Garbanzo blog

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ありったけはげ山の一夜レビュー Vol.2 ショルティ指揮 / ロンドン交響楽団

2010-10-21 13:57:00 | 音楽

ありったけはげ山の一夜レビュー (前置き文はこちら
第二弾はサー・ゲオルグ・ショルティ指揮、ロンドン交響楽団から。
CDへの収録で代表的なものは2回。一回目はベルリンフィル、二回目がロンドンフィルとの演奏だ。
フィリップスとデッカから発売されている。僕が持っている盤はデッカの「恐怖音楽」というベスト盤。


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Ravel : DECCA
Conductor : ゲオルグ・ショルティ
Orchestra : London Symphony Orchestra
Rec:1962年 ホール録音(おそらくリマスタリング済み)
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ショルティは60~80年代の英国を代表する指揮者だ。72年にナイトの称号も授与されている。
彼の音楽は非常に明晰というか分析的で、スコア原理主義的だ。忠実な解釈をする前に出ない指揮者である。
よって演奏も(良くも悪くも)スタンダードなものが多い。オケが毎回しっかりと練り上げられているのと、
リズムが正確なおかげで非常に安心して聴いていられる指揮者だと言える。
個人的には聴き比べの際、最も標準となる指標を示してくれるので重要度は高い。

そんな彼のはげ山の一夜も、ご多分に漏れず爆演からは程遠いものの、とても力の入った熱演だ。
イントロこそゆるめなテンポを取るものの、その分低音部のガッガッガッガッという力強い刻みが迫ってくる。
好みはあるだろうが、イントロはこの位たっぷりと量感をとってくれるほうが不気味さが増すと思う。
前述のスヴェトラーノフ旧盤は後半にかなりテンポをゆったり取っているが、ショルティは逆。
悪魔たちが大暴れしている前半は遅め、祭りの後の描写はやや早めだ。演奏時間はどちらも同じ程度。
ロンドンフィルが非常に伸びやかに演奏していて、曲調の割に雰囲気は明るめで邪気は少ない。
おどろおどろしさもそれなりであり、露骨に言うならアニメのBGMテイストである。ファンタジアにはぴったりだろう。

録音に関してはリマスタリングが成功しているのか、年代を感じさせない煌びやかなサウンド。
音量やテンポの上下が激しいダイナミックな曲だが、人工的な処理を感じる不自然な箇所は無い。
隙が無い引き締まった演奏なので、楽譜を見ながらのスコア・リーディングにも大変良い。
ロンドンフィルの力強さとともに、指揮者への信頼感が伝わってくる。


評価 : ★★★☆☆
録音 : B+



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