阿部ブログ

日々思うこと

米国の小型衛星革命イニシアチブ

2017年01月17日 | 雑感
ホワイトハウスのホームページを観ていたら、何でも「小型衛星革命イニシアチブ(Harnessing the Small Satellite Revolution initiative)」なる取組が発表されている。


米航空宇宙局NASAを筆頭に、国防総省、商務省などと連携し、民間も含めた小型衛星を活用した宇宙利用の推進・支援を行うとし、スモールサット技術の開発やイノベーション創出に向けた取り組みが説明されている。
小型衛星(スモールサット:Smallsats)は単体、若しくはスモールサット衛星コンステレーションは、民間の衛星ビジネス、国家&国土安全保障にとっての有用が強調されている。
これまでの人工衛星は大型で、高価格(数百億円)とで、衛星打ち上げも数億ドルもの資金が必要で、人工衛星を運用できる組織は政府と大企業に限られていたが、今後は小型衛星の本格的利用が行われるとその裾野は劇的に広がり、雇用や新規ビジネスなど様々な効用が想定される。小型衛星の場合、3Dプリンターなど先進的な技術を駆使して衛星本体を作製するなど低コストで人工衛星を所有し、利用することが可能となる。日本でもアクセルスペース社などベンチャー企業も登場しており、今後の展開が期待される。

■NASAは、スモールサットによって得られたデータの購入を支援するために最大3,000万ドルの予算を計上する予定。またNASAは、近い将来、空中分解能地上画像(moderate resolution land imaging)データ、電波掩蔽観測(radio occultation)データといった地球科学観測データは外部から購入する方針。更に小型衛星の積極利用を前提とし宇宙ミッションの見直しを行い、コストと目的効果をより明確にした科学研究と惑星探査などを検討する。

■NASAのエイムズ研究センターは小型衛星仮想研究所(Small Spacecraft Virtual Institute)を新設し、成長著しい小型衛星技術の確立に必要となるワンストップサービスを提供する。小型衛星仮想研究所は、2017年中にシリコンバレーに設置される。確立します。同研究所は、関連する様々なプログラムとの連携、およびベストプラクティスの蓄積と提供。
寿命の短い小型衛星システムの運用サイクルを最大限にする取組を進め、大型衛星と小型衛星の混合運用により管理負担軽減などNASAの宇宙ミッションの最適化とコスト削減、経営効率化に取り組む。

■米国家地球空間情報局(National Geospatial-Intelligence Agency:NGA)は、低軌道上に画像撮影用スモールサット衛星配置を展開するプラネット社と2,000万ドルの契約を締結した。これによりNGAは、15日毎に全陸地の85%以上の画像を入手可能となる。これら画像データは、環境モニタリング、地形地物や人工物の変化検出、情報収集活動に利用する。

■NGAは、空間情報データへの効率的なアクセスポイントを開発し、ビジネスとして提供する画像データ、分析評価機能と一般的なサービスの管理を分けて提供する仕組みを官民連携で考える。この取り組みは、「運用即応型地理空間情報購入イニシアチブ」(Commercial Initiative to Buy Operationally Responsive GEOINT:CIBORG)と名付けられ、ユーザーニーズとデータ提供側をシームレスに接続させ、諜報分野での利用を促進する。また、民間など一般が、CIBORGを通じて衛星画像データなどセンシング情報を注文するなど、オープンデータ政策の一助とする。これは米政府所有データの一般共有化を可能とするものである。

■商務省は、経済成長、生産性、雇用創出に資するとして、宇宙空間の民営利用の重要性の高まりを反映するさせるため、宇宙商務庁を設立する。小型衛星に関する輸出規制と反対の輸出促進、およびオープン・データなどの多角的な問題に対処する包括的な政策調整機能が期待されている。宇宙商務庁は、宇宙産業の育成と保護が主任務となる。NASAなど連邦政府機関との連係は当然で、民間部門との協力と支援により小型衛星関連ビジネスの成長と競争力強化を目指す。

■米国海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration:NOAA)は、気象データ収集のパイロットプログラムの一環で、GeoOptics社とSpire Global社と契約を締結。NOAAの天気予報や気象警告などのデータ利用と潜在的価値を見出す実証実験を行う。

■諜報高等研究計画局(Intelligence Advanced Research Projects Activity:IARPA)は、小型衛星等で上空撮影された画像解析にブレイクスルーを起こすために研究提案型の募集を行う。募集の研究結果は、衛星データセットとして公開される予定。IARPAの諜報地図は、社会インフラや建物の内部構造、土地利用の状況などを含む多階層型マルチビューシステムで、しかも3Dマッピングされ、3D点群データなどは研究者や企業に提供される。

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