爺さんはマルの母方の祖父に当たる。
齢82。若い時分は和牛30頭を越える近在では大規模な牧場主だった。寄る年波で今ではたった3頭に減ってしまってはいたが、それでも未だに現役の牛飼い。マルの実家から車で30分ほど離れた山奥に開拓で入ったのが戦後間もなくのこと。
当時は炭焼き小屋が幾つかあるだけの山以外何も無い所だったから、牧場といっても急斜面に草原が点在しているに過ぎない . . . 本文を読む
ラムが死んで1年と1ヶ月が経った。
我が家で生まれ育った猫たちの中で一番短命だったラム。
その思い出の一端を、ここに書いてみようと思う。
コマリンは2年前に4匹の子供を産んだ。
ロッキー、レオ、マスキー、そしてラム。
男2匹、女2匹の構成。鶏でも猫でも普通はメスに比べてオスの割合が大きい。しかし動物界では食環境がよくなるにつれてメスの生まれる割合が大きくなるようだから、移住2年目にして猫家の「猫 . . . 本文を読む
コマリンという猫がいる。
猫家の猫の初代であるミーコの娘。2年前に4匹の子供を産んで今では皆から「コマリン母ちゃん」と呼ばれている。
生まれた時は兄弟の中で一番小さくて弱そうだった。無事成長できるだろうか本気で心配したものである。それが今は母ちゃんの威厳も強くすっかりふてぶてしくなっている。
あの時の兄弟たちはみな事故で死んだり家を出たりしていて、今では唯一彼女だけが猫家に残ってくれている。本当に . . . 本文を読む
昨日買い物に行ったスーパーで、ふと立ち止まった。
食パンの棚の前。
いつもなら素通りするところだ。パンは時々自分で焼いているからあまり買わない。
けれどその時、前の晩に見た夢を突然思い出したのだった。
なぜか我が家に食パンがある夢だった。
それと同じ食パンが今目の前で安売りされている。
これは何かあるのかもしれない。
私は買い物籠に食パンを入れ、それからさて、これをどうして食べようかと考えた。
そ . . . 本文を読む
このところ毎日雪が降り続く。
まるで遅れてやって来た冬を取り戻そうとするかのようだ。
はらはらと舞う粉雪でも、昼夜降り続けばすぐに30cmくらいにはなる。そうなると私は重い腰を上げて外に雪掻きに出ることになる。
また小頭数とはいえ鶏を飼っているものだから、朝の餌やりと飲み水の氷溶かしは欠かせない。
既に裏庭は長靴がすっぽりと埋まるほどに積もっている。餌箱に溜まった雪を払ったり氷を溶かしたりしている . . . 本文を読む
河原の土手に座って、あの娘は風に吹かれていたのです。
当時高校3年だった私はいつか東京の美大に通うことを夢見て、時折足の向くままに河原にスケッチに行ったりしていました。春も夏も、河原の風は土手の草を靡かせて私の胸に青い希望を運んで来てくれます。あの娘は高校の隣りのクラス、可笑しいことにお互いに遅刻の常習犯でした。私の家はともかく、彼女の家はずいぶん遠くにあったものだから自転車通学を許されていた。冬 . . . 本文を読む
雑煮のつもりだった野菜の鍋に
ラーメンを入れてみる
薪ストーブの上はそろそろ炎熱盛り
麺がふつふつと踊り出す
待ち切れないぼくは
どんぶりに味噌 とうがらし
鍋を見下ろしながらストーブ抱え
つけ麺を熱くすする
北の窓には山が
白い巨人のように
小さな鶏小屋が今にも
潰れてしまいそうだ
空のどんぶりを手のひらで
いつまでも抱きながら
やっとこさ人心地のついた
穏やかな朝
空いた鍋はフ . . . 本文を読む
-んだらば、元日は8時ね。
年末に班長のお婆さんが来て言った。
遅い冬の訪れだったが、年末ともなると一気に雪と寒波がやって来た。
これでようやくに新年を迎える雰囲気も整ったというところか。
我が集落では、元日の習慣として各戸総出で新年を祝う。
私もここに移り住んで以来もちろん欠かさずにそれに出席している。
8時というのは、男たちは例年通り朝8時に集会所に集合せよ、とのことである。
さて、年が明 . . . 本文を読む