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~サッカーを中心に日々の雑感など~

『大統領の陰謀』

2007年03月16日 | 映画
1976年/アメリカ/132分。アラン・パクラ監督。何回かWOWOWで放送された。ウォーターゲート事件を追うワシントンポストの若き二人の記者、カール・バースタインとボブ・ウッドワードが事件の真相に迫る地道な活動をドキュメンタリータッチで描いている。見ていくうちに、映画という枠を超えた衝撃を受けた。

1972年6月の土曜日、午前2時ごろ。ワシントンにあるウォーターゲートビルの5階にある民主党中央本部に5人の男たちが侵入した。ビルの警備員が泥棒かと思い、不法侵入の現行犯で捕まる。

入社してからまだ9ヶ月のボブ・ウッドワード(ロバート・レッドフォード)と16歳からこの仕事をしているというカール・バーンスタイン(ダスティ・ホフマン)がこの事件の担当になる。

ボブが裁判所に行ってみると官選弁護人以外の弁護士が既に雇われていた。侵入者の一人が最近CIAを辞めたことを認めたとき、これは大変な事件だと気づき始める。誰がなぜ、民主党本部に盗聴装置をつけたのか。二人の必死の捜査が始まる。

最初は裏づけがないと記事も没にされるが、ボブには助け舟が現れた。ディープ・スロートという犯人側に近い極秘の情報を流す人物。次第に電話は危ないと深夜の地下駐車場の暗闇で会うことになった。この人物に金を追えといわれる。

やがてニクソン再選委員会への募金が侵入犯の元へ渡っていることを突き止める。「ウォーターゲートの侵入犯に選挙資金が」という記事を書く。こうしてカール・バースタインとボブ・ウッドワードの連名による記事が次々と新聞に掲載されることになる。

しかし、上司の主幹ブラッドリー(ジェイソン・ロバーズ)たちにはまだ不安があった。情報源が不正確、ホワイトハウスはすべて否認。他社はほとんど取材を中止。ウォーターゲート事件に熱を上げているのはうちだけだとー。

ジョンソンがFBI長官の後任を物色中という特ダネを記事にしたら、その日に大統領はフーバーを終身長官にした。そしてこういったとさ。”くたばれブラッドリー”

皆に言われた。私がフーバーを長官にしたと。だが誤報じゃなかったのだ。ディープ・スロートはなにものだ。信じられるか。自分の部下を信頼するしかないな。信頼が苦手だがー。朝刊に出せー。

”ミッチェル、共和党秘密資金を管理”ワシントンポストによれば、ミッチェルは司法長官のときも共和党の資金を管理。ミッチェルこれを全面的に否定。

ディープ・スロートの言葉。驚くほど多い関係者。米国の諜報社会の全部に及んでいる。FBI,CIA,司法省、想像以上だ。ウォーターゲートは二の次。もみ消しは全部のためだ。皆が一味。君らの生命も危険だ。

二人はこの言葉を受けて、深夜ブラッドリーの自宅へ行く。いぶかしむブラッドリーに監視があって生命も危険な状態を知らせる。二人に向ってブラッドリーが言う。「守るべきは憲法の修正第1条。報道の自由、この国の未来」・・・

映画を見ている側にも、ずしんと胸に響くブラッドリーの言葉。1974年にニクソンは再選を果たした後に辞任する。そして時間をおかずに作られたこの映画。アメリカの映画人の情熱と世に問うべきは今だという強い意志が感じられた。このことだけでも胸が打たれる。

この時期に比べると、イラク戦争から数年経ってもこういう種類の映画が作られていないという状況が、逆に「今」を語っているのかもしれない。ディープ・スロートの諜報社会の全部が関わっているという言葉はおそろしい。そういう人間しか周りには選んでいないということでもあるからだ。なるほど、それなら9・11についての噂もありうるだろうなとー。

ロバート・レッドフォードとダスティ・ホフマンの若々しい姿が輝いている。特にロバート・レッドフォードはこれが代表作ではないかというくらいにいい。しかしなんといっても主幹のブラッドリー役のジェイソン・ロバーズが素晴らしい。これでアカデミー助演男優賞を受賞したようだ。

昨夜、ボブ・ウッドワード記者へのインタビューを少し見ることが出来た。本を出しているようなので、そのうち読んでみたい。最近、暗闇でしか見ることがなかったディープ・スロートが、姿を表したそうだ。

FBIかCIAだったか、それの副長官だったようなー。そういう側にいる人間にも良心があった。それをなんとか新聞記者に伝えようとした。そういう行動に奮い立たせる人間の勇気というものはどこから生まれるものだろうか・・・。
















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