デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー、海外旅行記、吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

閑話休題 ( さらば青春 )

2014-10-28 14:11:06 | 閑話休題


                         【毎夕 Slow-joggingする公園の空】

 小椋佳さんの「生前葬コンサート」
 古希を迎えた小椋佳さん。4日間に100曲歌う「生前葬コンサート」がBSプレミアムで放映されました。小椋佳さんは私より年長ですが、デビューから現在まで同時代に青春を送ってきた方です。人生の最期に近づきつつある今、興味深く見ました。

  

 「さらば青春」よ さらば
 大病をされた所為か老けて見え、ステージは殆ど椅子にかけて歌われました。「閑話休題(愛しき日々)」でも触れましたが、小椋佳さんらしさが際立ったのは寧ろ後編。今!歌う「さらば青春」には、40年余前より遥かに青春の影が滲んでいます。
   ※閑話休題(愛しき日々) http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/d99345e1e10a73f91727c015695203ac
僕は呼びかけはしない/遠く過ぎ去るものに/僕は呼びかけはしない/傍らを行くものさえ/見るがいい黒い水が/抱きこむように流れて行く/少女よ泣くのはおやめ/風も木も川も土も/みんなみんな戯れの口笛を吹く・・・少女よ泣くのはおやめ/空も海も月も星も/みんなみんな虚ろな輝きだ

 からたちのそばでないたよ 
 年老いて青春を振返り作った歌でしょうか。二十代の青年の感性にはそぐわない悟りの心境に思われます。理屈っぽい哲学的な詞を導くリズミカルなテンポ。ふっと『からたちのそばでないたよ/みんなみんなやさしかったよ(北原白秋)』を想いました。



 「あなたが美しいのは」
 1987年秋。学校から小椋家に「ご次男が倒れた」と。左脳全体が脳梗塞となり言語・思考・運動…「あらゆる機能がマヒし植物人間状態」 に。恢復の兆しさえ見えないある夕刻、公演を終えた小椋さんは病床に寄り「あなたが美しいのは」を口ずさみます。

 すると、口もきけなかった次男が 「一緒に最後まで正確に歌いきった」 のです。医師も驚き「なぜかわからない」と、或る種の奇蹟が起きていました。それを機に少しずつ恢復に向かい10年余でほぼ健常に。「今、結婚し子どもが生まれ仕事をしている」由。

 あなたが美しいのは/愛されようとする時ではなく/あなたが美しいのは/ただ愛そうとする時・・・いつか心の底に/輝きを一つ見つけて/抱いて思いのまま/泣いて笑ってみたいもの・・・あなたが素晴らしいのは/愛されようとする時ではなく/あなたが素晴らしいのは/ただ愛そうとする時

  
 
 「わたしの歌は総て出遭いの所産」
 彼が繰返し語ったのは「出遭いの所産」。ルックスに劣る無名の青年を「首をかけ」て推したレコード会社の担当者、原曲を一層輝かせたアレンジャー、長く勤めた銀行の同僚、そして誰よりも何よりも家族。歌は「総て人生における出遭いの所産だった」と。

『背中の夢に/浮かぶ小舟に/あなたが今でも/手をふるように(「俺たちの旅」)』『楽しい思い出ばかりなんて言わないで/こんな時になんの慰めにもならない・・・泣かせて/泣かせて/自分が悔しいだけよ・・・悲しいことは/どんな化粧したって/悲しいのです(「泣かせて」)

    

変わらない憧れを/背中に映し/逢うたびに君は/美しくなる・・・限りなく蒼くさい君の夢を/裸になって抱きしめたい・・・移ろいの多さに/かすり傷を怖れ/誰となく心に壁をたてる中で/翳りない輝きを背中に映し/逢うたびに君は美しくなる (「逢うたびに君は」)

    

 『あさって死ぬと言われたら/灰色の雪が溶けて行った・・・残された明日を待って/いろんな顔が見えてくる(「私の中の私達」)』『この腕をさしのべて/その肩を抱きしめて・・・今日も一日が過ぎて行く(「白い一日」)』『顧みれば/今こみあげる思い/私の運命に関わった総ての人に/ありがとう(「顧みれば」)

  
 
 夕闇に輝く蒼い空
 毎夕ほぼ同時刻にスロージョギングします。季節とともに街も人も樹も空も…光と色彩が移ろいます。この時期、夕焼けの街が夕闇にかわると一転!空が蒼く輝きます、青春のフラッシュバックを見るように。右はQPによる冒頭写真のPC画(少し横長にデフォルメ)

  

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 吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
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 閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
 腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
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 ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c


18 コメント

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こんばんは (婆ちゃんねる)
2014-10-28 18:02:18
小椋佳さんは、初めてNHKでコンサートをされたころからいすに座って歌われていますよね。
力みのない優しい歌声と言葉の美しさに感動します。
今日はなぜかしら♪めまいを口ずさんでいました。
ある方のブログで暮れなずむという言葉を読んで♪めまい♪を思いだしたのです。
暮れ染ずむ…素敵な言葉ですよね。
息子さんが若くして倒れられたとき、ちょうど小椋さんのドキュメンタリーを撮っていらっしゃるときでした。
お元気で家庭を作られているんですね。
生前葬、見ておりませんでした。
残念。
返信する
おじゃましま~す (なでしこ)
2014-10-28 21:34:48
小椋桂さんの生前葬のコンサート後編のみ見ました。
私は小椋さんの歌を聴くとなんだか寂しくなります。
ちょっと前の若い頃はあまり聴きませんでしたが
この年になって聴くと心に沁みますねぇ。
でもあの「俺たちの旅」の歌を作られてたんですね。
あのドラマも歌も大好きでした。
ちょっと前の青春の思い出です。

返信する
あのドキュメント、私も・・・ (デ某)
2014-10-28 22:37:33
ばばちゃんねるさん
こんばんは! 記憶を刺戟してやまないコメント、嬉しく読ませて頂きました

> 初めてNHKでコンサートをされたころからいすに座って歌われていますよね。
シャイな方ですから、腰かけるほうが自然!になれるのでしょうね
当時はいわゆるハイスタンドの椅子でしたけど、それでも立って歌われることも・・・。
はい! 私もあのNHKの初オンエア、見ていました!

> 力みのない優しい歌声と言葉の美しさに感動します。
初めて聴く曲もあり、小椋佳さんをより深く知ることができたコンサートでした
総じて、詞も曲もやはり若い頃のほうが素敵ですね。
でも歌としては いま歌う彼の歌のほうが心にしみます。

> 今日はなぜかしら♪めまいを口ずさんでいました。
> ある方のブログで暮れなずむという言葉を読んで♪めまい♪を思いだしたのです。
> 暮れ染ずむ…素敵な言葉ですよね。
暮れなずむ海、暮れなずむ街・・・あらゆる光景に染ずむ言葉ですね
「めまい」の『青い青い海が見える』にも心ときめきます。

> 息子子さんが若くして倒れられたとき、
> ちょうど小椋さんのドキュメンタリーを撮っていらっしゃるときでした。
でしたね。ご子息が画面に登場されたのを憶えています
家庭菜園かなにかでいろいろされていたような・・・。
ドキュメントでは、幕間に「乗ってきた」とテンションが上るシーンも印象的でした。

> お元気で家庭を作られているんですね。
このブログの赤い背景の写真で琵琶を弾いていらっしゃる方
放送ではコメントがありませんでしたけど、ご次男のお嫁さんだと思います。

> 生前葬、見ておりませんでした。残念。
いずれ再放送されると思います
気がつきましたらまたご案内させていただきます
返信する
「私たちの恋」を・・・ (デ某)
2014-10-28 23:00:32
なでしこさん
いつも狼藉?を働いているのに お訪ね&コメント下さり有難うございます

> コンサート後編のみ見ました。
後編だけでも・・・見ていらっしゃったんですねぇ(嬉しい!)
彼の総てが凝縮されていたのは後編でしたから、十分!とは言わないまでも九分!

> 私は小椋さんの歌を聴くとなんだか寂しくなります。
> 若い頃はあまり聴きませんでしたが
> この年になって聴くと心に沁みますねぇ。
歌詞が或る種!連想ゲーム?のように心にフラッシュしますから
結構!タフな曲ですよね、時に聴いていて疲れるほどに・・・。

> 「俺たちの旅」の歌を作られてたんですね。
> あのドラマも歌も大好きでした。
あのドラマ、リメイクされるかもしれませんね
それほどある時代の青春を巧みに切り取った作品でした。
小椋佳さんの詞も曲もその後の原風景を見る思いがします。
http://www.youtube.com/watch?v=ytBPEBz0zOQ

> ちょっと前の青春の思い出です。
はい、「ほんのちょっと前」のね!
やまとくんとの恋物語、またブログにUPなさってくださいね。
題して・・・「私たちの恋」
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生き様 (michi)
2014-10-29 07:06:35
この方の詩は独特ですね
誰の心にもある感情を上手に掘り出して抽象的ではあるけど・・・具体的に書かれている(はてな?)(*^_^*)

わたし。。。
少し前までは青春時代にしがみつくのは
チャンチャラおかしいと思っていました(ごめんなさい)

キラキラまばゆいばかりの宝石箱だった訳で・・・
なのにその中でもがき苦しみifだらけで・・・・
夢、挫折、希望、涙、喜び、悲しみ
目の前には山がそびえたつのみ・・・・

だけど、今はチョット違う感覚でその青春の時を見ています
だってこの年になって思えるようになりました
(ある種わたし、青春時代にしがみついているのかも)

青春時代って人生のハイライト(このタバコ吸う人カッコ良かったな~~。アッタバコじゃないよ~)だったんですよね

それ以後は流れて来ただけの様な気がします。

毎度変なコメントで申し訳ありません。
小椋さんのCD借りてこようかな~~~
返信する
逢魔が時 (讃岐おばさん)
2014-10-29 10:32:47
夕暮れの表現もいろいろありますね。
日本語ってなんて素晴らしいんでしょう!
コーラスをはじめて、明治・大正・昭和時代の歌詩が素晴らしいと改めて感じています。
「時代」などの中島みゆきさんの歌詞も大好きです。
返信する
Unknown (Anne)
2014-10-29 12:04:21
小椋桂さんの生前葬のコンサートで100曲も歌われたんですね!
美しい詩の歌ばかりですねえ・・・
息子さんの若年性脳梗塞・・・左脳全体が破壊され・・・
音楽と愛情の力って凄いです!
ほぼ健常になられたのは凄いって言っちゃうけれど、きっと大変なリハビリやご家族の大きな愛が回復をさせてくれたんでしょうね!
そう言えば彼が銀行員だったのは思いだしました。

何だか、私が若いころを振り返って聞く曲って何だろう・・・なんて考えちゃいます(*^。^*)

WOWOwでよくサザンオールスターズ等、色々なアーティストのコンサートを放映してくれるんですけど、多分ノリの良い曲のコンサートだからか、テレビで見始めてもやっぱり会場じゃないと私は飽きちゃうみたいです(^_^;)

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やすかれ我が心よ(讃美歌298) (デ某)
2014-10-29 12:21:31
michiさん
コメントいつもありがとうございます

> この方の詩は独特ですね 誰の心にもある感情を上手に掘り出して
> 抽象的ではあるけど・・・具体的に書かれている(?)(*^_^*)
なかなか弁証法的なコメントですが(笑)、仰るとおりかな・・・
感性にとどまらず深く考えられる方・・・若くして完成度の高い詞を書かれました。
私はそんな初期の彼の作品がとりわけ好きです。

> 青春時代にしがみつくのはチャンチャラおかしいと思っていました
> もがき苦しみだらけ・・・夢、挫折、希望、涙、喜び、悲しみ
> 目の前には山がそびえたつのみ・・・
誰しも しがみつく、引き摺る、囚われる・・・青春。
青春に戻りたいと思いつつ「あんな(苦しい)時代はもういいよ」ではあります。
michiさんにはどんな山があったのでしょうね
私には、美しい山どころか挑む心をかきたてられる山が見つかりませんでした。
それなのに今どうして・・・青春を想い考えるのでしょうね。

> 今はチョット違う感覚でその青春の時を見ています
> 青春時代って人生のハイライトだったんですよね
特別な人を除いて殆どが無名でありパラサイトでありモラトリアムである青年時代
なるほどあらゆる可能性の「ハイライト」でした。
であればこそ夢があり希望があり・・・埋没し挫折しました。

> 毎度変なコメントで申し訳ありません。
michiさんにはいつも心のあちこちを刺戟されます
そんな感覚を・・・愉しんでいます

> 小椋さんのCD借りてこようかな~~~
30年余も前でしょうか、彼のLPレコード(もう死語かな・・・)を買ってきて
土曜日の午后になると買ったばかりの大きなステレオにかけ
近所迷惑も憚らず大音量で聴いていました。
小椋佳さんの歌とはまるで異なりますが、
讃美歌298番(やすかれ我が心よ)が歌われている You tube.を!(他の曲はスルーを)
これ、シベリウス「フィンランディア」終章そのものです。
学生時代によく親しんだ曲・・・讃美歌として聴くとまた異なる青春が甦ります。
http://www.youtube.com/watch?v=fJxdtsuaNmQ
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逢魔の夕刻 (デ某)
2014-10-29 12:52:17
讃岐おばさん
コメントありがとうございました

> 夕暮れの表現もいろいろありますね。
「逢魔が刻」もなかなか言い得て妙・・・昔の人の感性に敬服します

> 日本語ってなんて素晴らしいんでしょう!
> コーラスをはじめて、
> 明治・大正・昭和時代の歌詩が素晴らしいと改めて感じています。
言葉の歴史には或る意味「民主主義」の歴史を見るように思います
日本は既に江戸時代から識字率は高かったと言われていますが、
それでも明治以降、言葉(日本語)がすべての国民のものになるスピートは圧倒的でした。
外国文化の流入と並行して、あるいはその刺戟によって
日本語は言葉としてますます磨かれて行ったように思います。
合唱は「言葉の芸術」でもありますから、言葉への感覚は一層研ぎ澄まされましょう
讃岐さんの合唱団の演奏、機会がありましたらぜひ聴かせて頂きたく思います。

> 「時代」などの中島みゆきさんの歌詞も大好きです。
中島みゆきさんは、「この空を飛べたら」でレコード大賞の「作詞賞」に・・・
加藤登紀子さんに提供された歌ですが、
私は中島みゆきさんご自身が歌われたものが好きです。
この歌の2フレ目の歌詞、
「飛べる筈のない空/みんなわかっていて/今日も走って行く/走って行く
 戻る筈のない人/私/わかっていて/今日も待っている/待っている」
加藤登紀子さんは、
「戻る筈のない人」ではなく「戻らない人」と歌っているのが興味深いです。
中島みゆきさんの歌でお聴きください
http://www.youtube.com/watch?v=R0qk6a2ch98
※なお、この記の冒頭の「逢魔が刻」の写真、入れ替えました。
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ここでも想像の翼を・・・ (デ某)
2014-10-29 13:14:26
Anneさん
コメント、いつもありがとうございます

> 美しい詩の歌ばかりですねえ・・・
小椋佳さんは、曲も然りながら、とりわけ詩に個性が滲みでているように思います

> 息子さんの若年性脳梗塞・・・左脳全体が破壊され・・・

30年程前、彼のステージデビューをNHKがドキュメントしたことがあります。
その時にご次男はじめご家族が紹介されていましたので、隔世の感があります。

> 音楽と愛情の力って凄いです!
> ほぼ健常になられたのは凄いって言っちゃうけれど、
> きっと大変なリハビリやご家族の大きな愛が回復をさせてくれたんでしょうね!
医師にも「わからない」ところは、やはり奇蹟だったのだと思いますし、
仰るように奇蹟を完成させるための並々ならぬ努力があったことと思います。
なおエンディング近くで(赤い背景の写真)琵琶を弾く女性はご次男のお嫁さんです。

> そう言えば彼が銀行員だったのは思いだしました。
合併されてなくなりましたけど外国取引で知られた東京銀行でした。
国内の支店長を最後に退職されました。

> 私が若いころを振り返って聞く曲って何だろう・・・なんて考えちゃいます(*^。^*)
やっぱりAnneさんはまだ現在進行形が殆どでいらっしゃるのでしょう
私のような過去完了形とは比較になりません(笑)

> サザンオールスターズ等・・・テレビで見始めても
> やっぱり会場じゃないと私は飽きちゃうみたいです(^_^;)
それはそうでしょう、音楽・演劇・スポーツ・・・須らく現場!ナマ!に限ります
私の場合、TVでは想像力を最大限に高めて見ることにしています(笑)
はい、想像の翼をいっぱいにひろげて・・・
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