医療マーケティングの片隅から

医療ライター・医療系定性調査インタビューアーとして活動しています。独立30年を機に改題しました。

がんの治療支援制度についてもっとアピールを!

2012年10月21日 | 「がん」について

ファイザー株式会社のがん患者・家族の意識調査によると、セカンドオピニオンを「受けなかった」患者は7割で、「知らなかった」人も1割とのこと。
セカンドオピニオンは、2~4万円の自費でもあり、選択はさまざまでしょう。
(その後の治療費全体を考えれば、2~4万円が高額かどうかは考えどころです。少なくとも、私なら基本的に受けますが。)

 

一方、がんの治療をサポートする制度(高額医療費制度などでしょうか)について、患者・家族とも

約7割の人が「知らない」

と回答しているのには驚きました。

なにしろ、がんの治療は高額です。

公的援助の制度を知らないということは、それが原因で治療をあきらめる・・・ということにもつながりかねない大問題です。

 

病院でこういう制度を説明するのは、本来だれの役割でしょう。
医師でも、看護師さんでもありません。
医事課、医療ソーシャルワーカー、あるいは地域のがん相談支援センター(たいていは大病院内にある)などになります。

キビシイ見方をすれば、「7割が知らない」というこの結果は、「怠慢」あるいは、機能を果たしていないといわれてもしかたがありません。
これからの「相談窓口」には、患者さんや家族が相談にくるのを「待つ」のではなく、患者・家族向けに積極的に伝えていく、「発信窓口」「広報窓口」の役割を任じていただきたいなあ、と切に願います。。

また、「発信」の手段としては、診察室で、「○○に行って訊いてみてください」と、患者にひとこと伝えたり、パンフレットを渡すのも有効だと思うのですが、多忙な看護師さんにそのあたりのフォローをお願いするのは酷。
医療クラーク(医療秘書)の育成が必要ですし、育成しても、医療機関が採用できる経済状況でなければどうしようもありません。その意味でも、医療制度が根本的に改善されて、医療クラークの採用が増えるとよいのですが。

 

意識調査の結果はこちらに出ています。→ファイザー株式会社のホームページ

 

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ヒロシマと原爆医学

2012年10月17日 | 旅★日記


今日の取材先は広島でした。

広島には何度も来ているのに、行く先は病院ばかりで、というより、病院しか行ったことがないに近いので(職業柄仕方ないのですが)、今回こそ出張の機会に平和記念公園に、と思い、雨が小ぶりになったのをこれ幸いと、30分ほど歩きました。

雨にもかかわらず、旅行者や外国人を案内するガイドさんの姿がありました。

この地に原爆が落とされた1945年。その直後から、日本の放射線、原爆症の研究が始まっています。
被爆者がその後どういう経緯をたどったか、長期にわたってフォローし続け、チェルノブイリの時は現地に赴いて研究や治療が続けられた。半世紀以上にわたって連綿と続けられた研究によって、今日の放射線医学があるわけです。

その努力には敬意を払われるべきなのに、どうもネット上ではその逆になっているのがなんとも残念。

自分たちの主張にそぐわないからと言って、すぐ「御用学者」などとレッテルを貼りたがる風潮は、地道な仕事を長年続けてきた研究者、医療関係者すべてと、学問への冒とくのように思えてなりません。


…と言っても、今回の取材は、原爆とも放射線ともまったく関係のないテーマだったんですけどね。

芸術劇場リニューアルとロジェストヴェンスキー

2012年10月07日 | 音楽


今年の年頭に“クラシックを生でできるだけ聴く”という目標をひそかに立てていたのですが、これだけは着々と実行しています。

今日は実家の母を連れ出して、読響の演奏会へ。ロジェストヴェンスキーのオールチャイコフスキー・チクルスという、母にとっても私にとっても垂涎もののプログラムです。81歳のマエストロのタクトを見られるのは、これが最後のチャンスかも!という思いもあって(汗)


リニューアルされてまもない東京芸術劇場。外観はともかく、大ホールエントランスや、ホールの座席、内装が変わりました。



残響音も長くなり、私の好きなサントリーホールに近くなった感があります。管は特によく響き、どんなppでも遠くに飛ばします。逆に言えば、奏者にとっては手強いホールですね。ミュートの金管などでも、ちょっと雑に吹けばかなり目立ってしまう。



曲目は「幻想序曲ロメオとジュリエット」「イタリア奇想曲」「交響曲第五番」。ロシアの音楽家らしく、重く抑えたテンポ感。それだけに、響きや音色の美しさが際立ちます。

正直に申しますと、わたくし国内のオケをなめてました。国内のオケを3回聴くなら、海外オケの来日公演1回のほうがよっぽどいい、とか思ってました。

ですが、この際、それを訂正します。

ここ数年でレベルが上がったのか、ロジェストヴェンスキーだからなのかわかりませんが、「読響ってこんなにうまかったっけ?」と思いました。特に、管は素晴らしい。チャイコフスキーは管のアンサンブルが命ですからね。ホールの響きのよさも管の響きをよくふくらましていました。

お茶の水博士のようなロジェストヴェンスキーさんは、指揮棒をひらひらさせながらステージに登場。その姿は、まるで魔法使いのようでした。あるいは、クラシック界の誠小というか…って、この喩えはわかる人にしかわからないか…(^^;;








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