医療マーケティングの片隅から

医療ライター・医療系定性調査インタビューアーとして活動しています。独立30年を機に改題しました。

医療ビッグデータの活用に期待

2013年10月04日 | 医療・健康

2013年10月2日放映のNHK「クローズアップ現代」、「ムダの“見える化”で医療の質を上げろ」、ご覧になりましたか。



番組によれば、岐阜大学病院では電子カルテ、レセプトのデータを突き合わせて再手術となったケースを拾い上げ検証しています。委細は省略しますが、「主治医の手術に要する時間の見込みが甘く、準備が不十分だったため再手術を要する結果になった」と分析。再手術の件数を大幅に減らすなどのカイゼンにつながっています。

合理化のために進められた電子化が、ちゃんと患者に還元されているのです。

 

 
(NHKクロ-ズアップ現代 ホームページより)



番組ではさらに介護の情報も統合しているスウェーデンの事例も紹介していました。おそらく、日本に比べて社会保障費が大幅に高い(以前、給与所得の8割と聞いたことがありますが現在はどうなのでしょうか)ので、日本にそのままあてはめることはできないだろうとは思いますが、こんな医療ができるなら、国民背番号制も悪くないなあ。

ゲストの東京医科歯科大学教授の川渕孝一先生(お久しぶりです♪)によれば、日本では、このようなデータ解析ができる病院は、全国8000以上ある病院のうち、500施設程度であろう、とのこと。その理由として「医学がわかる情報処理技術者の人材が不足しているから」だそうです。

私の個人的意見ですが、医学部出身者や医療有資格者に限らなければ、人材は豊富にいるのではないかと。もちろん、医療がわからないまま医師に問題点を指摘することはできないでしょうが、素材を提供して、現場の医師に問題点を考えてもらうことはできると思うのです。そこは、医療クラークと同様、門戸を広げるべきではないかと思います。

川渕先生は「あまりよい方法ではないと思うが、データのレポーティングに対して診療報酬を付けるのが早い」ともおっしゃいました。たしかに、せめて人件費を賄うだけの費用を出すことは必須です。消費税率アップで一層経営がひっ迫する現在の病院に、自腹で努力を強いるのは、無理というものです。

それと、やはり法整備、でしょうか。
日本のがん医療がここ数年で整備されたのは、2007年の「がん対策基本法」が大きかったと思います。

国民背番号制はもちろん、電子レセプトデータなど、われわれは多くのデータを国に提供しているのですからね。少しでも国民、患者に還元してほしいと切に思います。1万円バラまくより、未来につながる有効な使い方ができないものでしょうかね、ホントにもう。


📷酩酊カメラマンRacoon関根さん



 

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