阿部ブログ

日々思うこと

トルコが中国の防空システム “HQ-9”(紅旗9) を採用?

2013年06月26日 | 雑感
昨日25日、久し振りにガザ地区からイスラエルに向けて6発のロケット弾が撃ち込まれた。
直ちにイスラエルが誇る近接防空システムのアイアンドームが2発のミサイルを発射し、迎撃破壊した。中東地域では防空システムの整備・充実は、欠かすことが出来ない安全装置だ。

こんな中、トルコが地対空ミサイル・システムの導入プロジェクト「T-Loramids」の最終選定が間近だ。選定に残っているのは、米国のPAC-3 MEADS、ロシアのS-400、仏伊のユーロサムSAMP/T Aster-30、それとダークホースの中国HQ-9(紅旗9)。イスラエルのArrow2は、ガザでのトルコ人殺害など両国の関係悪化で候補から脱落。トルコ、当初、4個防空中隊分のシステムを導入し、次いで4個防空中隊分を追加導入する計画で、最初の4個防空中隊は、首都アンカラと、トルコ最大都市であるイスタンブールに各1個防空中隊を配置する。残りの2個防空中隊は、イラン・シリアの脅威分析して決定する。「T-Loramids」は約4000億円規模の投資となる為、注目されている。

中でも有力視されているのが、中国の“HQ-9”(紅旗9)。HQ-9は、“FD-2000”として武器展などでも展示されている。射程距離は350kmで、長距離と近距離に対処できる防空システム。HQ-9は中国精密机械進出口公司が取り扱う。中国は、低価格での提供を提案しており、更に技術供与を含む、共同生産可能まで踏み込んでの営業攻勢を掛けている。選定は、エルドアン首相が議長を務める国防産業首脳委員会で最終決定される段階で、中国のHQ-9が選定される可能性がある。

実は、トルコと中国の軍事的関係は緊密である事は、案外と知られていない。2009年に中国のMig-29、Su-27が、パキスタン、イランを経由しトルコ領空での演習に参加している。空軍だけでなく、人民解放軍海軍も地中海での活動を展開するなど、NATOとしも安閑としてはいられない状況。しかしトルコの中国寄りは、米国の対応に不満を感じている事とあるようだ。その隙を突いているのが中国。温家宝前首相とエルドアン首相は、両国の貿易額を500億ドルにする覚書を締結し、決済は、米ドルではなく、トルコ・リラと元を使うことにしている。トルコのアンチ米国の姿勢は明らかだ。例のアンカラ=イスタンブール高速鉄道の建設プロジェクトにも中国の資金が投入されている。

トルコのレーダーなど現在の防空システムはNATOが整備したもので、ここにHQ-9が加わることには防衛システム全体に齟齬を来す事になるが、トルコはスタンドアローンで使うのではないか? しかし、HQ-9導入に軍事合理性はない。再考するべき。
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