abyman の折り紙と日記

折り紙、本、旅の日記

折り紙と不思議な話の日記3

2017-08-03 19:31:39 | 日記
9年前の十月三日ことだ。

ぼくは三軒茶屋から綱島に逃げてきた。

その日から、ぼくは部屋の中で、毎日一時間ごとにうなされるようになった。
脂汗で全身がベトベトになる。
負の妄想に苛まれて、アルコールを飲まないと眠れなかった。

実はぼくの会社が倒産し、ぼくは十月十日に破産宣告をすることになっていた。
ぼくは負債者や社員がぼくを責めてくる妄想ばかり想像して眠れなかった。
ぼくの負債総額は11億だった。

そして、テレビや冷蔵庫、部屋の中のあらゆる電気器具が突然音を立てて壊れ出した。
ぼくは怯えて震えてしまう。
もっと何か悪いことが連続して起きるような恐怖感に四六時中襲われた。

ふと見ると腕時計の裏側が青カビだらけになっていた。

ぼくは恐怖で窓から腕時計を投げ捨てた。

そしてぼくが一番大事にしていたサボテンが枯れてきた。
それに呼応するように部屋の観葉植物がいっせいに枯れ始めた。
ぼくは恐怖とパニックで気が変になりそうになった。

そんな時、友人で電気屋のA氏に引っ越しのエアコンの取り付けに来てもらった。
A氏に、
「部屋の電気器具がドンドン壊れていくんだよ。そして観葉植物も枯れてしまんだ」
と言った。
「あ〜、そうなんだ。良かったじゃない!」
A氏はニコニコ笑顔で答えた。
「なんで良かったの?」
ぼくは不思議な顔をしてたと思う。
A氏は、
「人の身代わりに電気器具や植物は壊れたり枯れたりしてくれるんですよ。
そういうことってよくあるんです。逆に感謝した方が良いですよ」
「へ〜そうなんだ?」
ぼくは 目が点になってしまう。
「あ〜、彼らはぼくの身代わりになってくれてるんだ」
ありがたいと思った。

ぼくがどれだけ負のオーラを出していたのかと思うと彼らに申し訳ないと思う。
電気器具や観葉植物の犠牲のもとでぼくは生き返ったような気がした。

人の負の波動の影響力は凄いんだと思う。
そして人だけでなく、あらゆるものが人を守ってくれている。

ぼくは十月十日に破産宣告をした。
「彼らが守ってくれたから、十月十日は破産記念日」
という短歌を作った。

次の日から会社整理のために動いた。
なんとなく気持ちがサバサバしていた。
社員の給料、少ないけれど退職金も全て払った。
全員ではないが半数の社員の受け入れ先も決めた。
下請けの支払いを全てすました。

そして不思議なことに、十月十日はぼくが鹿児島から家出した記念日だった。
壊れてくれた電気器具や観葉植物に感謝した。