平成二十四年11月23日()
今朝も雨模様、ツアー最終日なのにガッカリ だが、予報では午後から回復すると言うのを期待する。
朝食は一階の『甘樫』でバイキング・スタイル。和洋食とメニューが豊富,関西風の茶粥や湯豆腐が目立つ。
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今日は先ず車で5分ほどの所にある『橿原神宮』 へ。
雨に煙る表参道は、人影もなく厳粛な雰囲気に包まれており,皆さんも緊張気味で歩みを進めています。
手洗所には、ちょうど七五三参詣の親娘も来ていました。
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橿原神宮
畝傍山の南東麓、約50万㎡もの広大な神域に建てられた檜皮葺きで素木造りの本殿と神楽
殿が、玉砂利の参道と背景となる深い森の緑に調和して、なんともいえない爽やかさと、厳
かな雰囲気を生み出しています。
初代天皇であると伝えられる神武天皇が、橿原宮で即位したという「日本書紀」の記述に基
づき、明治23年(1890)に建てられました。本殿と文華殿は重要文化財に指定されています
祭神は神武天皇とその皇后・媛蹈�五十鈴媛(ひめたたらいすずひめ)です。
本殿は京都御所の賢所を移築したものです。
橿原市を代表する橿原神宮で、本殿と神楽殿を訪ねると日本の伝統的な建築美に出会うことができます。 【橿原市資料による】
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南神門を潜り、玉砂利の広い前庭の左手に豪壮な外拝殿が見えます。
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外拝殿に入り、恭しく内拝殿を参拝する。
静まり返った神域が、雨模様の天候のためか一段と別次元のような雰囲気を漂わせていま
した。
外拝殿の右手には,今年の干支である大きな龍の絵馬が飾られていました。
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外拝殿の右手には,君が代に歌われている『さざれ石』が置かれていました。
参拝を終えて車に戻る頃には雨も上がり、これからの観光に期待が持てるようになりました。
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次いで,本尊大観音尊像特別公開中の長谷寺へと向かいました。
橿原神宮から国道165号線を通り,長谷寺の裏側の山道を利用してバス専用の駐車場まで1時間足らずで到着しました。幸いにもこの頃には雨も 上がっていました。
駐車場からはだらだら坂を下り,長谷寺を右に回り込むようにして入口に到着しました。
入口でバスガイドから長谷寺の概要の説明を受けてから、登廊の緩い階段を上ることになりました。
長谷寺
当山は山号を豊山( ぶさん )と称し、寺号を長谷寺と言い、正式には豊山神楽院長谷寺と申します。
「こもりくの泊瀬山」と万葉集にうたわれていますように、この地を昔は豊初瀬(とよはつせ)、泊瀬(はつせ)など美しい名でよばれていたので、初瀬寺、泊瀬寺、豊山寺とも言われていました。
朱鳥( あかみどり )元年(686)道明上人は、天武天皇のおんために銅板法華説相図( 千仏多宝仏塔 )を西の岡に安置、のち神亀四年( 727 )徳道上人は、聖武天皇の勅を奉じて、衆生のために東の岡に十一面観世音菩薩をおまつりになられました。
上人は観音信仰にあつく、西国三十三所観音霊場巡拝の開祖となられた大徳であり、当山を三十三所の根本霊場と呼ぶいわれであります。
現在の長谷寺は、真言宗豊山派の総本山として、 また西国三十三観音霊場第八番札所として、 全国に末寺三千余ヶ寺、 檀信徒はおよそ三百万人といわれ、 四季を通じ「花の御寺」として多くの人々の信仰をあつめています。 【長谷寺パンフによる】
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ここ長谷寺とこの次に訪問する室生寺は、かって昭和63年5月に八経ヶ岳と大台ヶ原の
日出ヶ岳を登った帰りに、登山の無事を報告,感謝するため参詣したことがあるので、
その当時の記録を見ると以下のように記述しています。
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『登廊の百八間、三百九十九段の緩やかな石段、三十三個の風雅な八方行灯が数間置きに下がる両側には 70種、3,000本の牡丹が今を盛りと咲き競っている。
長い階段もこの花を賞でながら登るので、ご老人にも苦にならないようだ。
白、ピンク、紅、そして黒と咲き乱れるボタン、艶やかな見事さだ。
本堂は舞台造り、外舞台もあるという大建築。十一面観音像は身の丈三丈三尺六寸、光背四丈一尺という立派なもの。その堂々たるお姿に圧倒される。
参拝後、五重塔から本坊へ。この本坊から眺める泊瀬山をバックにした本堂の型が良い。
ボタン、シャクナゲに埋まる境内にすっかり酔わされてしまった。』
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そのご老人となった現在,牡丹に変わる四囲の紅葉を眺めながらゆっくりと登っていく。
登るにつれて視界か開け、周囲の今や盛りの黄・紅葉が目に入り、弾む息を整えるために立ち止る機会を度々与えてくれる。
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舞台付の本堂に着き,身の丈10m80cmの堂々たる十一面観音像に拝礼する。
この本尊は度重なる火災後に、矧寄木造りで大仏師、運宗が天文 7年(1538)再造したもの
という。
右手に数珠と錫杖を執り,左手に水瓶蓮華を持って、方形の台座である大盤石座に立っている
手に持つ錫杖は広く衆生を救済するためとされ、身の丈の大きさ故に功徳も大きいと篤い信仰
を集めてきたという。
本堂から外を眺める紅葉の美しさと、礼堂の床に映る紅葉に思わずシャッターを切る。
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その後、特別公開ということで本堂内に入り、改めて十一面観世音菩薩立像を拝観する。
ところが意外と本堂内陣が狭く、長身の菩薩像のお顔を拝観するのに首が痛くなるほどだ。
また、霊験あらたかな御仏として人口に膾炙してきた長谷の本尊の御足は、長年に亘り参拝
者が結縁の度に触れて黒光りしており、信仰の蓄積を物語っている。
小生もその御足に触れながら,家内安全と腰部の痛みの無くなることを念じる。
この内陣には,徳川家代々の御位牌宮殿,弘法大師座像,十一面観世音菩薩立像(裏観音)、それに薬師如来坐像などがあり、それぞれに拝礼する。
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再び堂外へ出て,懸造り舞台から紅葉に彩られる長谷寺の全貌と四囲の景観を眺める。
今や盛りの黄・紅葉が咲き誇り,えも言われぬ景観にしばし時を忘れて魅入っていました。
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やがて五重塔を巡って下に降りながら、本堂舞台を見上げたり、周囲の紅葉を愛でながら
駐車場へと戻りました。
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昼食は次の予定地、室生寺の入口近くにある橋本屋旅館で採ることになり,国道165号線を利用して30分ほどで到着しました。
ここも大変な混雑で,旅館の前を流れる室生川に架かる赤い太鼓橋は人の流れが続いています。
その様子を旅館の部屋から眺めながら,山菜料理の昼食をいただく。
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ここ室生寺も長谷寺と同じく,山行の帰りに無事の報告と御礼のため参詣したので,その
当時の記録を改めて読み返してみました。
『五月晴れの太陽が照り付けるなかを室生寺へ。
平日ではあるが、シャクナゲが満開とあって参拝客が多い。
門前町の賑わいから左に入り、室生川に掛かる赤い欄干の歩き難い太鼓橋を渡る。
境内に入った途端、満開のシャクナゲの大樹が眼に飛び込んでくる。これほど花が密生
して咲いているシャクナゲは初めてだ。その清楚な色合いが周囲の建物に溶け込んでいる。
宗教と花との関わり合い、修行する人の気を休めるもの、信者でもない者がただ花を見に来る事の意味合いなどを考えさせられる。
仁王門を潜り、金堂への階段『よろい坂』の両側も見事なシャクナゲの群落。唯々見とれるばかり。
弥勧堂で弥勒菩薩を拝観、何となく色気を感じさせる像だ。
屋根の線が美しい金堂、その内陣の釈迦如来立像、十一面観音菩薩像の端整なお顔が美しい。またその前列の十ニ神将像がユーモラスな顔を見せてくれる。
次いで本堂の如意輪観音像は、何故かなまめかしさを感じる。
密教道場として女人の済度を図って登山を許したので、『女人高野』と呼ばれる所以もここにあるのかも知れないと思われる。
そして、これはまた小柄で見事な調和を保った五重塔がある。この辺りの人出は最高。
花の盛りではなく、逆に雪景色の中で独り静かに眺めてみたい、などと独り善がりな考えが頭の中に湧いてくる。
しばらく見とれてから、杉の原生林とシャクナゲに囲まれた奥の院への階段を登る。
奥の院を参拝後、再び花を眺め、建物を見物しながら下山する。
門前町で草餅と山芋そばの昼食。ここの山芋はじゃがいものように丸い。
ここからバスで駅前の大野寺へ。自然の崖に筋彫りした磨崖仏が、室生川を挟んだ対岸に見られる。
日の光が強すぎて、像が明確に見えないのは残念だ。』
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昼食後,室生川に架かる赤い太鼓橋を渡って対岸に出ると、やや盛りの過ぎた室生寺の境内の紅葉が目に入る。旅館の方の話では,今年は紅葉の時期が早かったと言われていたが,まだまだ色彩は映えている。
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境内に入り,仁王門の手前からは今年の色づきが早かったと言う紅葉が,まだまだ見事な
色彩を見せてくれる。
仁王門を潜ると一段と華やかさを増した紅葉が,鎧坂の両側に覆い被さるように見えてく
る。
ここはその景観をカメラに収める人々で大混雑だ。
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鎧坂を上がると正面に国宝の金堂,左手に彌勒堂がある。
金堂は正面,側面ともに五間の単層寄棟造りの柿葺きで、内陣には堂々とした一木造りの
国宝、御本尊釈迦如来立像を中心に、向かって右側に薬師如来像、地蔵菩薩像,左側に文殊
菩薩像、国宝の十一面観音像が並び,その前に運慶の作と伝えられる十二神将像が並べられ
ている。
三間四方柿葺の彌勒堂の内部の須弥壇に安置された本尊,厨子入り弥勒菩薩立像は、平安時代初頭の優品で,脇壇には明快な衣装が見事な国宝の釈迦如来座像が安置されている。
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その上の階段を上がったところに本堂の国宝・灌頂堂がある。
ここに室生寺の本尊、如意輪観音像が安置されている。
ここは真言密教の最も大切な法儀である灌頂を行う堂で,真言寺院の中心であるところから
本堂とも呼ばれ、延慶元年(1308)建立の五間四方の入母屋造の大きな建築である。
さらにその上には、平成10年に台風により大きな損傷を受けたが、平成12年に修復した
五重塔がある。総高 16.1mと屋外に立つ五重塔では最小という。
勾配が緩く軒の出の深い桧皮葺の屋根は,朱塗りの柱や白壁と心地良い対照を保つ。平安初期の建立といわれ、室生山中最古の建築とのことだ。 【室生寺パンフより】
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前回来た時にはこの上にある奥の院まで行ったが、今回はここまでが限界。
往路を紅葉を愛でながら戻り,バスの駐車場へ。
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かくして今回のツアーは終了。
今年も何とか紅葉の素晴らしい景色を見ることができました。
道の駅『宇陀路室生』で小憩の後,近鉄・名張駅から名古屋へ出て,東京へ戻りました。
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