阿部ブログ

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米国の2014年予算教書

2013年04月12日 | アメリカ
米国大統領府が4月10日に2014年度(2013年10月-2014年9月)の予算教書を連邦議会に提出した。オバマ大統領の声明は、下記URLをご参照。

Remarks by the President Announcing the Fiscal Year 2014 Budget ; The White House, April 10, 2013

2014年度予算に関しては、行政管理予算局(OMB)のサイトに付属資料やファクトシートが掲載されている。
行政管理予算局(Office of Management and Budget, The White House;OMB)
Budget of the United States Government, Fiscal Year 2014

また2014年予算教書は、総244ページでファイル容量2.09MB。

注目の財政赤字見通しは、2018年まで4750億ドル以上で推移するとしており、10年間の財政赤字の総額は5兆2700億ドルと見積もっている。また2023年までの純債務は、19兆0300億ドルに達する。財政赤字削減目標は、10年間で1兆8000億ドルの削減を目指すとしている。またインフレ指標を導入して10年間で2300億ドルの歳出削減を実現したいとの意向が示されている。

米国においては、今年3月から政府歳出の強制削減が実行されていいて、2013年度は、850億ドルの削減であるが、当然ながら国防総省予算も削減されている。この予算削減の影響から国防総省民間職員の一時帰休が実施されており、陸軍長官、海軍長官、空軍長官が、自らの給与の一部を政府に返上しFederal Employee Education and Assistance Fundに寄付する事態に陥っている。また国防長官も国家国防大学 (National Defense University;NDU) で、米軍の組織全体を抜本的に再編成する必要があると発言している。組織をシンプルにして調達方式も見直し民間企業に学ぶべきとしている。

国防予算の強制削減は、海外企業にも影響を与えている。特に近年、対米国防関連輸出で成長著しいノルウェーの国防産業でレイオフが計画されている。Nammo A/S社では30名のレイオフを予定しており、2013年に対米輸出20%ダウンするとしている。同社の昨年度の対米国防関連輸出は5億 4000万ドルだった。

国防総省と同じくインテリジェンス・コミュニティにも影響が出ている。ジェームズ・クラッパー国家情報長官は、強制削減によって情報活動全般を縮小せざるを得ない状況に追い込まれると深刻な警告を発している。長官によれば、情報活動にとって最も重要なリソースは人間であり、予算カットによって、優秀な情報スタッフが現場からいなくなり、インテリジェンス・コミュニティ活動全体のパフォーマンスが低下すること発言している。

クラッパー長官は、過去国防情報局(DIA)長官在職中にも、情報予算が大幅にカットされた経験があり、この時も情報収集活動全般を縮小しつつ、人員削減にも取り組だ経験から、今回の予算削減による影響の深刻さが身に沁みているのだ。

強制的な予算削減の影響については、今後も注視していく。

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