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村上龍 「空港にて」

2016-09-07 17:36:20 | 日記
村上龍
「空港にて」 2003年1月 

「村上龍が最高の短編を書いた」と自称する作品のようです。
閉塞感の強まる日本で海外へ留学することが唯一の希望であるかもしれないとして書かれたようです。


以下、ストーリーの要約です。

「空港で男を待つ女がいる。女は、町工場を経営していた夫と4歳になる子供一人を連れて離婚した。それは、夫の工場が倒産したからだった。様々な職種を経験したが、33歳になる女に職場は限られた。養育費を払えないと謝る元夫を許し、結局、風俗の世界で働く。
いつかサイトウというい男が常連となって指名してくれるようになる。サイトウは、女にかなりの金を使ってくれる。ある時、女は、映画のポスターで空から降ってくる義足のことを知る。それは、アフガニスタンの映画で国連が作った義足を奥地にパラシュートで届ける
物語だった。義足作りに興味をもつた女は、サイトウにその話をした。サイトウは、義足を作る人は、義肢装具士といい国家資格を取得しなければならないと女に教えた。そして、その学校が熊本にあると言う。さらにサイトウは、女を連れて熊本にある学校を見学
に行こうと言う。授業料を心配する女に、入学するのは、今でなくでもいい。そんなことは後で考えればよいと言う。見学を約束した日、空港で様々な旅行者を見て待つ女の背後から現れたサイトウが 搭乗手続きに行こうと誘う。」


やや、理想の物語らしい展開ではあるけれど、さらっとした救いがあるところに強い印象が残る作品です。
 余韻がいい。人を信頼することは、やはり必要があるというメッセージでしょうか。
絶望や退廃ではなく、希望を書きたかったという趣旨を村上龍氏は、あとがきで書いています。