20歳のころ、怒って威張ってばかりいる人がいた。
ぼくは9歳上の先輩に、
「あの人は何でしょっ中怒ってんですかね?」
と訊いた。
先輩は、
「さあ、奴は怒りたいんだと思うよ。きっと心の中に痼りみたいなもんが
あるんじゃないか?」
先輩は興味ないように呟いた。
ぼくは納得いかないように先輩を見つめた。
先輩は、
「人って怒らない自由もあるんじゃないかな?そういう選択する瞬間って
多いじゃないか?」
ぼくは目を開いて先輩を見た。
「例えば電車に乗って年寄りに席を譲る自由も席を譲らない自由もある。
だから何かに怒る自由も怒らない自由もあるんだと思う」
ぼくは俯いてしまう。
「先輩、先輩はどんな自由が最高だと思いますか?」
先輩はぼくに笑顔を向け、
「人って神社仏閣に行って、神様仏様に何かが欲しいってお願いする自由があるじゃ
ない。でも俺は、神様仏様よ、あんたは何が欲しいんだいって言う。
そういう自由でありたいと思うよ」
ぼくはまた俯いてしまう。
「しょっ中怒っている奴は肝心な時に怒れなくなる。
怒らない自由を選択した奴は肝心な時に怒れる奴さ。自由って不自由と裏表の
関係としてあるんじゃないかな?」
先輩は遠くを見つめていた。
ぼくは9歳上の先輩に、
「あの人は何でしょっ中怒ってんですかね?」
と訊いた。
先輩は、
「さあ、奴は怒りたいんだと思うよ。きっと心の中に痼りみたいなもんが
あるんじゃないか?」
先輩は興味ないように呟いた。
ぼくは納得いかないように先輩を見つめた。
先輩は、
「人って怒らない自由もあるんじゃないかな?そういう選択する瞬間って
多いじゃないか?」
ぼくは目を開いて先輩を見た。
「例えば電車に乗って年寄りに席を譲る自由も席を譲らない自由もある。
だから何かに怒る自由も怒らない自由もあるんだと思う」
ぼくは俯いてしまう。
「先輩、先輩はどんな自由が最高だと思いますか?」
先輩はぼくに笑顔を向け、
「人って神社仏閣に行って、神様仏様に何かが欲しいってお願いする自由があるじゃ
ない。でも俺は、神様仏様よ、あんたは何が欲しいんだいって言う。
そういう自由でありたいと思うよ」
ぼくはまた俯いてしまう。
「しょっ中怒っている奴は肝心な時に怒れなくなる。
怒らない自由を選択した奴は肝心な時に怒れる奴さ。自由って不自由と裏表の
関係としてあるんじゃないかな?」
先輩は遠くを見つめていた。