今日も退屈なのでDVDで映画を観る。「西部開拓史」当時はシネラマで封切られました。
シネラマとは、1952年にアメリカで開発された新方式の映画上映システムで、人間の視野にほぼ近い146度の広角度パノラマスクリーンのこと。
3台のカメラを使って撮影された映像を3台の映写機をシンクロさせて上映する。
これらの技術によって視野の中心部だけを写す従来の物と違って、人間の視野とほぼ同じ180度に近い視界を得ることができた。
つまり観客が映画の世界の中で映画を見ている気分が味わえる、いわゆる映像のサラウンド効果ともいえるもの。やたら横幅広く湾曲した大画面なんです。
私がまだ中学生だったかな、大阪梅田のOS劇場(今はない)で観ました。大きくて綺麗な劇場で絨毯から客席や幕まで赤で統一され豪華でしたね。
消灯されて映画は序曲から始まり雰囲気を盛り上げます。
米国の1830~1880年代までの4世代に渡る一家の開拓の歴史を五つのエピソードで綴った西部劇大作です。
川下りの筏が激流に巻き込まれる、幌馬車隊がインディアンの大群に襲われる、南北戦争、大陸横断鉄道の敷設を妨害するインディアンと
バッファローの大群、列車強盗との銃撃戦など盛り沢山。
監督はジョン・フォード、ヘンリー・ハサフェイ、ジョージ・マーシャル。ジェームズ・スチュワート、ヘンリー・フォンダ、キャロル・ベィカー、
デビー・レイノルズ、グレコリー・ペック、ジョージ・ペパード、リチャード・ウィンドマークそしてジョン・ウェインと
一級の役者揃いの1962年度作品。
隣の席の綺麗なお姉さんが、ほどいた寿司を差し出して「よかったら召し上がる?」「えっ、えっ、あっ・・・ありがとうごじゃいなす」
急だから舌が回らないほどうろたえました。優しそうに笑う横顔が綺麗だったなぁ。
「美味しかったぁ」このお姉さんの横っちょで映画を観ました。「あはは~」
ラスト、年老いたデビーレイノルズが甥のジョージ・ペパード一家と新しい家に向かう道中
星よ 星よ 美しく輝け
主の創りたもうた世の上に
星よ 星よ 美しく照らせ
草原に作る我が家を
行こう素晴らしい国へ
望みを胸に 思いを手に
行こう素晴らしい国へ
君のために家を建てよう」
大西部の赤茶けたメサをバックにデビーレイノルズが「牧場の我が家」を子供達と歌いだし、
やがて其れはコーラスに移行して画面は俯瞰に広がり航空撮影になって現代の西部を写して飛ぶ。超大画面の面目躍如たるところ。
渋い声のナレーターが移り変わる景色に合わせ『開拓者や冒険家が勝ち取った西部は、遥か彼方に去ったが彼らは永遠だ。
歴史に足跡を残したから風化はされない。トラクターにも様々な事件にも埋もれることがない。
彼らの厳しい生活や生命力、希望や悲しみから伝説が生まれ後世に勇気と誇りをあたえている。彼らの血で肥え、情熱に培われた大地。
燃える砂漠に湖が生まれ、地の宝が現れ、小麦畑や果樹園や森林ができアメリカの骨格となった。
彼らが開いた村や交易所が、世界の代表都市に発展した。そして自由に夢見る伝統から運命を切り開く気風が伝わったー』
バックグラウンドミュージックが「西部開拓史」の伴奏からコーラスに変わってカメラはハイウェイに沿って空を飛び続ける。
「豊かさ溢れる偉大な国土 築いたのは夢と鉄拳と拳銃 自由と勇気と幌馬車が行き ついに勝ち取った我等が大西部」
「勇士は大平原に散ったが 彼らを止められるものは何もない あらゆる地方から続々と現れ ついに勝ち取った我等が大西部」
「彼らが終生の夢にした土地 其処には今も清流が流れ 人々が生活の根をおろし夢と愛とを育てている」
「彼らの夢から実現した国 彼らの自由を受け継ぐ子孫 かくして生まれた麗しの国土 ついに勝ち取られた我等が大西部」
当時は「まぁ~なんて格好いいんでしょう~」って感動しましたね。