毎週放送されるわけではないが、試合結果をいつも気にかけているリーガ・エスパニューラのビジャレアル…今節の対戦相手はバルセロナ。バルセロナの監督だった時からがんと闘い続けたビラノバさんが45歳の若さで逝去され、試合前にはその壮絶な死を悼み、黙とうが捧げられた。
バルサの選手たちにはビラノバさんのために勝利を…という気持ちがあったのだろうし、ビジャレアルもオウンゴールで自滅するまでは、生き生きと攻撃していて、良かったんだよねえ。結果として2-3で負けてしまったけど…
バルセロナと対戦する相手はポゼッションでは対抗できないので、ビジャレアルも守りを固めてカウンターの戦い。それが試合開始から何回かチャンスを作っていたが、45分が過ぎた前半終了間際、カニがドリブルでスルスルと上がり、ぺレイラのボールを受けて、先制ゴールを決めた!!復帰してきたジオバニもゴール前でDFを引きつけるという攪乱戦法。バルサ相手に先制したのだから、スタンドは大喜び。
後半、負傷退場したピナに代わって登場していたアキーノが右サイドからクロスを送ると、後ろから走り込んできたトリゲロスがおでこ!?で合わせて2点目を奪うという鮮やかな得点劇。カニもジオバニも一斉にゴール前へ走ってきたものねえ。ここまでは良かったんだけど…
その後猛然とビジャレアルに襲い掛かったバルサの攻撃にビジャレアルのDF陣は心理的な圧迫感を受けていたのだろうか。66分、78分と立て続けにDFの選手がオウンゴールを献上。好セーブを連発していたGKアセンホはがっくりしたような様子。ビジャレアルの選手の疲れが見えてきた83分、とうとうメッシに逆転の3点目を許してしまう。
残念だったなあ。ジオバニ・ドス・サントスも先発し、途中からはイケチュク・ウチェも出てきたし、カニも活躍し、これで前半戦の好調を支えた立役者も揃った。10試合ぶりに一試合2ゴールを決めたというのだから、次の試合にも希望が見える負け方だったのではと…
この試合でもう一つ話題になったのが、後半30分、コーナーキックを蹴ろうとしていたバルセロナのダニエウ・アウべスの近くにバナナが投げられたこと。日本人にはわからないけど、これは差別を意味するのだそうだ。そしてそのバナナをなんと…アウべスは皮を剥いて食べてから!?ボールを蹴ったのだ!!
ヨーロッパにいることである意味、そういう事態に慣れているというのか、アウべスがまるで日常のように平然と差別に対する”返答”をしたというのも驚き。その後、ビジャレアル側はバナナを投げたサポーターを特定し、生涯出入り禁止処分にしたのだという。
ビジャレアルの迅速な対応がよかったよねえ。敵側のサポーターがアフリカ系の選手に対して猿の鳴き声を真似るというのが差別行為としてよくサッカーニュースになったりするけど、バナナを投げるというのも同じ意味なんだということを初めて知った。
日本でもJ1浦和のサポーターが「ジャパニーズオンリー」という横幕をスタジアムのどこかに掲げていたということで、これにはJリーグ側から無観客試合というペナルティが課せられた。在日の方々に対する嫌がらせの街頭デモが頻発していたということもあり、サッカーというワールドスポーツの世界ではレイシズムは許さない、ということを国の内外に示してよかったのでは。
それにしても…ビラノバさんと二人三脚で数々の優勝を成し遂げた元バルセロナのグアルディオラ監督率いるバイエルンが、レアル・マドリードと対戦してホームで0-4という大敗。その前のアウェイでは1-0で負けているから、2試合合計5-0という惨敗だった。なんということだ!ホームで逆転できると思っていたのにねえ。
これでビッグクラブなのに、なにををやっても勝てばいいんだ、みたいなモウリーニョ監督率いるチェルシーが勝ちあがったらさらにがっかりだよ。大観衆の前でも平気で0-0の試合をするようになったら、サッカーファンは確実に減るんじゃないかなあ。